この1年、日本のキャッシュレス化は一気に進みました。政府が推進したキャッシュレス・消費者還元事業やコード決済事業者による白熱のポイント還元バトル、これにコロナ禍における非接触ニーズの高まりも加わって強い追い風が吹いたと言っていいでしょう。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 この1年、日本のキャッシュレス化は一気に進みました。政府が推進したキャッシュレス・消費者還元事業やコード決済事業者による白熱のポイント還元バトル、これにコロナ禍における非接触ニーズの高まりも加わって強い追い風が吹いたと言っていいでしょう。経済産業省商務・サービスグループキャッシュレス推進室の資料によると、日本のキャッシュレス決済比率は17年の21.3%から18年には24.1%、19年には26.8%に上昇しています。

 そうしたことが背景にあるからでしょうか。最近、キャッシュレスを語るときは新興のコード決済や電子マネーの話題が中心です。でも、“キャッシュレス”決済の定番は今も昔もクレジットカード。いまだ保有者も取扱高も一番多いのですから。

 そこで今回はクレジットカード会社のキャッシュレス戦略に着目してみました。その戦略は実に色とりどりです。

 “老舗”の三井住友カードやJCBはそのブランド力やシステム力、巨大な顧客基盤を生かし、加盟店開拓と利用者拡大の両輪を回します。

 流通系カードで業界大手のクレディセゾンはデジタル化に舵。スマートフォンに表示する「デジタルカード」の採用で、カード発行時間を最短5分に短縮しました。これはECやコード決済が伸びているからこその選択です。

 エポスカードは若い世代のプレミアム会員獲得が好調。丸井のカードというイメージとは裏腹に、もはやショッピング関連の取扱高の約95%がマルイ以外での利用です。その裏には、独自のLTV向上戦略がありました。

 「楽天Pay」や「楽天Edy」などコード決済、電子マネーにも取り組み、話題が尽きない楽天は今回、会員向けサービス「楽天カードアプリ」と「楽天e-NAVI」に注目。会員向けマーケティングと加盟店開拓の両面で生きるそれらの活用戦略に迫りました。

 最後に「Visaのタッチ決済」も。サッカー選手、堂安律選手がリフティングしながら意気揚々と決済したら商品をもらい忘れるというコミカルなテレビCMが記憶にある方も多いでしょう。米ビザ傘下の日本法人ビザ・ワールド・ジャパンはVisaのタッチ決済普及に注力しています。高速バスなど公共交通機関でも使えるようになってきました。最大ブランドである「VISA」がタッチ決済普及に本腰を入れることで、日本の決済の形はさらなる変化を見せるかもしれません。

 これまで意外と語られてこなかった、クレカ会社のキャッシュレス戦略。まとめてご紹介します。

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3本柱で普及図るJCB 読み取り方式追加で目標60万店へ疾走


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三井住友カード QR、電子マネーなど“全部入り”で囲い込み加速


独自の顧客基盤で我が道を行け

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エポスカード、驚異のLTV向上戦略 713万の37%がプレミアム会員

 丸井グループのクレジットカード会社であるエポスカード(東京・中野)。元はハウスカードでありながら、現在はマルイ店舗以外での取扱高が全体の9割を超えるなど独自路線を進む。増えているのが30代以下の会員の利用だ。スマートフォン決済を含む決済手段の多様化とプレミアムカード戦略でメインカード化を狙う。


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楽天カード 会員増を加速させたポイント付与の最適解

 社名変更から10年弱で日本有数のクレジットカード会社に成長した楽天カード(東京・港)。楽天経済圏の存在やポイントの効用ばかりが強調されがちだが、その真の強みは会員とのコミュニケーション手段である「楽天カードアプリ」と会員専用オンラインサービス「楽天e-NAVI」にある。競合他社の志向を先取りする形でキャッシュレス化を推し進める楽天カードの戦略を追った。


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セゾンがデジタルカードに舵 物理的クレジットカードなしで発行

 流通系カード大手のクレディセゾンは2020年11月24日、新たな決済サービス「SAISON CARD Digital」を開始した。アプリ内に表示するデジタルカードの採用で発行にかかる時間を最短5分に短縮。ナンバーレスカードで既存のスキャン型決済端末にも対応する。狙いはスマホとの親和性向上と若年会員の獲得。いずれは“カードレス”も視野に入れる。


決済のあり方を変える新手法

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対応端末数が1年で3.2倍 Visaがタッチ決済の普及を急ぐワケ

 カード国際ブランド運営会社の1つ、米ビザ(Visa)傘下の日本法人ビザ・ワールドワイド・ジャパン(東京・千代田)が、「Visaのタッチ決済」と呼ばれる非接触(タッチ)決済の普及に向け、日本国内で攻勢を強めている。これまで事実上、手つかずの公共交通機関にも採用例が出始めた。ビザ・ワールドワイド・ジャパンの普及への取り組みを追った。


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スマホすらいらない 「指輪でキャッシュレス決済」が来年広まる

 日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2021年ヒット予測ランキング」の7位に「EVERING(エブリング)」が選ばれた。買い物からドアの施錠まで、指先で触れるだけで済む世界がもうすぐそこまで来ている。


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買い物かごに入れる前に専用スマホでピッ イオン「レジゴー」の衝撃

 スーパー大手では、従来のキャッシュレスにとどまらない「コンタクトレス」な買い物スタイルの構築が始まっている。イオングループの一部店舗で始まったのは、レンタルスマホを使って、商品をかごに入れる際に読み取って登録するという驚きの決済方式だ。

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