新型コロナウイルス禍による外出自粛やテレワークの普及など、ライフスタイルが多様化しています。それによって、新たな販売方法も生まれつつあります。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 新型コロナウイルス禍による外出自粛やテレワークの普及など、ライフスタイルが多様化しています。それによって、新たな販売方法も生まれつつあります。

 その1つが自販機です。腕時計ブランド「タイメックス」を扱うウエニ貿易(東京・台東)は、1万円を超える腕時計を自販機で販売しました。目標比1.5倍の売り上げを達成したそうです。同社時計事業部の佐藤智子氏は、動画投稿が身近な若者に対して自販機で買うエンターテインメント性が刺さったのではないかと、好評の理由を分析します。

 Z世代に向けてSDGsを訴求した販売方法も、新たな潮流といえそうです。21年10月、拓殖大学内の空きスペースに無人の古着販売店「FCLC 拓殖大学 by spinns」がオープンしました。基本的に商品は1着500円均一で、店内のポストに自分でお金を入れる方式です。洋服ブランド「スピンズ」が主体となった取り組みで、衣類の廃棄ロスを減らす狙いがあります。

 販売方法の変化に伴い、店舗のあり方も変わってきているようです。21年12月、東京・原宿にオープンしたフルーツオレ専門店「The Label Fruit」は、店頭で商品を販売していません。店舗は、事前にスマホから注文を受け付けた商品を渡すのに活用。店舗に設置したAIカメラなどで、来店客の動きを分析し店舗運営に役立てる考えです。

 変わりつつある販売方法からは、「買うなら面白く」「SDGsにも配慮」など、消費者の新しい価値観も見えてきます。そこにいかにうまく寄り添えるかが、マーケティングのヒントにもなりそうです。

腕時計、ケーキ、生花…… 女性向けプレゼントも自販機で買う時代


「高くても社会貢献できるなら買う」 エシカルを楽しむZ世代


セレンディピティー消費生む三井不動産 移動販売で衝動買い誘発


売らない店の勝ち筋

原宿にZ世代向けフルーツオレ専門店 「店舗で買えない」新戦略

 東京・原宿に、Z世代をターゲットにしたフルーツオレ専門店「The Label Fruit」がオープンした。特徴は店頭で商品を販売しないこと。スマホから事前に注文を受け付け、店舗は商品を渡すだけの場所となる。スマホからの顧客の購買履歴やAIカメラを使った店内での動向データを分析し、店舗運営に生かす。


渋谷地下街「99円カフェ」の秘密 6G時代見据えた“日本版b8ta”

 2021年7月、東京・渋谷の地下街「しぶちか」に99円(税込み)で本格ドリップコーヒーを提供する店がオープンした。その実は、全国各地の名品を並べるショールームであり、空間の広告メディア化を目指した「売らない店舗」だ。6G(第6世代通信規格)時代の次世代店舗を見据えている。


「売らない店」なのに併売率がECの1.5倍の謎 驚異のシャンプーD2C

 月額制パーソナライズシャンプーなどのD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドを展開するSparty(スパーティー、東京・渋谷)は、有楽町マルイに常設店を構える。髪質・頭皮診断を通じたカウンセリングサービスを売りとし、購入自体はECサイトで行う「売らない店」だ。店舗を訪れた人の実に約8割が定期購入の会員となり、併売アイテムの購入率はネットオンリーの顧客と比べて1.5倍に達する。好調のワケを探った。


SDGsを訴求する店

Z世代向け「無人古着屋」が学内に出現 ビジネスモデルもSDGs的

 拓殖大学内の空きスペースに、無人かつレジもない古着販売店がオープンした。衣類の廃棄を減らすため、アパレルと不動産会社が提携した。基本的に商品は1着500円均一で、販売対象者は拓殖大学の学生と職員のみ。収益を出しつつ、衣料品ロスを減らすため、どのようなノウハウがあるのか。


東京・原宿にゲオが「SDGs店舗」 Z世代の集客狙う

 メーカーや小売店の余剰在庫を買い取り、低価格で販売する「Luck Rack(ラックラック)」事業を運営するゲオクリア(名古屋市)は2021年7月22日、東京・原宿に新店舗「Luck Rack東急プラザ表参道原宿店」を出店した。19年4月に横浜市で1号店を開店して以来、全国で12店舗を展開中で、13店舗目は東京23区への初進出となった。


メルカリが初のファッション店舗 ブラックフライデーにSDGs訴求

 メルカリが2021年11月25~27日の3日間限定で、初のファッション実店舗を立ち上げた。過剰消費や売れ残りが懸念されるブラックフライデーへのアンチテーゼとして、自社のフリマサービスを訴求する。ユーズドアイテムだからこそ実現する、循環型の消費サイクルを促す。


バラエティーに富む自販機

D2C商品と好相性「自販機」 無人でアクセサリーも香水も売れる

 コロナ禍で非接触の接客が求められる中、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)製品を売る手段として自動販売機ビジネスが加速している。「SNSで話題にしたい」「面白いものをプレゼントにしたい」という欲求をくすぐり、数千~1万円と自販機としては高額の商品が次々と売れていくという。


「次世代自販機」が食の流通変える 1分で熱々ラーメン完成

 2021年11月4日発売の「日経トレンディ2021年12月号」では、日経クロストレンドと11月3日に発表した「2022年ヒット予測」を特集。4位に「次世代自販機」を選んだ。コロナ禍でフードデリバリーが爆発的に普及し、食の流通が変化。22年は自動販売機が新勢力になりそうだ。米国から上陸した「Yo-Kai Express」は、注文から約1分で熱々のラーメンが完成。AIカフェロボット「root C」は、指定した時間にいれたてのコーヒーを提供する。新しいイノベーションの自販機が食の流通革命を起こす。


昆虫食自販機が都内でひそかに増加中 女性向けに特化した商品も

 コオロギやイモムシを食べる“昆虫食”。ゲテモノ扱いされがちだが、世界の食糧危機を救う食材として注目されている。日本では昆虫食の自動販売機が出現。ちょっとした観光スポットとして、食事会などの場を盛り上げるツールとしての需要が多い。女子向けに特化して商品展開するものもある。

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