デジタル化された都市・スマートシティというと、中国・杭州でアリババが進める「ET City Brain計画」や、米グーグルの兄弟会社であるサイドウォークラボが手がけるカナダ・トロントの「Sidewalk Toronto」など、海外のテクノロジー企業が先行しているイメージがあるでしょう。しかし、つい先日、サイドウォークラボがトロントからの撤退を表明するという衝撃的な出来事がありました。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 デジタル化された都市・スマートシティというと、中国・杭州でアリババが進める「ET City Brain計画」や、米グーグルの兄弟会社であるサイドウォークラボが手がけるカナダ・トロントの「Sidewalk Toronto」など、海外のテクノロジー企業が先行しているイメージがあるでしょう。しかし、つい先日、サイドウォークラボがトロントからの撤退を表明するという衝撃的な出来事がありました。

 翻って、日本ではどうでしょうか。かつてスマートフォンで海外勢に遅れを取った日本。このスマートシティでも……などと嘆く必要はありません。2020年1月の「CES 2020」でトヨタ自動車が発表した静岡県裾野市の「Woven City(ウーブン・シティ)」は、モビリティを核とした自動車メーカー主導のスマートシティ計画として、世界に誇るべきものになるはずです。さらに大都市・TOKYOを舞台とした、世界に類を見ない都市のデジタルトランスフォーメーション(DX)構想も、着実に進められています。

 20年3月、東京・大手町、丸の内、有楽町、通称「大丸有」エリアのスマートシティビジョン・実行計画が発表されました。2040年を完成期とするロードマップでは、スマートシティの核となるデータ利活用の基盤となる仕組み、いわゆる「都市OS」について23年におおむね実装を行い、25年の定常稼働を目指すというスピード感あふれるものとなっています。

 このスマートシティビジョンの核となる方向性が、「大丸有版MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」と、それを踏まえた都市空間のリデザイン構想です。例えば、地下鉄の改札を出たらすぐにパーソナルモビリティのポートがあり、パーソナルモビリティに乗ったままエスカレーターで上下移動できたり、地上出口のそばにシャトルバスや自動運転タクシーの乗降場、パーソナルモビリティのポートなどが集約されていたりと、交通結節点の見直しがうたわれています。大丸有エリアには地下鉄と各ビルをつなぐ通路、駐車場ネットワークなど、広大な地下空間が広がっているので、「人々の移動や街の構造を3Dで捉えて利便性を上げていく」(開発担当者)という発想です。

 他にも、トヨタ自動車の自動運転EVコンセプト「e-Pallete」のような箱型モビリティを使って、土産などの物販店からカフェ、バーといった飲食店、会議室まで、ニーズに合わせてフレキシブルに都市機能をインストールすることや、MaaSアプリを使った災害支援機能など、多彩なアイデアが詰め込まれています。

 こうしたモビリティを軸とした新たな都市創造の動き、その重要なピースとなるモビリティ×異業種連携を、我々日経クロストレンドは、MaaSのその先、「Beyond MaaS」という造語で表現してきました。MaaSは自動車業界や公共交通だけの“狭い”世界の話ではありません。スマートシティという一段上のレイヤーから眺めてみると、モビリティ連携によって全産業に新たなビジネスチャンスが見えてくるはずです。

 20年3月に刊行した『Beyond MaaS 日本から始まる新モビリティ革命 ―移動と都市の未来―』(日経BP)でも、「MaaS×異業種」のビジネスアイデアを豊富に紹介していますので、今回の厳選記事と併せてお読みいただければと思います。

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