経済産業省は2021年7月30日に、ECに関する市場調査結果を発表しました。20年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、旅行やチケット販売などのサービス系EC市場が大きく落ち込んだため、市場全体では前年比0.43%減の19兆2779億円とほぼ横ばいでした。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 経済産業省は2021年7月30日に、ECに関する市場調査結果を発表しました。20年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、旅行やチケット販売などのサービス系EC市場が大きく落ち込んだため、市場全体では前年比0.43%減の19兆2779億円とほぼ横ばいでした。

 ですが、物販に絞れば前年比21.7%増の12兆2333億円と急伸。全カテゴリーで2桁成長となりました。特に大きく伸びたカテゴリーは「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」で同28.8%増の2兆3489億円となりました。リモートワークが広がる中、自宅の労働環境整備の需要などが後押ししたのではないでしょうか。

 また、「食品、飲料、酒類」カテゴリーも同21.1%増の2兆2086億円に増加しました。もうからないと言われ続けたネットスーパーが軒並み成長するなど、生活様式が一変したことがデータからも読み取れます。

 コロナ禍以前は店舗を持つ企業やメーカーにとって、ECは店舗の補完的な意味合いが強い傾向にありました。ですが状況は一変。もはやECは多くの企業にとってなくてはならない存在です。こうした中、高級車メーカーのビー・エム・ダブリュー(以下BMW、東京・千代田)は20年からEC事業を大幅に強化しました。BMWもネットで買う時代が既に訪れています。

 ECサイトの展開や強化を検討するうえで参考になる記事が、日経クロストレンドにも多く掲載されています。ぜひ、ご一読ください。

BMWもネットで買う時代 1800万円の車種が3分で完売


トヨタ車サブスク「KINTO」が放つ切り札「体験EC」の狙いとは


タイガー魔法瓶 ECサイトでボトルの売れ行き急増のワケ


実店舗とEC連携のOMO加速

「売らない店」なのに併売率がECの1.5倍の謎 驚異のシャンプーD2C

 月額制パーソナライズシャンプーなどのD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドを展開するSparty(スパーティー、東京・渋谷)は、有楽町マルイに常設店を構える。髪質・頭皮診断を通じたカウンセリングサービスを売りとし、購入自体はECサイトで行う「売らない店」だ。店舗を訪れた人の実に約8割が定期購入の会員となり、併売アイテムの購入率はネットオンリーの顧客と比べて1.5倍に達する。好調のワケを探った。


わずか1週間で売り上げ大幅増! アダストリアが初のOMO型店舗

 「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」や「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」などを展開するカジュアル衣料大手のアダストリアは、自社ECサイト「.st(ドットエスティ)」とリアル店舗をつなぐOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)戦略を推進する。目指すのは会員データの活用と、スタッフとのコミュニケーションを増やすことによる顧客体験の向上だ。OMO型店舗の出店後、わずか1週間で、周辺の既存店売り上げが大幅増となるなど、成果を見せている。


オンワード樫山 売り方も品ぞろえも変えたOMO型店舗の狙い

 オンワードホールディングス傘下のアパレル大手、オンワード樫山(東京・中央)が2021年4月、リアル店とECのメリットを融合した新業態店「オンワード・クローゼット・ストア(ONWARD CROSSET STORE)」の展開を開始した。千葉県船橋市にある「ららぽーとTOKYO-BAY」内に4月24日にオープンした旗艦店を取り上げ、同社が新業態店で目指す狙いと今後の展開を追った。


コロナ禍を乗り切るEC活用

EC売り上げがYouTubeで大幅増 崖っぷちコーヒー店の起死回生策

 京都のコーヒー店「Kurasu Kyoto」(京都市下京区)は新型コロナウイルス感染症流行拡大の影響による営業自粛で、実店舗は一時売り上げが81%減となる大打撃を受けた。起死回生の一手となったのが、バリスタによるデジタルを通じた顧客とのコミュニケーションだ。YouTubeやInstagramを使い、バリスタがコーヒーのいれ方やレシピを紹介した。これがECサイトでの受注拡大に貢献。YouTube経由のECサイトの流入数は10倍になり、2020年は売り上げ全体に占めるECサイト経由の割合が8割に達した。


外食店での体験ごと宅配するオイシックス 焼き鳥台や鉄板も届く

 コロナ禍でリアル店舗を利用しにくい状況下、外食業界では料理のテークアウトに加え、食材のオンライン販売に活路を見いだそうとする動きがある。だが、単なるオンライン販売では、既存の「お取り寄せ」と変わらない。そこで、リアル店舗と同じような楽しさを家庭で味わえるように工夫したのが、オイシックス・ラ・大地の「Oisixおうちレストラン」だ。


ビームス、コロナ禍のEC化率は43% 「秘訣は人にあり」設楽社長

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響でアパレル業界全体が苦戦する中、セレクトショップのビームス(東京・渋谷)は、積極的に異業種とのコラボを進め、従来の領域にとどまらない変化を目指している。その先の狙いは何か。ビームス社長の設楽洋氏にIT評論家の尾原和啓氏が直撃した。


ECの王者アマゾンに挑む

アマゾンの猛攻に耐え抜いた、生き残り企業「3つの共通点」

 アマゾンの業容拡大やネット販売の進展による様々な業界への影響を意味する「アマゾンエフェクト」。米国では、玩具のトイザラス、百貨店のシアーズホールディングス、家電量販店のフライズ・エレクトロニクスなど、名門の大手企業が次々と飲み込まれている。一方でそうした中でも生き延びている企業も少なくない。何が明暗を分けているのか。米国の最新状況から分析する。


「アマゾンにも真似できない」 定期便を究めた菓子サブスク

 アマゾンとの違いを打ち出す際、「体験」をキーワードに掲げる企業は少なくない。今回は、AI(人工知能)を使って自分だけのおやつ時間をユーザーに届ける「スナックミー」、体験を軸に異業種のリアル店を複合させた「ビックロ」を取り上げ、それぞれどんな体験をユーザーに提供しているか解説する。


“アマゾンキラー”のショッピファイ、驚異の成長率の訳

 アマゾンキラーとして取り上げられるカナダのショッピファイ。eコマースのサイト構築や運営のサービスを提供する同社は、規模は及ばないもののアマゾンを大きく越える成長率を達成している。eコマースの販売事業者がアマゾンではなくショッピファイを選ぶ理由はどこにあるのか。日本を含むアジア太平洋地域(APAC)の責任者に聞いた。