昨今、「サステナビリティ」「SDGs」といった言葉とともに、経済活動と環境保護のバランスをどう取るかが社会的課題となっています。

(写真/Shutterstock)
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 昨今、「サステナビリティ」「SDGs」といった言葉とともに、経済活動と環境保護のバランスをどう取るかが社会的課題となっています。

 身近な動きではレジ袋の有料化が話題になりましたが、同時に取り組みが加速しているのがペットボトルのリサイクル。これは、メーカーの製造工程から見直す必要があります。

 飲料メーカーで1つのターゲットになっているのが2030年です。サントリーは30年までにグローバルにおけるペットボトル製品すべてをリサイクル素材または植物由来素材にし、化石由来の原料を使ったペットボトルをゼロする取り組みを推進中。日本コカ・コーラとボトラー5社などからなるコカ・コーラシステムも、30年までに新たな石油由来原料の使用をゼロにする目標を掲げています。キリンビバレッジは27年までに日本国内におけるペット樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂に、50年までに容器包装を100%リサイクル材やバイオマスなどを使用した持続可能な素材にする考えです。

 これまでペットボトルは食品容器などに再生されることも多かったのですが、今後はペットボトルをペットボトルとして再生する「ボトル to ボトル」が増える見込みです。また、従来は水やお茶などのボトルが中心でしたが、ジュースなど糖などを含む飲料のボトルでもリサイクルできる技術が進んでいます。

 ペットボトル以外の素材に目を広げると、最近は「こんなところで脱プラの動きが!」という事例が増えてきました。カミソリや歯ブラシなどは、ホテルのアメニティーなども含めて使い捨てが多い分野。脱プラスチックの効果は大きいでしょう。

 一方で、リサイクルや脱プラスチックの推進には消費者の協力が不可欠でもあります。例えば先のペットボトル。リサイクルするには正しい分別が必須ですが、家庭ゴミの分別は進んでいても、外出先では必ずしもそうではありません。飲み残しがあるまま捨てる、ペットボトル専用ゴミ箱以外に捨てるという人も多いのが実情です。

 今後はリサイクル技術の発展とともに、消費者にその重要性をどう理解してもらうかのプロモーションも企業にとっての課題となりそうです。

コカ・コーラ、再利用ペット樹脂使用率を28%に 流通にも拡大


キリン「生茶」でリサイクルペットボトル拡大 新技術開発も推進


サントリー「やさしい麦茶」すべてリサイクル素材ペットボトルに


あらゆる場で進む脱プラ

刃以外がすべて紙 貝印の世界初「紙カミソリ」が早くも完売

 水回りで使う機会が多いカミソリにも、「脱プラスチック」の流れが押し寄せた。貝印の「紙カミソリ」は、刃以外がほぼすべて紙でできている新機軸の商品。2021年4月に発売したものの予約分は完売し、増産待ちだ。


FSC認証を持つ竹製の歯ブラシ ホテルのアメニティーでも人気

 スタートアップも、いまやSDGsを抜きにした製品開発は考えられないだろう。若い世代にとって、環境に配慮した製品は当たり前。起業にも高い意識が求められる。そうした企業の好例が、2018年に立ち上げたばかりのmana.ORGANIC LIVING(マナ オーガニック リビング、沖縄県沖縄市)だ。


パッケージもエシカルな方向に

コーセーが「雪肌精」シリーズで脱プラ加速 外装パッケージは紙

 コーセーは2021年1~2月にかけて発売したミスト状美容ローション「雪肌精 クリアウェルネス W バリア ミスト」と日焼け止め「雪肌精 クリアウェルネス UVディフェンス」の外装パッケージに紙素材だけを使ったパウチを採用した。従来の外装パッケージはプラスチックを使用していたが、今回のパウチを使えばプラスチックはゼロになる。


パッケージをあえて地味に 紙パック飲料、大幅拡充の勝算

 アスクルの商品開発の裏側に迫る本連載。今回取り上げるのは、脱プラスチックムーブメントを受け、話題を集める紙パック飲料だ。2019年の第1弾として大容量の水を投入したのに続き、21年には大幅にラインアップを拡充。綿密なユーザー調査から見えてきたニーズとは。


緑茶「伊右衛門」が大ヒット ラベルレスが消費者の心をとらえる

 日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2020年ヒット商品ベスト30」の11位に「サントリー緑茶 伊右衛門」が選ばれた。実は伊右衛門の売り上げは2005年をピークに減少傾向にあったが20年4月に液色を「緑色」に刷新すると、2020年1〜9月に前年比109%というV字回復を見せた。


消費者の関心も変化

消費の軸が変わるか サステナブル、エシカルが急浮上【調査】

 日経クロストレンドがまとめた「トレンドマップ 2021上半期」調査の消費キーワード編。長引くwithコロナの中で、将来性スコアを伸ばしたキーワードは大きく2種類。「マルチハビテーション」「ワーケーション」というライフスタイルを示すものと、「サステナブル消費」「エシカル消費」に代表されるSDGs(持続可能な開発目標)関連だ。一方で、大きくスコアを落とした意外なキーワードもあった。


SDGsを特集する女性誌が好調 ポイントは「太陽に徹すること」

 ファッションや美容、グルメ情報が中心というイメージが強い女性誌に、異変が起きている。2020年から「サステナビリティー」(持続可能性)や「SDGs」(持続可能な開発目標)を特集する誌面が目立って増えているのだ。


【サステナブル素材】非エコの服は売れない時代が到来する

 厳選したキーワードから、近未来の日本に起きることを予測する特集の4回目。環境負荷の少ない素材=「サステナブル素材」が、作り手にとって優先され、買い手にとっても購買理由の一つとなりつつある。ファストファッションのトレンドも大きく変化しそうだ。

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