2020年に過去最高の業績を上げ、05年から15期連続で増収を達成するなどコロナ禍でも絶好調のスノーピークは、日本のアウトドアシーンをけん引するリーディングカンパニーです。同社でキャンプ事業を立ち上げ、オートキャンプに革命を起こしたのが会長の山井太(とおる)氏。ヒットを連発するモノ作りの核心を聞きました。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 2020年に過去最高の業績を上げ、05年から15期連続で増収を達成するなどコロナ禍でも絶好調のスノーピークは、日本のアウトドアシーンをけん引するリーディングカンパニーです。同社でキャンプ事業を立ち上げ、オートキャンプに革命を起こしたのが会長の山井太(とおる)氏。ヒットを連発するモノ作りの核心を聞きました。

 「スノーピークはキャンパーとしてキャンプ用品を作っている会社。自分たちがキャンパーとして使い勝手が悪いと思ったものや、使えないと思う商品は作りませんし、他社のコピーもやりません。明らかに他のブランドとは違うもの、圧倒的な差がデザインにも機能にも宿っているものだけを作りたいと思っています」と山井会長。ヒットの秘密はこの言葉に集約されていると言っていいでしょう。

 興味深いのは「スノーピークはマーケティングをやらない」と明言している点です。ユーザーに意見を尋ねても、返ってくるのは既にある商品に関する情報が多い。他社の“ものまね”をやらない同社とって、マーケティング調査はあまり意味がないのだとか。キャンパーとしての自分たちのアイデアや感性を信じすぎるが故、以前は先走って商品を発売することもありました。しかし現在はユーザーの声に耳を傾けることで、最適なタイミングで商品を投入できるようになったとのこと。だからこそ、ヒットを連発できるのでしょう。

 2020年3月に山井会長から経営のバトンを引き継いだ、長女の山井梨沙社長にも話を聞きました。スノーピークの業容の幅を広げたアパレル事業をイチから立ち上げ、今や業績に大きく貢献するほどまでに育てたのが山井社長です。ここでも「TAKIBI Vest」のような大ヒット商品が生まれています。アパレル事業は新規顧客の開拓にもつながりました。アウトドアで耐え得る機能性に加え、日常的に着られるデザイン性の高さで、これまでスノーピークの対象ではなかった非キャンパーの取り込みに成功したのです。アパレル業界を熟知する山井社長は、シーズン終了ごとに大量の廃棄服が発生するなど、無駄が多く非効率なアパレル産業の構造にも、スノーピークの事業を通して一石を投じようとしています。自然との共生が大きな意義を持つ同社らしい発想といえます。

 山井社長の目線はさらに先を見据えています。スノーピークの製品やサービスを通して、自然の魅力や新しい価値(=人間性の回復)に気づいてもらうきっかけを作るべく、長野県白馬エリアに複合施設を開設するなど、多様な領域で新規事業を展開し始めました。これからモノ作りを超えた体験価値の提供、ライフバリュー創出へ向けた事業が活発化していきます。

 既に“壮大なプラン”が動き出そうとしてます。新潟県三条市にある本社横の広大な敷地を手に入れ、そこに「スノーピークが提供するライフバリューを可視化して、人間性が回復できる、テーマパークのような施設」(山井社長)を作ろうとしているのです。キャンプやアウトドアにおける自然とのふれ合いが、人生のさまざまな問題に対する解決策になり得る、そう考えるスノーピークだけに、どんな施設になるのか大いに気になります。

 その他、山井会長の米国進出裏話や、山井会長・社長(父・娘)による本音対談なども掲載しています。ぜひご一読ください。

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「市場調査は意味がない」 スノーピーク会長、モノ作りの核心


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コロナ禍にアパレルをどう伸ばすか スノーピーク3代目が語る要諦


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スノーピークが新潟に巨大テーマパーク構想 モノづくりの先へ


もっと知りたいスノーピーク

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【7/28開催 日経クロストレンド・カレッジ】スノーピークのヒット考~人間性の回復に向けた新規事業展開~

 2020年に過去最高の業績を上げ、15期連続で増収を達成するなどコロナ禍でも絶好調のスノーピークは、間違いなく日本のアウトドアシーンをけん引するリーディングカンパニーだ。同社はなぜ成功し続けられるのか。ヒット連発のモノづくりの要諦から、ものづくりを越えた新事業展開、キャンプを通じた人間性の回復とライフバリューの創出まで、山井社長を筆頭に、同社のキーパソンが解説する。


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20年越しのリベンジ 会長が明かすスノーピーク流・米国攻略法

 日本のアウトドアシーンをけん引するリーディングカンパニー、スノーピーク。ヒット商品を市場に送り続け、コロナ禍でも業績絶好調の同社にフォーカスを当てた特集。第2回は山井太(とおる)会長が自ら本腰を入れている、米国市場での事業展開について話を聞いた。


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会長と社長、父娘の本音対談 コロナ後に待つスノーピークの未来

 ここまでヒット商品を連発するスノーピークのモノ作りや、人間性の回復を目指して体験価値を提供する新規事業に懸ける思いについて、山井太会長と山井梨沙社長に語ってもらった。最終回は社長交代直後に起こったコロナ禍でのドタバタから、10年後を見据えた同社の未来像まで、会長と社長、父娘による本音対談をお届けする。


入手困難? 人気アウトドアグッズ

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完売続くスノーピーク「たき火用ベスト」 ギアっぽくないで人気

 スノーピークのアパレルライン「スノーピークアパレル」が好調だ。自然の中で過ごしやすい機能素材を使いながらも、着心地が良くて街にも似合うシンプルなデザインが人気の理由。中でも2016年秋冬シーズンに登場した「TAKIBI Vest」は、毎シーズン完売を繰り返すほどのヒット商品だ。


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半年で4.5万台 家庭も狙うスノーピークの折り畳み式コンロ

 家庭はもちろん、キャンプシーンでも使われることが多い卓上コンロを、スノーピークらしくリデザインしたのが「HOME&CAMPバーナー」だ。鍋などを置く五徳部分を本体内にすっきり収納できる画期的な構造は、瞬く間に話題を集め、発売半年で4万5000台を売るヒット商品となった。


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半年待ちでも欲しい 「ヘキサテーブル」が起こしたキャンプ革命

 昨今のキャンプブームを語る上で欠かせない存在がガレージブランド。メジャーなアウトドアブランドのギアを卒業したコアなキャンプ愛好家から支持を集め、ここ数年その数はうなぎ登り。中でもキャンパー憧れの六角形テーブルがTheArth(ざぁ~ッス・埼玉県川口市)の「ヘキサテーブル」だ。


自然とのふれ合いが事業のヒントに

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ノース・フェイスがワーケーション参入 長野・大町が新聖地に?

 アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」を展開するゴールドウインが、ワーケーション(休暇を取りながら働くライフスタイル)に本格参入した。長野県大町市の「ANA ホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」と協業し、大自然の中、同社契約アスリートとトレイルランなどを楽しめる宿泊付きプランを2020年11月に発売した。軽井沢町や白馬村など全国区のリゾート地を擁する長野県にあって、大町市は新たな旅先として急浮上する可能性を秘める。


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スノーピークが隈研吾設計の複合施設 開発の勢い止まらぬ白馬

 スノーピークは2020年4月、長野県白馬村に隈研吾氏設計の新たな体験型複合施設を開業する。観光案内所や国内最大規模となる直営店を設置し、スターバックスなど知名度の高い飲食店も誘致。エリア開発を通じて一帯を海外戦略の柱となる観光都市にするのが目標だ。


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異色の社長と著名Pが仕掛ける、標高1400mのビーチリゾート

 白馬観光開発(長野県北安曇郡白馬村)は、インバウンド需要の高まるスキー事業に加えて地域のオールシーズンのリゾート化を進め、「白馬マウンテンビーチ」を開業。海外の飲食店などの国内上陸を手掛ける著名プロデューサーが参画し、若年層の呼び込みや地域経済の活性化に拍車を掛ける。

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