ネットスーパーは長らく「もうからない」ビジネスと言われてきました。かといって、競合他社や台頭するEC事業者への対抗策としてやめるわけにもいかない。そうした、いかんともしがたい状況が続いてきました。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 ネットスーパーは長らく「もうからない」ビジネスと言われてきました。かといって、競合他社や台頭するEC事業者への対抗策としてやめるわけにもいかない。そうした、いかんともしがたい状況が続いてきました。

 なぜ、もうからないのか。最大の要因は消費者の利用意向にありました。日々の食卓に必要な生鮮食品をわざわざ送料をかけてまで買いたくない。そうした考えを持つ消費者が多く、結果的に購入されるのは飲料水や米のまとめ買いが中心。事業会社が利便性を高めようと、一定額の購入で送料が無料になるサービスを提供したことが、むしろまとめ買いを促進させる形になっていたのは皮肉な話です。スーパーにとって稼ぎ頭は生鮮食品や総菜ですから、この消費動向に変化が起きないと収益は出しづらかったわけです。

 これが大きく変わったのが新型コロナウイルス感染症拡大でした。第三者との接触を避けたい消費者の間で、生鮮食品をネットスーパーで購入したい意向がグッと高まりました。ある業界関係者はネットスーパーは各社、この1年で大幅な伸びを示していると明かします。ネットスーパーがニューノーマルにおける、小売りDX(デジタルトランスフォーメーション)の本丸とも言える存在へと変わりました。

 そこで、各社はこれをチャンスと捉え、利便性を高めるべくさまざまな策を講じています。西友は楽天と、ライフコーポレーションはアマゾンジャパンという具合にそれぞれ大手ECプラットフォーマーと手を組み、物流網の強化に動いています。イトーヨーカ堂はネットスーパー支援の10X(東京・中央)のシステムを採用し、ネットスーパーアプリを刷新しました。

 ですが、ネットスーパーは店舗とはビジネスモデルが大きく異なります。収益を生むには構造そのものを改革する必要があります。ネットスーパーはもうかるビジネスに生まれ変われるのか。最新トレンドをまとめました。ぜひご一読ください。

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