新しい年には期待感と同時に、先行き不透明感も漂います。長年、ぬぐい切れなかった閉塞感を、22年こそ振り払いたいものです。その意味において今、ビジネスパーソンに求められることの1つが「発想の転換」です。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 いよいよ迎えた2022年。新しい年には期待感と同時に、先行き不透明感も漂います。長年、ぬぐい切れなかった閉塞感を、22年こそ振り払いたいものです。

 その意味において今、ビジネスパーソンに求められることの1つが「発想の転換」です。従来、無意識に植え付けられてきた既成概念の枠をいかに払しょくするか。「アート思考」がビジネスにおいて急速に注目を集めているのも、そのためでしょう。論理性だけを追求しても、イノベーションは生まれません。アート思考は人間が持つ創造力を解放し、既成概念を取り払う大きなきっかけになると期待されています。

 一般のビジネスパーソンにとって、「アート」や「デザイン」はやや縁遠いものでした。しかし、これらの知識やスキルが顧客の課題発見や解決に役立つとして、徐々に身近なものになりつつあります。「2020年代は“Design by People”の時代」というデザイン会社のコンセント(東京・渋谷)が開催しているデザインスクールには、一般企業のイノベーション担当部門や新規事業部門のビジネスパーソンが多く集まるそうです。

 「デザイン思考」を推進する企業も増えています。花王やソニーによる「インクルーシブデザイン」への取り組みは、その好例でしょう。例えば、花王のアタックZEROの新容器は視覚障がい者や手に軽度のまひがある方、シニアなどの協力を得て開発したとのこと。従来のマーケティング手法の限界を超えられる可能性が、そこにはあるようです。閉塞感を何とか取り除きたいと考えたとき、アート思考やデザイン思考がヒントを与えてくれるかもしれません。

論理性だけではイノベーションは生まれない


顧客課題を見つける技術 ビジネスに役立つデザインスクールとは


インクルーシブデザインとは ソニーも行うデザイン思考の新⼿法


ビジネスに役立つアート思考

アート思考をビジネスに生かすために大切な「2つのこと」

 ビジネスに「アート思考」を取り入れるために、大切なことが2つある。1つは、経営陣が「ビジネスには感性も欠かせない」と理解していること。もう1つは、次の時代を担うビジネスパーソンが、自分軸を意識した「経営者目線」を持つことだ。書籍『仕事に生かすアート思考 感性×論理性の磨き方』の内容を、一部抜粋・再編集して紹介する。


アート思考の鍵となる「自分軸」の探し方 5つのポイント

 「アート思考」で重要な鍵となるのが「自分軸」だ。自分の人生の目的、行動指針、目標となるもの──そこを起点に物事を考えることで、既成概念の枠を越え、新たな発想を生む可能性が広がる。では、自分軸を探すにはどうすればいいのか。書籍『仕事に生かすアート思考 感性×論理性の磨き方』の内容を、一部抜粋・再編集して紹介する。


アート思考をビジネスに取り入れる

 「アート思考」で目指すのは、創造性と論理性の両方がバランス良く入ったビジネスアイデア。たどり着くのは容易ではないが、ワークショップなどを通じて「感性(創造性)」と「論理性(実現可能性)」の2軸を行き来しながら近づいていく。その実践法を解説した書籍『仕事に生かすアート思考 感性×論理性の磨き方』の内容を、一部抜粋・再編集して紹介する。


ビジネスパーソンに必要なデザインスキル

パナ初の「デザイナー出身執行役員」が誕生 デザイン経営に本腰

 2021年6月に社長が交代し、楠見雄規氏が社長執行役員CEO(最高経営責任者)に就任したパナソニック。デザイン本部長の臼井重雄氏は同年4月、100年を超える歴史を持つ同社初となるデザイナー出身の執行役員に就いた。10月のグループ体制の変更を前に、今後のパナソニックのデザインについて臼井氏に聞いた。


JIDA最年少理事長は40歳デザイナー 協会名も入会資格も変更

 日本を代表するデザイン関連団体、JIDA(公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会)理事長に、2021年6月、NOSIGNER(横浜市)代表の太刀川英輔氏が就任した。歴代最年少の理事長誕生の背景や、デザイン業界の課題、これから取り組むことなどを聞いた。


ビービットCCO藤井氏が語る「アフターデジタル」のUXデザイン

 近い将来、リアルもネットも境目なく、あらゆる行動がデータ化されるようになったら──。そんな時代に持つべき視点や求められるUX(ユーザーエクスペリエンス)について、ビービット(東京・千代田)のCCO(チーフ・コミュニケーション・オフィサー)、藤井保文氏が語った。


どうすれば発想を転換できるのか

バックキャスト思考とは SDGs時代に身に付けるべき必須スキル

 インクルーシブデザインでは、将来に発生するさまざまな「制約」を考慮することで持続的な事業の開発を目指している。前回は「極端ユーザーマーケティング」を通じて、高齢社会における「身体制約」をリアルに感じて新規事業の開発に生かす方法を紹介した。今回は「環境制約」を受け入れた新規事業の開発に不可欠な「バックキャスト思考」について、インクルーシブデザイン・ソリューションズ(IDS、東京・江東)社長の井坂智博氏が実例を交えて解説する。


イノベーション生むチーム、7つの特徴 1人の天才よりグループ

 一般社団法人日本社会イノベーションセンター(JSIC、東京・文京)の教育プログラム「i.school」だけでなく、多くの研究機関ではワークショップによるアイデア創出を狙っている。学術的知見では、1人の天才によるひらめきより、イノベーションに結びつきやすいことが分かっているからだ。ワークショップの設計や運営が適切なら、グループのほうが成果を出しやすい。


アレクサ成功の陰に幻のスマホあり? 失敗から成功企業が学ぶこと

 なぜ、人間は失敗と向き合うことを避けたがるのか。「それは、短期的な結果に思考が偏りがちだから」と指摘するのは、学びデザインの荒木博行社長。VUCA(ブーカ)とも呼ばれる不確実な時代、失敗を成長につなげる発想の転換が不可欠になる。「失敗から学べる人」の条件とは何か。2021年10月に『世界「失敗」製品図鑑』を上梓(じょうし)した荒木氏に、その要諦を聞いた。