新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言が発令され、各地で外出自粛要請が出されているなか、最も苦しい状況に置かれている業界の1つが飲食店です。日経クロストレンドの記者が解説します。

(写真/Shutterstock)
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 新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言が発令され、各地で外出自粛要請が出されているなか、最も苦しい状況に置かれている業界の1つが飲食店です。

 飲食店倒産防止対策を求める署名活動の発起人として、自ら国や国会議員への働きかけを行っているのが、開店以来、史上最速でミシュラン三ツ星を獲得したレストラン「HAJIME」(大阪市西区)のオーナーシェフ、米田肇氏。「政府に求めることは、飲食店従業員の給料補償と、家賃補償の2つが基本。これまで政府や各自治体は各種補償を打ち出しているが、おおむね手続きが煩雑なうえ、入金が3カ月先ということもざらにある。飲食店の一部は今日の売り上げで明日の食材を買っているような状態で、その場合は補償が間に合わない。一度客が激減したり、休業したりすると、一発で潰れる店がたくさん出てくる」と危機感をあらわにしています。

 この苦境をなんとかしようと、テークアウトやデリバリーを始めたり強化したりする動きも出てきています。しかし、それだけで売り上げの落ち込みを補うのは容易なことではありません。そんななか、ロックダウン(都市封鎖)という日本よりも厳しい状況にあるグアムで奮闘しているラーメン店があります。周りの店が次々に休業するなか、わずか1週間で「テークアウト繁盛店」になったのです。

 その大きな要因は、チャーハン、ギョーザ、唐揚げ、スパイシー枝豆、キムチなど、2~3人で食べられる通常32ドル相当の商品を20ドル(約2160円)にしたファミリーセット。ローカルマネジャーが提案し、その日のうちに試作、撮影、SNS投稿を完了させました。お得感やボリューム感が明確な20ドルのファミリーセットを前面に打ち出したことで、顧客のニーズと見事に合致。普段からSNSなどを使った情報発信を小まめに行っていたため、テークアウト販売開始の案内には250件以上のコメントが寄せられたそうです。店の電話回線がパンクするなどのトラブルが発生しましたが、クレームに対して1件ずつ丁寧におわびをしつつ、オペレーションを改善していきました。

 そんな同店も、ロックダウンに伴って休業した他店と同様、店舗営業を諦めかけていました。しかし、「グアム島民の家族団らんの場」としての存在意義を認識し、「自宅での団らんを提供する=テークアウト販売だけでも営業する」という決意を固めたそうです。自分たちの存在意義は何なのか――。未曽有の世界的危機に立ち向かう全ての人々のヒントになれば幸いです。

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巣ごもり消費・米国事情(3)、見直されるドライブシアター

 ニューヨークをはじめとして、米国の都市では新型コロナウイルスの封じ込めで、在宅命令が強化されている。そうしたなか「巣ごもり疲れ」の需要を喚起しているのがドライブインシアターである。感染対策を強化して営業を続ける動きがある。日本でもコロナ後の参考にすべき点があるだろう。


データで見るコロナショック

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 新型コロナウイルスの流行により各国で外出自粛・禁止が進む。そうした物理的な制限は、ネット通販の利用を加速させている。そこでECデータ事業のNint(東京・新宿)のデータを基に2020年2月に日本と中国で特に売り上げが伸びたカテゴリーを分析すると、日中の消費行動の違いが明らかになった。


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巣ごもり消費が加速 ホットケーキミックスとシロップが好調

 全国小売店の販売データを集計する日経POS情報で、2020年3月の来店客千人当たり販売金額の前年同月比伸び率を調査した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ホットケーキミックスやシロップが大きく伸びていた。


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位置情報分析で分かる「緊急事態宣言で人の往来は減ったのか?」

 2020年4月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象とした「緊急事態宣言」が政府から発令された。「人と人との接触を8割減らしたい」という政府の思惑は果たして消費者に浸透しているのか──。ドコモ・インサイトマーケティング(東京・港)が、位置情報などを示すNTTドコモの「モバイル空間統計」のデータを活用し、主要なターミナル駅周辺エリアの人の往来を明らかにした。


全編コロナ後書き下ろし!
「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」(2020年6月29日発売)
酒井大輔著、日経BP、1760円

 既存店と同じ商品を扱いながら、売り方を変えただけで2倍売れた!衝撃の新業態「ワークマンプラス」誕生から2年近く。消費増税も、新型コロナ禍も物ともせず、2桁成長を続けるワークマンの強さの秘密に迫りました。

 主人公は、商社からやってきた1人の男。作業服専門店が、なぜ今をときめくアパレルショップになれたのか。客層を大きく拡大できたのはなぜなのか。実は水面下で、緻密かつ計算され尽くした戦略がありました。組織が躍動し、変わっていく姿を、物語仕立てで克明に描写。本邦初公開の情報も余すことなく盛り込みました。ワークマンは新型コロナにどう立ち向かったのか。アフターコロナで何を仕掛けるのか。本書を読めばすべて分かります。新時代のリーダー像、成果を出すチームづくりの極意も見えてくるはずです。
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