この春、真新しいスーツに袖を通し、胸を高鳴らせて入社式に臨むはずだった人。あるいは、新たな部署やエリアに配属になり、新天地での活躍を期していた人。新型コロナウイルスの蔓延は、そんな日本人の毎年の風物詩を奪いました。新たな職場に足を踏み入れることなく、上司や同僚に会って挨拶することもなく、自宅で粛々とテレワークに励む人も多いことと思います。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 この春、真新しいスーツに袖を通し、胸を高鳴らせて入社式に臨むはずだった人。あるいは、新たな部署やエリアに配属になり、新天地での活躍を期していた人。新型コロナウイルスの蔓延は、そんな日本人の毎年の風物詩を奪いました。新たな職場に足を踏み入れることなく、上司や同僚に会って挨拶することもなく、自宅で粛々とテレワークに励む人も多いことと思います。

 本メールでは、マーケティング部門に新たに配属された人に、巣ごもり中の今こそ、ぜひお読みいただきたい記事を集めました。もちろん、「マーケティングとは何か」を再確認したい人にもぴったりの記事です。まずは、日経クロストレンドのアドバイザリーボードである、マーケティングの大先輩3人の金言から、そのさわりをご紹介していきましょう。

 営業からマーケティングに異動になった人が、「営業の第一線で仕事をしてきたから、マーケティングの現場にも理解がある」と思い込むのは危険。こう語るのは、エステー執行役エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏です。なぜ危険なのか、その理由は、営業の人にとって現場とは「消費者」ではなく、取引先などビジネスパーソンだからです。

 むしろ、研究・開発など技術系の人がマーケティング部門に異動すると、すっとなじむ素質があると言います。なぜなら、開発の人はいつも消費者を意識しながら仕事をしているから。マーケターはまず、消費者のことをきちんと理解しなくてはいけない、と鹿毛氏は力説します。

 プリファード・ネットワークス執行役員CMOの富永朋信氏も、「マーケティングをする上で本当に大切なのは人間について理解する、考えること」と説きます。

 例えば、優良ドライバーを目指すのであれば、上手な運転の理屈だけを勉強してもダメ。そもそも良い運転とは何か、車を運転することはどういうことなのかをしっかり理解していないと、どうして運転が上手いのか、という意味理解はおぼつかない。同様に「人間理解」のトレーニングを欠いていては、優秀なマーケターを目指すことは難しい、と言います。

 クー・マーケティング・カンパニー代表取締役の音部大輔氏には、新入社員を受け入れる側のマーケティング組織について語っていただきました。音部氏が導入したことで、脱落する新人が少なくなったと話す仕組みは何と「保護者会(PTA)」。その心は何か、ぜひ記事をお読みください。

 他にも、優秀なマーケターを数多く輩出するプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)流を学べる記事や、マーケティングの要諦を理解するためのパワポのスライド、マーケターの先輩方が推薦する本も取り揃えました。テレワークを余儀なくされているこの時期だからこそ、ライバルたちに差を付けるために、こちらもお読みいただければ幸いです。

マーケ部門に異動したあなたへ 鹿毛氏「手法より人の心の理解」


マーケの本質は人間理解 富永氏が考える新卒マーケターの器量


音部氏も実践 脱落者を出さず新卒を最強マーケターに育てる方法


「P&G流」のマーケティングを学ぶ

知られざるP&G流マーケター育成法 その全貌が明らかに

 華々しいP&Gマフィアの活躍ぶりと、その理由をプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)自身はどう考えているのだろうか。スタニスラブ・ベセラ社長など経営幹部が、知られざるP&G流マーケター育成法を明かした。


P&Gでの大失敗から得た気付き 一人の声がアサヒに革命を起こす

 アサヒビールとしては32年振りに外部から取締役に就任した松山一雄氏。インタビューの後編では、スーパードライの苦戦が続く中、どういった変革を起こそうとしているのか聞いた。その指針には、P&Gのマーケター時代に犯した大失敗の経験があった。


キリン本麒麟を生んだマーケター「売れる商品に社内の反対はつきもの」

 キリンビールの反転攻勢が続いている。「キリン一番搾り」のリニューアル成功や「本麒麟」の大ヒットにより、ビール類の販売は2年連続で前年超えになる見通し。その立役者が、2017年にマーケティング部長に抜擢された山形光晴氏だ。


マーケティングがよくわかる本とパワポ

パワポまとめ「5分で分かるマーケティングに大切な視点」

 技術による差別化が難しい今、企業が持続的に成長するには、顧客視点に立ったマーケティング戦略を立案・実行できる人材が必要です。その第一歩が、マーケティングのプロフェッショナル=プロマーケターだけが知る“共通言語”を学ぶこと。本資料では、「マーケティング」とは何か、「ブランディング」とは何か、戦略を構成する「目的」「資源」とは何かを、数々のマーケティング先進企業のマーケティング部門を率いてきた音部大輔氏の著書『マーケティングプロフェッショナルの視点』を基に解説します。


マーケティングが身に付く本とは? プロ仕事人が薦める「7分野の名著」

 ビジネス書を読む目的が明確になるほど、必要な本に出合いやすくなる。マーケティング力やリーダーシップ力、イノベーション力を上げるにはどうすべきか。特集の2回目は、社会人なら押さえておきたい7つのカテゴリーについて、第一線で活躍する経営者やプロ仕事人に読むべき書籍を挙げてもらった。


新人もベテランも ゼロから学ぼう「新しいマーケティング」

 皆さん、はじめまして。この連載は、新人マーケターに向けて、博報堂のマーケティングプラナーが20回以上にわたって、実践的なマーケティングを紹介する集中講座です。今マーケティングは新しいステージに移行しつつあります。私たちは、この連載を通じて、マーケティングの「新しい姿」を展望していきたいと思います。

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