「日経トレンディ」2020年12月号が掲載した、毎年恒例の看板企画「ヒット予測100」。来年のヒットが確実な商品やサービスを予測する特集ですが、この中で、編集部はある“エリア”に注目しました。それが「埼玉県所沢市」です。日経クロストレンドの記者が解説します。
「日経トレンディ」2020年12月号が掲載した、毎年恒例の看板企画「ヒット予測100」。来年のヒットが確実な商品やサービスを予測する特集ですが、この中で、編集部はある“エリア”に注目しました。それが「埼玉県所沢市」です。
池袋から特急で約20分。決して交通至便とはいえないこのエリアに着目した理由の一つが、「西武園ゆうえんち」のリニューアルです。西武グループが威信をかけ、約100億円を投じて老朽化の進んだ施設を生まれ変わらせる。21年春のオープンを目指しています。
このリニューアルで、西武グループと組むのが、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させた森岡毅氏が率いる「刀」。施設の古さを逆手に取り、1960年代の古き良き日本の街並みを再現し、「所沢にあえて行ってみたくなる」という戦略で勝負するといいます。
刀のプロジェクトはこれだけではありません。公表されているプロジェクトの協業先は、「丸亀製麺」、「ネスタリゾート神戸」、セガサミーホールディングスとの「横浜IRプロジェクト」、農林中央金庫との長期厳選投資信託「おおぶね」など、食から金融まで多岐にわたります。そしてその先にあるのが、森岡氏の悲願でもある、沖縄の新テーマパークプロジェクトです(下記参照)。
そんな森岡氏が12月、最新刊を上梓しました。『苦しかったときの話をしようか』(ダイヤモンド社)では娘のために書き綴った仕事論、『マーケティングとは「組織革命」である』(日経BP)ではビジネスにおける組織論など、これまでにもビジネス書でヒットを連打してきた森岡氏の、最新刊のテーマは「リーダーシップ」。書籍のタイトルは『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』(日経BP)です。
特別な人しかリーダーになれない――。そう思っている人は多いのではないでしょうか? しかし森岡氏は「リーダーシップは誰にでも身につけられるスキル」と断言します。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、時代の見通しが全くきかなくなった昨今、多くの方が未来に不安を抱いているのではないでしょうか。しかし、受け身のままでは何も事態は好転しません。未来は、自分の選択次第で変えられる! そのために必要なのがリーダーシップです。
森岡氏自身も、最初から優秀なリーダーだったわけではありません。人見知りが激しく、周囲への配慮や協調性が欠如していたと語る同氏が、どのように「人を活かす」「人を本気にさせる」スキルを苦しみながら身につけていったのか。自身のエピソードを交えて、「悪戦苦闘のリーダーシップ」を語り尽くします。
本書終盤では、コロナ災厄時代のリーダー論についても別章を立てて大きく取り上げました。「『安全』といえばすぐに社会的使命を放棄しようとする日本の風潮はおかしい。なぜならば、『100』のままでもマズいけれど、すぐに『0』にしていては長期戦必至のコロナ災厄を日本人が生き抜くことはできないからです」(書籍より)。コロナ禍で真っ先にクローズしたTDR(東京ディズニーリゾート)やUSJ、対面授業をストップしたままの大学、春だけではなく夏も中止した高校野球の甲子園大会……。これらリーダーたちの判断に、舌鋒鋭く切り込みます。「マーケティングとエンターテイメントで日本を元気に!」という大義を掲げる森岡氏ならではの、コロナ災厄の出口戦略も展開しています。
一度しかない人生を、自分自身が「やりたいこと」を実現させる人生へとシフトチェンジさせたい人に、ぜひお読みいただきたい1冊です。(佐藤 央明)
『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』
森岡 毅 著 日経BP 1870円
■Amazonで購入する
■日経BP SHOPで購入する

「クール埼玉」の逆襲 所沢が21年、若者を引き寄せる街へ変貌

古さを懐かしさに昇華する西武園ゆうえんち、新たな顔は「幸福感」

西武園ゆうえんち、森岡流で再生へ「古さを逆手に」青写真の狙い
「刀」の協業プロジェクト①

USJ時代からの悲願 沖縄プロジェクトは「50年後の日本への恩返し」
森岡流「地方創生術」、その意義と秘策に迫る5回目。USJ時代の2013年から、森岡氏が温めていた沖縄テーマパーク構想。それが大和証券グループ本社との資本業務提携で、大きく前進した。「沖縄を元気にすることが日本を元気にする」と森岡氏は力を込める。

森岡流「地方創生術」、その意義と秘策に迫る4回目。2024~25年、沖縄北部に新たなテーマパークが誕生する。予定地は約120ヘクタールの「やんばるの森」。さらに横浜ではセガサミーホールディングスと組み、日本型のIR(統合リゾート)も構想中だ。これらのコンセプトの一端を森岡氏が明らかにした。

金融業界にメスを入れるべく、2019年8月末、農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)と、“希代の軍師”森岡毅氏が率いるマーケティング精鋭集団「刀」が協業を発表した。9月にはファンド名を「おおぶね」と改称。荒波を乗り越えて、日本に長期投資を根付かせる秘策を森岡氏に聞いた。
刀の協業プロジェクト②

沖縄北部テーマパーク前進 森岡氏率いる刀と大和証券提携の真意
沖縄北部に世界的なテーマパークを築く構想が大きく前進した。大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を再建した森岡毅氏率いるマーケティング精鋭集団「刀」が、大和証券グループ本社と資本業務提携を締結。2024~25年の開業を目指す。

客数2倍、売り上げ約3倍に! ネスタリゾート神戸・復活の秘策
森岡流「地方創生術」、その意義と秘策に迫る3回目。刀にとって、初めての地方テーマパークでの成功例が兵庫県三木市のネスタリゾート神戸(旧グリーンピア三木)だ。僅か1年で客数2倍、売り上げは3倍近くに増加。経営破綻した“負の遺産”を立て直し、「何も無い」を価値に変えた秘策は何か。

「刀」森岡毅流3箇条 地方から日本を元気にする集客施設づくり
USJを全国区に押し上げた森岡毅氏が率いる、マーケティング精鋭集団「刀」。エンタメビジネスはいわばお家芸だ。刀が指し示す、持続可能な地方創生事業の成功モデルとは何か。その意義と秘策を探る特集の1回目は、地方を元気にするための集客施設づくりにおける3箇条を明らかにする。
コロナへの提言&最新刊の「はじめに」はこちら

コロナ脱出を懸けた取り組み 森岡毅氏「100とゼロの間に最適解」
新型コロナウイルスが社会に大きな影響をもたらす中、日本を代表するマーケターである森岡毅氏が緊急提言。独占インタビューの後編では、前編で語られた「100とゼロの間で最適解を導き出す」ことの重要性を、企業の具体的な取り組みと併せて詳説する。

新型コロナウイルスが社会に大きな影響をもたらす中、日本を代表するマーケターである森岡毅氏が、独占インタビューで緊急提言。マーケティングマインドを持つビジネスパーソンたちが今、日本のため、消費者のために何を為すべきかを、熱を込めて、教示する。

森岡毅氏が断言「リーダーシップは誰もが身につけられるスキル」
特別な人しかリーダーになれない。そう思っている人は少なくないだろう。だが答えは「否」だ。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させたマーケター・戦略家の森岡毅氏は、「リーダーシップは誰にでも身につけられる後天的なスキル」と断言する。2020年12月14日に発売される森岡氏の最新刊『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』(日経BP)から「はじめに」の前半部分を公開する。