昨今、商品開発やマーケティングをするうえで、欠かせない視点が「ジェンダー」です。性にとらわれず自分らしさを表現しようという動きは、若い世代に確実に広がってきています。メーカー側もこれも対応し、ジェンダーレスな視点を意識する必要があるのです。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 昨今、商品開発やマーケティングをするうえで、欠かせない視点が「ジェンダー」です。性にとらわれず自分らしさを表現しようという動きは、若い世代に確実に広がってきています。メーカー側もこれも対応し、ジェンダーレスな視点を意識する必要があるのです。

 象徴的なのは、メンズコスメ市場の拡大です。富士経済(東京・中央)によると、19年のメンズコスメ市場は1199億円(前年比1.6%増)。11年以降、8年連続の伸びを見せており、22年は1237億円(19年比3.2%増)と見込まれています。

「スキンケアやメークは女性がするもの」といった固定観念が、通用しなくなってきているわけです。さまざまな調査が示す通り、若い男性にとってスキンケアは当たり前。「美肌男子」「美白男子」という言葉もごく普通に耳にするようになりました。メークも、もはや女性だけのものではなくなってきています。

 こうした変化に敏感な企業はすでに手を打ち始めています。

 花王グループのエキップ(東京・品川)は20年2月、ジェンダーレスなスキンケア&ライフスタイルブランド「athletia(アスレティア)」を立ち上げ、ました。パナソニックが20年7月に発売したZ世代男性向け「ファーストシェービングシリーズ」は、ひげそりのほか、眉毛の手入れやデリケートゾーンのケア用に人気です。パナソニックの社内では、ジェンダーについてもっと情報発信をすべきだとして、プロジェクトが立ち上がったりしています。

 メディアやエンターテインメントの世界でも、これまでのジェンダー観を超えたコンテンツの人気が高まっています。ジェンダーレスを価値として認め、積極的に求めようとする意識は、Z世代をはじめとする若い世代により顕著です。学校のランドセルや制服にもジェンダーレスの波が押し寄せており、10年後、20年後にはそうした環境で育った世代が社会の中核を担うようになります。

 ジェンダーについて無自覚、無関心な企業は今後、大きなリスクを抱えることになるかもしれません。広告や企業SNSにおいても、ジェンダー規範は年々厳しい方向へ変化しているため、以前はスルーされていた企画が今の価値観でアウトになるケースが多発しています。

 リスクを抑え、価値観が変わりつつある生活者の共感を得る──それには社内の意識を高める努力と同時に、改めてチェック体制などを構築していくべきでしょう。

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 ファッションや美容、グルメ情報が中心というイメージが強い女性誌に、異変が起きている。2020年から「サステナビリティー」(持続可能性)や「SDGs」(持続可能な開発目標)を特集する誌面が目立って増えているのだ。


Z世代のジェンダー観

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 学校の制服にジェンダーレスの動きが拡大している。Z世代の中学・高校生に詰め襟やセーラー服以外の選択肢が増え、マーケターにとっても商品開発のヒントになるだろう。「トンボ学生服」のブランドで知られ、学生服を製造・販売するトンボ(岡山市)は「ジェンダーレス制服」を他社に先駆け2015年からいち早く開発。特に、そのうちの1つとしてデザインした女子用スラックスが、21年4月から1000の中学・高校が採用するヒット商品になった。


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ジェンダーへの無関心はリスク

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炎上した企業アカウントはいつどうやって再開させたらよいか?

 2020年10月下旬にタカラトミー、11月初旬にストッキング・タイツ製造大手アツギのTwitterアカウントが相次いで炎上し、多数のメディアで報じられた。炎上した企業アカウントは、いつどのようにして再開すればよいか。過去のケースを参照しながら考察する。


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ジェンダー表現を規制するような法や自主ルールはある?

 前回『後を絶たない「ジェンダー炎上」 その分類から対策を見通す』は、ジェンダー炎上した事例を(1)「エロ・セクシュアル型」と(2)「ステレオタイプ型」の2つに大きく分類して分析した。今回は、それらの分類を踏まえて、フランテック法律事務所代表の金井高志弁護士に、ジェンダー表現に関する法的規制や自主ルールの有無などについて聞いた。

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