Z世代を中心とした新たな購買行動が出てきました。それが「ジェンダーレス」志向です。性にとらわれず自分らしさを表現しようという動きは、若い世代に確実に広がってきています。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 Z世代を中心とした新たな購買行動が出てきました。それが「ジェンダーレス」志向です。性にとらわれず自分らしさを表現しようという動きは、若い世代に確実に広がってきています。例えばメンズコスメの市場が広がっており、男性も化粧水や美容乳液などの基礎化粧品を使う時代になっています。肌を整えたり、補正クリームで肌をきれいに見せたりするなど、これまで女性だけの市場と思われたコスメ分野を見直す必要が出てきたのです。メーカー側もこれも対応し、ジェンダーレスな商品開発を視野に入れる必要があるでしょう。商品やコミュニケーションをジェンダーレスの方向に変え、男性や女性といった垣根を越えた新しい市場を開拓しなければなりません。

 このため、商品開発のうえでデザインを見直す動きが出てきています。最も顕著な例は色です。男性向けの商品は青や黒、女性向けの商品ならば赤やピンクといった色分けがこれまではごく自然に行われてきました。しかしジェンダーレスの時代になるとグレーや紫、キャメルといった今まではあまり使わない、さまざまな色を使う企業が増えています。色で男性用、女性用といったイメージを払しょくするためです。ファッションでも男性向けや女性向けといった従来のパターンではなく、男性も女性も着用できる商品が増えています。男女兼用にすればアイテム数が減り、在庫管理やしやすくなるというメリットもあるようです。

 ジェンダーレスはSDGs(持続可能な開発目標)の目標の1つである「ジェンダー平等を実現しよう」にも、つながる動きといえそうです。多くの国では教育や仕事の面などで男女平等とはいえない環境があることも事実です。こうした状況を少なくできれば多くの人が幸福になるでしょう。Z世代がジェンダーレスの方向に動いている背景には、男女平等のエシカル(倫理的な)な社会を当たり前の存在として理解しているからかもしれません。こうしたZ世代の考え方が分からなければ、ジェンダーレスへの理解は進まないでしょう。

狙うは「繊細男子」 ジェンダーレス化で激変したマーケの鉄則


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新たな「色合い」

6億通りのカラバリが選べるG-SHOCK 22年は“鳳凰色”がヒット?

 時計の6つのパーツのカラーを選ぶことで、約190万通りの組み合わせの中から世界に1つしかない自分だけの「G-SHOCK」をつくれるサービス「MY G-SHOCK」。これまでのG-SHOCKにはない中間色をラインアップしたのは、コロナ禍を意識したものだという。


累計700万本のヘアアイロン ジェンダーレスカラーで男性客開拓

 ボタニカルシャンプー「BOTANIST(ボタニスト)」で知られるIーne(アイエヌイー)は、ヘアアイロンやドライヤーといった美容家電も開発・販売している。2020年9月、美容家電「SALONIA(サロニア)」ブランドに“ジェンダーレスカラー”として2つの新色を追加。従来は女性向けにピンクやパープルなどを中心にしていたが、「ネイビー」と「グレー」を投入すると、一時品薄になるほど人気となった。


売れ筋カラーに異変あり ランドセルは「キャメル色」が一番人気

 ジェンダーレスの波は、学校にも広がってきた。例えばランドセルや学生服の色やデザインとして、性差を感じさせない製品が出てきている。家具・インテリアなどの開発・販売を手掛けるアクタス(東京・新宿)は、同社製ランドセル「SCHOOL BAG(スクールバッグ)」の「2022年モデル」として7色を用意し、2021年2月から予約を開始した。


新たな「ファッション」

女性もメンズパターンを着る時代 ジェンダー問わないスーツ選び

 自分の個性やこだわりを表すことができるファッション。カジュアルなシーンでは女性がメンズ服を着てシルエットなどを楽しむといったことがあったが、フォーマルなスーツにも、その流れがきている。オーダーメードスーツのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO(東京・渋谷)は、メンズパターンのスーツを性別問わず購入できるイベントを続けている。


真珠のミキモトが男性客開拓に本腰 時代の変化捉えたマーケ戦略

 真珠といえば女性のジュエリーというイメージが強い。だが、女性も男性も真珠を楽しむ──そんな新しいマーケティングが始まった。けん引しているのは、宝飾品大手のミキモト(東京・中央)だ。広告のビジュアルには真珠のネックレスを身に着けた男性モデルを起用し、ジェンダーレスな商品であることを印象付けている。


Z世代はジェンダーレス制服 1000校が導入した新デザイン

 学校の制服にジェンダーレスの動きが拡大している。Z世代の中学・高校生に詰め襟やセーラー服以外の選択肢が増え、マーケターにとっても商品開発のヒントになるだろう。「トンボ学生服」のブランドで知られ、学生服を製造・販売するトンボ(岡山市)は「ジェンダーレス制服」を他社に先駆け2015年からいち早く開発。特に、そのうちの1つとしてデザインした女子用スラックスが、21年4月から1000の中学・高校が採用するヒット商品になった。


新たな「価値観」

「高くても社会貢献できるなら買う」 エシカルを楽しむZ世代

 1990年代半ば以降に生まれたZ世代が、消費のあり方を変えようとしている。子どもの頃から、気候変動や海洋汚染などの問題が身近にあったZ世代。自らの行動で環境や社会課題の解決に貢献するといったエシカル志向は強い。ただ一方で膨大な情報にさらされ、「エシカル疲れ」を感じる若者も少なくない。買い物の体験そのものを楽しみながら、環境や社会に貢献する「ファン・エシカル」を意識した企業の取り組みも広がる。


LGBT総研に聞く ジェンダーレスマーケにLGBT層の感性を生かす

 ヒット商品をつくるうえで「ジェンダーレス」志向がキーワードの1つになっている。では、ジェンダーレスを意識した商品開発やマーケティングのポイントは何か。セクシュアリティーという新たなセグメンテーションでマーケティングを実施してきたLGBT総合研究所の森永貴彦社長に話を聞いた。


メーク男子は男性化粧品を買わない? Z世代のジェンダーレス観

 最近、様々なメディアで取り上げられることが増えているZ世代の「メンズメーク」。企業も男性向け化粧品を拡充し、市場が活性化している。なぜZ世代男子はメークに力を入れるのか――。「Zs」代表の牧島夢加氏が、学生に話を聞く座談会「Zs Talk」を通じて消費行動を分析する本連載。第4回は「メンズメーク」の今に迫る。

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