新型コロナウイルス感染症の影響により、ビジネス上でかつての手法が取れなくなり、窮屈さを感じているという方も多いのではないでしょうか。その代表といえばイベントです。密を避けるため、会場に多くの人を集めるイベントは開催しづらい状況が続いています。そこで広がっているのがオンラインイベントです。日経クロストレンドの記者が解説します。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、ビジネス上でかつての手法が取れなくなり、窮屈さを感じているという方も多いのではないでしょうか。その代表といえばイベントです。密を避けるため、会場に多くの人を集めるイベントは開催しづらい状況が続いています。そこで広がっているのがオンラインイベントです。

 例えば、世界最大級の家電・技術見本市「CES」は完全オンライン化という形で、21年1月中旬に開催されました。CES関連記事の担当者として、いくつかの講演を見てみました。視聴者の視点でみると、これほど楽なことはありません。かつて米ラスベガスの会場を回った時には、1週間ほどの予定を組んで現地に向かい、時差ボケの頭を叩きながら講演会場を回ったものです。オンライン配信であれば、自宅のパソコンを開くだけで即座に講演を見ることができます。

 リアルタイムで見るには深夜時間帯になってしまうのですが、講演はアーカイブでも配信されるので、好きな時間に再生すればいいわけです。興味のある講演が同じ時間に重なっていてもあとで別途視聴できます。

 恥ずかしながら英語に自信がない私にとっては、画面下の選択肢から「Japanese」を選べば、自動翻訳の字幕が出るのも画期的でした。以前のCESで人気俳優のトム・ハンクスさんが登場し、マシンガントークで大いに会場を盛り上げていたのですが、うまく聞き取れず悔しい思いをしました。当時のCESも、字幕付きのオンラインだったら、もっと楽しめていたのかもしれません。

 このオンラインイベント、取材先で話を聞くとうまく成果を出せずに困っているという声も聞こえてきます。「コストに見合うリード(潜在顧客のリスト)が獲得できない」というわけです。その点で評価が高いのは、アジア最大のIT・家電展示会「CEATEC」です。こちらも従来は千葉市の幕張メッセで毎年開催していましたが、20年10月のイベントはオンライン化しました。CEATECは、オンラインの来場者から事前に許諾を取ったうえで、企業の展示サイトを訪問した来場者のデータを即座に出展企業へ伝えるという、スムーズな仕組みを構築していたことが評価につながっているようです。

 CESもCEATECも、次回はオンライン配信と同時にリアル会場でも開催するハイブリッド化の準備を進めています。完全オンライン化のノウハウを生かし、リアルとオンライン両者の良さを実感できるイベントになることを期待しています。

電通・森氏のCES分析 社会変化へ真摯に挑むメッセージ性強まる


21年CESで示された未来ビジョン 焦点は「細分化」と「大衆化」


「やはり会場の熱気感じたい」21年のCEATECはハイブリッドを視野


CESはwithコロナ時代のニューリテールが重要テーマに

「ヘルスケアもオムニチャネルに」米ウォルマートCEO【CES 2021】

 米ウォルマートのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は2021年1月13日、世界最大のデジタル見本市「CES 2021」にオンライン登壇し、新型コロナウイルスの感染症拡大後、どのように経営判断をしてきたのかを説明した。ヘルスケア事業や気候変動対応にも注力していくことも明かした。


EC前年174%増も「店舗不要にあらず」米ベストバイ【CES 2021】

 米家電量販最大手のベストバイのコリー・バリーCEO(最高経営責任者)は2021年1月12日、世界最大のデジタル見本市「CES 2021」の基調講演に登壇し、新型コロナウイルス感染拡大後の、購買行動の変化と店舗の役割について語った。オンラインでの販売が急増するが、それを支えていたのは店舗のインフラだった。


超高齢化の課題先進国ニッポン 新発想が世界リード【CES 2021】

 2021年1月11日から14日にかけて開催されたデジタル見本市「CES」。日本貿易振興機構(ジェトロ)は、日本を代表するスタートアップ経営者を招いた講演会をオンラインで開催した。体験型ストアであるb8ta(ベータ)有楽町店内に特設スタジオを設置し、日本発のイノベーションをアピールした。


CESでモビリティーやフードテックなど21年のトレンドを先読み

遠隔操作のピザ配達車やクルマ用USB CESで見た「移動」の進化

 初のオンライン開催となった「CES 2021」。重要なテーマとしてモビリティーやスマートシティーが掲げられており、基調講演として米ゼネラル・モーターズ(GM)が電動化のビジョンを示したこと以外にも複数の展示があった。それら新動向をMaaS Tech Japanの渡邊徹志CTO(最高技術責任者)が分析する。


家電とベンチャーの融合でフードテック加速 CESに見る食の未来

 オンライン化した「CES 2021」には、フードテックに関する出展も数多く見られた。ニューノーマル時代の到来により食に対する消費者の考え方も変化する中、関連サービスはどう進化していくのか。書籍『フードテック革命』の共同筆者であるシグマクシスの岡田亜希子氏が注目ポイントを紹介する。


GMが物流EVや1人乗りドローン  電動化で示す未来【CES 2021】

 オンライン化した家電・IT総合見本市「CES」の2日目、2021年1月12日の基調講演は米ゼネラル・モーターズ(GM)。すべての車種を電動化するビジョンを示しつつ、物流事業者に向け商用EVサービスも発表。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代のプラットフォーマーとしての脱却を目指す。


広がるオンラインイベントの可能性

オンライン開催のCES 2021 ビデオ展示に工夫

 1967年から開催されてきた米家電見本市CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が、今年はコロナ禍において完全オンラインで開かれた。参加企業は1700社と昨年の4400社に比べると大きく減ったものの、ビデオ展示に工夫を凝らす企業も見られた。


ディズニーやビームスも出店 第三の売り場、VR市場の潜在力

 2020年12月19日~21年1月10日の23日間にわたりVR(仮想現実)イベント「バーチャルマーケット5」が開催となった。ウォルト・ディズニー・ジャパン(東京・港)も店舗やECに続く「第三の売り場」として公式ストアを出展。リアルなイベントのオンライン化が進むなか、新たな市場として定着するのか。


阪神名物いか焼きも出展 「バーチャルマーケット」の魅力とは?

 VR(仮想現実)空間上の展示会「バーチャルマーケット5」が2021年1月10日まで開催中だ。これまでは、VRと相性のいいゲームメーカーなどエンターテインメント会社の出展が目立っていたが、最近は百貨店や自動車メーカーなどの出展も増えてきた。バーチャルマーケットの魅力とは何か、主催するHIKKY(ヒッキー、東京・渋谷)のメディア担当 大河原あゆみ氏に聞いた。

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