コロナ禍で急成長を遂げたEC市場。新興のEC構築サービスであるShopifyやBASE、STORESが台頭する今だからこそ知っておきたいのが、「楽天市場」「Amazon」という2大プラットフォームの活用法です。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 コロナ禍で急成長を遂げたEC市場。新興のEC構築サービスであるShopifyやBASE、STORESが台頭する今だからこそ知っておきたいのが、「楽天市場」「Amazon」という2大プラットフォームの活用法です。

 「メガネスーパー」を展開するビジョナリーホールディングスのCDO(最高デジタル責任者)としてEC事業をけん引し、ECの専門家としても活動する川添隆氏はこう指摘します。

 「独自ECサイトを展開する際に多くの人が勘違いすることだが、無人島に出店したのと同じようなもの。集客策を講じなければ誰にも気づいてもらえずモノは売れない」

 その点、楽天、Amazonは、すでに巨大な経済圏を構築しており、近年は広告メニューを増やすなど、マーケティングプラットフォームとしての価値を高めてきています。そもそもECモールは買い物意欲が旺盛な利用者が集う場であり、人通りの多い“繁華街”に出店したほうが集客はしやすいというわけです。

 では、どのように活用すべきでしょうか。参考になるのが、花王独自のECフレームワークです。

 まず自社のブランドを「新規」と「既存」に分けます。独自性の強い健康商品などの新規ブランドで定期購買に向く場合は、自社ECサイトで直販します。既存ブランドでは主に価格帯で戦略が変わり、百貨店を中心に展開する高級化粧品ブランドは自社ECと小売店を組み合わせた「OMO(オンラインとオフラインの融合)型」で展開しています。

 一方、中価格帯、低価格帯の既存ブランドについては、楽天とAmazonを活用。中価格帯ブランドは、高級化粧品ブランドほどリアルの体験に重きは置いていないものの、世界観をしっかりと伝えて販売していくため、楽天市場をはじめとしたECモールが向きます。低価格帯のマス向け消費財ブランドは配送スピードが重視される傾向があるため、Amazonなどの卸型ECモールを活用しているとのこと。

 この切り分け方は、多くの企業に参考になるでしょう。自社のブランドポートフォリオを確認し、どのようにECを伸ばしていくか、改めて検討してみてはいかがでしょうか。

 このほか、EC市場が急拡大する中で、直近では優良なAmazonセラー(出品者)を買収し、独自のECノウハウで急成長させる新たなビジネスも生まれています。いわゆる「Amazonアグリゲーター」と言われる企業で、そのパイオニアが米セラシオです。22年1月に掲載した特集「Amazon&楽天 売れるマーケ活用2022」では、成功事例を交えて紹介しているので、併せてお読みください。

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