日本は人口減少社会に突入し、人材不足が深刻な問題になりつつあります。さらに、ここに来てのコロナ禍。ニューノーマル社会への移行やグローバル化に対応するために、世界で戦える変革人材が必要とされています。人材の発掘・育成の重要度が増しているのは間違いないでしょう。日経クロストレンドの記者が解説します。

 日本は人口減少社会に突入し、人材不足が深刻な問題になりつつあります。さらに、ここに来てのコロナ禍。ニューノーマル社会への移行やグローバル化に対応するために、世界で戦える変革人材が必要とされています。人材の発掘・育成の重要度が増しているのは間違いないでしょう。

 そんな中、日本電産を1代で世界トップの総合モーターメーカーに育て上げた会長兼CEO(最高経営責任者)の永守重信氏が、人材育成を根本から変えるために大学改革に乗り出しました。

 変革の舞台は、京都市内に本部を置く「京都先端科学大学」。2019年3月までは京都学園大学という名称で、受験界では偏差値が低く“Fランク”と呼ばれていました。永守氏は私財130億円以上を投じたうえに、理事長として大学に足しげく通い、改革を断行。同大学は、受験者数が大きく増加するなど、変貌を遂げつつあります。

 その永守氏の思いや人材育成のイズムを象徴しているのが、20年4月に新設された工学部です。充実した研究設備はもちろん、斬新な教育システムを取り入れています。中でも業界を驚かせたのが、英語教育です。

 同大学は、専門性に加え、「実践的な英語力」を重視する方針を公言しています。徹底した“話せる”英語の教育を1年次に実施するうえ、工学部ではすべての講義を英語で行う「EMI」(English-Medium Instruction)を採用しました。“英語を学ぶ”のではなく、“英語で学ぶ”ことを指し、研究の世界でもビジネスの世界でも共通言語といえる英語で学習し、議論することで、まさに実践的な英語力を身に付けさせるのが狙いです。

 さらに、従来は単なる通過儀礼ともいえる状態になっていた卒業研究を廃止し、「キャップストーン」と呼ばれる超実践的なプログラムに変更をしました。大学3年次から協力企業と共に実社会、実務に触れ、徹底した実践力を引き出します。これから必要になる人材とは何か、永守氏のメッセージを色濃く反映した斬新な取り組みと言えるでしょう。

 永守氏は、教職員や学生の意識改革も断行しました。大学の教職員や学生と、これでもかと直接対話をするのが永守流です。何と全教職員と昼食懇親会を繰り返し実施。学生へも、訓示の場を積極的に設けて熱いメッセージを届けています。突然、授業を見学しに来ることもあるといいます。永守氏のこの熱意が教職員に伝わり、学生にも影響を及ぼしています。数々のM&Aを成功させてきた永守氏の組織改革の本質を、大学改革から見て取れます。

 永守氏とその薫陶を受けた5人の改革実行者たちのインタビューを元に、9月23日には『永守重信の人材革命 実践力人材を育てる!』(日経BP)を刊行しました。書籍の巻末には、永守氏が30分にわたって熱弁を振るった19年入学式挨拶の要約を掲載しています。多くの若者の心を動かした熱いメッセージをぜひ、ご覧ください。

“勝てる”組織とは? 「永守重信氏の組織改革・人材育成」まとめ記事(画像)

日本電産・永守重信氏が目指す人材育成とは 新鋭工学部の全貌


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全授業英語化、キャップストーン…永守流「工学部」の核心


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新刊書籍『永守重信の人材革命 実践力人材を育てる!』発売


永守氏が大学改革に乗り出したワケ

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日本電産・永守重信会長独占インタビュー 最後の大仕事は大学

 1973年に日本電産を創業し、1代で世界ナンバーワンの総合モーターメーカーに育てた、カリスマ経営者永守重信氏。自らを育んだ京都で巨額の私財をなげうち、大学経営へと乗り出した。買収した企業をすべて再建させてきた最強の経営術で、凝り固まった大学の序列に風穴を開ける。その決意を聞いた。


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永守会長自ら塾長に! 大学改革・次の一手はビジネススクール

 大学経営に乗り出した永守重信氏へのインタビュー後編。今後のビジョンを尋ねると、滔々(とうとう)と語り始めた。付属中学、高校を開設し、ビジネススクールでは塾長を務める。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長にも講師就任を要請するつもりだ。


企業家も注目する米バブソン大学の人材育成力

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トヨタの豊田章男氏を育てたバブソン大学 起業家教育5つの方法論

 「たくさんのドーナツで満たされることを願っています」。バブソン大学の卒業式で、トヨタ自動車の豊田章男社長が母校の後輩に贈ったスピーチは国内でも話題を集めた。起業家教育(アントレプレナーシップ)に特化したバブソン大学の教育の方法論は、5つに分解できる。その方法論を同大学で准教授を務める山川恭弘と、同大学の卒業生であり、数々のイノベーション・プログラムを手がける小村隆祐が解説する。


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豊田章男氏のドーナツと起業家教育の交点 同窓会がピッチの場

 起業家教育(アントレプレナーシップ)に特化した教育機関の米バブソン大学。本連載の第1回は同大学の方法論を5つに分解し、そのうちの3つを紹介した(関連記事)。今回は残る2つを解説しよう。トヨタ自動車の豊田章男社長の言う「ドーナツ」と起業家教育の交点が見えてくる。


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バブソンから見た日本の現在地 なぜ起業家が少ないのか

 本連載では2回にわたって、バブソン大学が教える起業家教育の5つの方法論を紹介してきた。そして今回はなぜバブソンの方法論や、トヨタ自動車の豊田章男社長が言う「自分のドーナツを見つける」ことが現在の日本に必要なのか。バブソン大学から見た日本の現在地を、データが示唆する内容を基に探っていく。


カインズ、ワークマン……躍進企業の「組織と人」

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カインズ高家社長「進めているのはDXではなくCX、全社改革だ」

 「我々が進めているのはDX(デジタルトランスフォーメーション)ではなく、CX(コーポレートトランスフォーメーション)。全社改革だ」――。カインズが今デジタル戦略に舵(かじ)を切った理由について、高家正行社長は意外な言葉を口にした。その真意とは?


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社員に「片仮名英語やめて」 カインズのデジタル拠点が表参道に

 ブランドショップが立ち並ぶ、東京・表参道の交差点からほど近い路地裏。ビルの1階には、“コーヒーハンター”の異名をもつ川島良彰氏が監修した豆を使ったコーヒーが楽しめるおしゃれなカフェがある。実はこのビルが、2020年1月にカインズが構えたデジタル戦略拠点「CAINZ INNOVATION HUB」だ。


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ワークマンに学ぶ「新規事業での社員のやる気」を引き出す方法

 新規事業を成功させるには、社員のやる気を引き出すことが不可欠。ワークマンはどうやってそれを引き出したのか? それを実現したやり方を、同社専務取締役の土屋哲雄氏が動画で解説します。