2021年も多くのテクノロジーやサービス、商品が世に登場しました。コロナ禍の影響で暮らしや働き方が大きく変わり、「人手不足」や「非接触」といった新たな課題も明らかになりました。そうしたなかで目にする機会が多くなったのが、街中で働く「飲食店用ロボット」です。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 2021年も多くのテクノロジーやサービス、商品が世に登場しました。コロナ禍の影響で暮らしや働き方が大きく変わり、「人手不足」や「非接触」といった新たな課題も明らかになりました。そうしたなかで目にする機会が多くなったのが、街中で働く「飲食店用ロボット」です。

 東京都内の駅に登場したのは、AI(人工知能)カフェロボット「root C(ルートシー)」。多数のロッカーが付いた自動販売機のようなスタイルで、スマホアプリで注文をしておくと、指定した時間に受け取れる画期的なサービスです。450円(税込み、以下同)で単品購入できることに加え、月額1980円で8杯まで、もしくは7980円で飲み放題となるサブスクリプション型プランもあります。カフェでもコンビニでもない、いれ立てコーヒーを楽しめる“第3の場”としてさらに広まりそうです。

 焼肉店や中華料理店などの飲食店で増えているのが配膳ロボット。なかでもユニークな取り組みを行っているのが、和食チェーンのがんこフードサービス(大阪市)が運営する、懐石料理を味わえる店舗「お屋敷・高瀬川二条苑」。古い庭園を改修し、鴨川を望む川床や庭園の新緑、紅葉など様々な京の風景を楽しめる高級料亭のような店舗ですが、料理の提供価格が意外にもリーズナブル。実はその裏側では、生産性向上のため配膳ロボットなどを徹底活用しているのです。

 ロボットの頭脳とも言えるAIの技術も飲食分野でさらに進化しています。例えば、電通の「TUNA SCOPE」は、マグロの尾の断面の画像をディープラーニングによる画像認識で“目利き”するAI。コロナ禍で渡航が難しい中での海外のマグロ買い付けでも活躍しています。また、一人前になるまで10年かかるといわれるバウムクーヘンの職人が有する技を学習した、世界初のバウムクーヘン専用AIオーブン「THEO(テオ)」も注目です。

 人手不足を補い、プロ顔負けの技も駆使するロボットやAI。少子高齢化やアフターコロナが生み出すさまざまなニーズでさらなる進化が見込まれます。2022年は、買い物や外食などのシーンで、こうしたロボットに出会うことが増えるかもしれません。

無人カフェ「root C」が優秀賞 上質コーヒー受け取る自販機とは


驚異の「和食店DX」 配膳ロボット×おもてなしで生産性10%超向上


「すしロボット」40年、進化の系譜を公開 次に狙う新市場とは?


配膳や接客もロボにおまかせ

5年以内にロボット接客が日常に? ロボ共働店舗づくりが急加速

 コンビニや飲食店などでは運営業務の削減を狙い、5年以内にロボットの導入活用が当たり前になる。こうした状況を見越し、動き出したのが店舗やビルの建築設計企業だ。人とロボットが共に働く最適な環境や空間とは何かについて検証を始めた。ロボット社会の到来に、多くの企業が無縁ではいられなくなってきた。ロボット活用の最前線を追う。


ロボット活用の勘所 飲食店は「ラストワンメーター」がカギ

 人手不足が深刻な外食業界ではロボットへの期待は高い。すでに活用実験に取り組むチェーンも相次いでいる。ただ、まだ試行錯誤の段階といえそうだ。期待通りの導入効果を上げるには、「ロボットとの協働」を前提に、店舗設計や店舗オペレーションを「withロボット」にデザインし直すことが欠かせない。


新型コロナで変化 JR東の「ロボット」と「無人店舗」の現在地

 ロボットや無人店舗といった、華々しい最先端のテクノロジーも導入や実証実験が進む。ただ新型コロナウイルスは、ベンチャーたちのロードマップにも影を落とす。コロナ禍がアゲンストになるかと思いきや、むしろ追い風に変えようとする力強いサービスもある。


食に関わるAI最前線

異能の電通マン「おいしいマグロを見抜くAI」を実用化した舞台裏

 マグロのおいしさをディープラーニングで判定する。ミスマッチとも思える組み合わせのAI活用が、実用段階に入っている。「第2回 ディープラーニングビジネス活用アワード」で食部門賞を受賞した電通の「TUNA SCOPE」は、マグロの尾の断面の画像をディープラーニングによる画像認識で“目利き”するもの。スマートフォンアプリとして実装することで、コロナ禍で渡航が難しい中での海外のマグロ買い付けにも貢献している。


「AIオーブン」が作る極上バウムクーヘン 老舗が職人技をデータ化

 IoT家電が個人の食体験を大きく変えている中、店舗で活用される業務用家電も進化を遂げている。その1つが、1909年創業の老舗、ユーハイム(神戸市)が5年をかけて開発した世界初のバウムクーヘン専用AIオーブン「THEO(テオ)」だ。一人前になるまで10年かかるといわれるバウムクーヘンの職人が有する技を、AI(人工知能)が継承した理由とは。


ニチレイの新アプリ始動 食嗜好に合わせた献立をレコメンド

 冷凍食品大手のニチレイが初のアプリサービス「conomeal kitchen(このみるきっちん)」の提供を2020年11月18日から始めた。ユーザーの食の好みに基づき、AI(人工知能)を活用して作り置きレシピを提案する意欲的なアプリだ。その狙いとは?


この「自動販売機」がすごい

「次世代自販機」が食の流通変える 1分で熱々ラーメン完成

 2021年11月4日発売の「日経トレンディ2021年12月号」では、日経クロストレンドと11月3日に発表した「2022年ヒット予測」を特集。4位に「次世代自販機」を選んだ。コロナ禍でフードデリバリーが爆発的に普及し、食の流通が変化。22年は自動販売機が新勢力になりそうだ。米国から上陸した「Yo-Kai Express」は、注文から約1分で熱々のラーメンが完成。AIカフェロボット「root C」は、指定した時間にいれたてのコーヒーを提供する。新しいイノベーションの自販機が食の流通革命を起こす。


全国変わり種自販機6選 ケーキ、モツ肉、キムチが自販機に?

 2021年11月4日発売の「日経トレンディ2021年12月号」では、日経クロストレンドと11月3日に発表した「2021年ヒット商品ベスト30」を特集。コロナ禍により、非対面で購入ができる自販機への注目度は高まる一方だ。21年、各地の街角では、ショートケーキ、花束、モツ、昆虫と、「こんなものまで売っているのか」と驚きの自販機が続々と登場した。全国各地の「売れる変わり種自販機」の裏側を聞いた。


下町製麺店3代目、逆転のB2C創出術 ラーメン冷凍自販機が急拡大

 創業60年を超える老舗製麺店の丸山製麺(東京・大田)。コロナ禍で倒産危機に陥る中、新規事業としてスタートした冷凍自動販売機によるラーメン販売サービス「ヌードルツアーズ」が急成長を遂げている。仕掛け人である同社3代目の丸山晃司氏に、新規事業立ち上げの苦労と成功の秘密、今後の展望を聞いた。

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