季節は秋。灼熱のような暑さもやわらぎ、いよいよ本格的なアウトドアシーズンが始まります。ますます盛り上がるアウトドアブームは、テントやタープ、焚き火台といったキャンプグッズだけでなく、ファッションやクルマ、住宅など、あらゆるジャンルに浸透。その勢いはとどまることを知りません。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

 季節は秋。灼熱のような暑さもやわらぎ、いよいよ本格的なアウトドアシーズンが始まります。ますます盛り上がるアウトドアブームは、テントやタープ、焚き火台といったキャンプグッズだけでなく、ファッションやクルマ、住宅など、あらゆるジャンルに浸透。その勢いはとどまることを知りません。

 屋外であることや密になりにくいこともアウトドアブームを後押ししている要因の一つですが、コロナ禍におけるニューノーマルで、そのスタイルも変容しつつあります。

 千葉県香取市にある“予約3カ月待ち”のグランピング施設「THE FARM(ザファーム)」の運営会社が、キャンプ場としては珍しいフランチャイズ事業に乗り出しました。同施設の売りは、エレガントなグランピング用テントやまるでホテルのようなコテージ。グルメメニューも充実しており、ビーフステーキやロブスターなどの高級食材を備え付けのバーベキューグリルで堪能できます。

 ただ、高級なテントやコテージで過ごしたり、豪華なアウトドアメニューを味わうことは他のグランピング施設でも満喫できます。実はザファームの人気の秘密は「農業」「温泉」「宿泊」の組み合わせなのです。

 もともと「農業×観光」をテーマに立ち上げた会員制の日帰り貸農園でしたが開業当時は赤字続き。様々な試行錯誤を重ねた結果、観光名所がないような山奥の過疎地でも、農業、温泉、アウトドア宿泊という魅力をそろえれば人は集められるという確信を持てたといいます。

 フランチャイズではこれらのノウハウをパッケージにして提供。フランチャイズ“第一号”となった「マザー牧場 グランピング THE FARM」は、オープン直後にも関わらず、週末の予約はキャンセル待ちが発生するほどになりました。

 アウトドアブランドもキャンプグッズ以外に視野を広げています。人気のキャンプ用品メーカー「スノーピーク」が描いているのは、アウトドアブランドからライフバリューブランドへの進化。同社3代目の山井梨沙社長が特に世の中に伝えたいというのが、「豊かに生きることの大切さ」。それを実現するためには、自然の中でのキャンプ体験が近道だといいます。

 一方、コロナ禍で定着したテレワークで働く場所の自由度が上がった結果、注目され始めたのが「ワーケーション」。この機を逃すまいと全国各地の観光地や自治体がワーケーションをうたい始めています。例えば長野県白馬村は冬、スキー客でにぎわうウインターリゾートですが、カフェ併設のレジャー施設が次々と誕生し、Wi-Fiや電源を備えたワークスペースが点在するなど、ここ数年で一気に街の姿が変わりました。

 休暇も仕事も人生も……。アウトドアは一過性のブームでは終わらず、ライフスタイルの一つとして定着するでしょう。ニューノーマル時代の消費行動に欠かせない要素として今後も注目しておくべきです。

日本のグランピングが変わる? 人気殺到の施設が新ビジネス開始


「村をつくります」 スノーピーク3代目社長が明かす理想郷計画


長野が「テレワークの聖地」に変貌 絶景を見ながらリモート会議


アウトドアブランドの新戦略

ノース・フェイスがワーケーション参入 長野・大町が新聖地に?

 アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」を展開するゴールドウインが、ワーケーション(休暇を取りながら働くライフスタイル)に本格参入した。長野県大町市の「ANA ホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」と協業し、大自然の中、同社契約アスリートとトレイルランなどを楽しめる宿泊付きプランを2020年11月に発売した。軽井沢町や白馬村など全国区のリゾート地を擁する長野県にあって、大町市は新たな旅先として急浮上する可能性を秘める。


スノーピークが前代未聞の超大型展示会 舞台は大自然、その勝算

 「衣」「食」「住」「働」「遊」と幅広いカテゴリーでの事業展開が勢いを増すスノーピーク。その勢いを直に伝えるイベントが2021年7月に新潟県三条市の本社屋とキャンプフィールドで開催された。取引先やステークホルダーらを招いた巨大な展示会だ。


アウトドア専門店のDX、勝機はどこに? 好日山荘社長に聞く

 老舗の登山・アウトドア用品専門店、好日山荘(神戸市)。2020年11月に、物販のみならず、体験商品まで取り扱う新機軸のECモール「GsMALL」を立ち上げた。小売店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が叫ばれる中、「重要なのはアナログ」と語る真意は。社長の池田真吾氏に聞いた。


アウトドアのヒット商品

新参ブランドのテントに注文殺到 「サバティカル」人気の秘密

 キャンプに欠かせないギアの筆頭であるテントは、国内外のアウトドアブランドがしのぎを削り合うレッドオーシャンだ。そんな激戦区において、新参ながらヒットを飛ばしているブランドがある。エイアンドエフ(東京・新宿)が展開する老舗アウトドアショップのA&Fカントリーが手掛けるオリジナルブランド「SABBATICAL(以下サバティカル)」だ。


半年待ちでも欲しい 「ヘキサテーブル」が起こしたキャンプ革命

 昨今のキャンプブームを語る上で欠かせない存在がガレージブランド。メジャーなアウトドアブランドのギアを卒業したコアなキャンプ愛好家から支持を集め、ここ数年その数はうなぎ登り。中でもキャンパー憧れの六角形テーブルがTheArth(ざぁ~ッス・埼玉県川口市)の「ヘキサテーブル」だ。


完売続くスノーピーク「たき火用ベスト」 ギアっぽくないで人気

 スノーピークのアパレルライン「スノーピークアパレル」が好調だ。自然の中で過ごしやすい機能素材を使いながらも、着心地が良くて街にも似合うシンプルなデザインが人気の理由。中でも2016年秋冬シーズンに登場した「TAKIBI Vest」は、毎シーズン完売を繰り返すほどのヒット商品だ。


キャンプと防災

キャンプと防災で需要増のポータブル電源 防水の「ラチタ」とは

 「令和時代のキャンプに必携のギア」として、2019年から急激に盛り上がりを見せているポータブル電源。その名の通り持ち運びできる大型バッテリーのことで、屋外でも家電製品の充電や使用ができると人気だ。中でも異彩を放っているのが、日本発のブランド「ラチタ」。その真価をひもといていこう。


災害時に役立つソロキャングッズ 防災力強化&非常食10選

 キャンプグッズは災害時に役立つものも多い。ソロキャンデビューするなら、命を守るための備えも一緒に考えておくといい。また、「ローリングストック」を基本とする非常食にも新潮流が生まれている。近年の非常食の進化は著しく、普段から食べたい商品が増えている。


災害時にも強い味方に 「ソロキャンプ」グッズ

 1人で“密”を避けられる「ソロキャン」の人気にあやかり、ソロキャングッズが続々と発売されている。1人でも運べるように軽くてコンパクト設計であるため、実は防災向きで日常的に使えるものが多い。もしものときにも味方になってくれるグッズを紹介する。

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