ご多分に漏れず日経BPも、新型コロナウイルス対策の一環として全社を挙げてテレワークに取り組みました。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
新型コロナウイルスの感染拡大を機に本格的にテレワークで働いたこの数カ月間は、その利便性だけでなく、課題についても肌で体感する良い機会となりました。
課題の1つとして痛感したのが、出社しているメンバーと在宅のメンバーに分かれて行うビデオ会議のやりづらさです。特に弊社の場合、会社側が専用の設備を会議室や打ち合わせスペースに用意しているわけではなかったので、「音を出す」「音を拾う」「画面を映し出す」のそれぞれを最適化すべく、各部署が試行錯誤する羽目に陥りました。
その過程で、数メートルの範囲で360度の音を集められる無指向性のマイクが有用と気付き、筆者は急きょ3月7日に東京・新宿の大手家電量販店に買いに行きました。驚いたのは、そこで目にした光景。パソコン向けのマイクなどを扱う周辺機器コーナーに人だかりができていたのです。地下1階のどちらかというと片隅にあるこのコーナーの前をときどき通るのですが、いつもはほとんど人がおらず静まり返っているにもかかわらずです。
来店者のお目当ては、ウェブカメラでした。目の前で5個、10個とウェブカメラのパッケージを山積みにしてレジに向かうスーツ姿の男性が次々と現れる様子は正直異様でした。まるで、なにかの特価販売のよう…。恐らくテレワークの導入が急きょ決まり、ビデオ会議に必要なカメラがパソコンについておらず慌てて買いに来たのでしょう。
私が目にした光景は決してこの量販店特有の現象ではなかったようです。全国の家電量販店の実売データを集計している「BCNランキング」(BCN)によると、ウェブカメラの販売台数は2020年3月2日の週に前年同期比で327.6%に急伸したそうです。2019年12月2日の週から20年2月10日の週までは、ほとんど変化はありませんでしたので、異常とも言える売り上げ増となりました。最も売れたのは、ロジクールの「HD Webcam C270n」(直販サイトの価格は2310円)だったとのこと。全売り上げのうち3分の1がこの機種だったそうです。
その後の状況を知りたくなり、改めて3月15日に前出の新宿の家電量販店を訪れてみました。すると、ほぼすべての製品に「ただいま、品切れをしております」と書かれた紙が値札に張られていました。店員に尋ねたところ、いずれも納期未定だとのこと。マスク以外にも、新型コロナウイルスによって新たな商機が生まれていたわけです。
日経クロストレンドでは、こうした新型コロナウイルスによって生じた消費の変化を日々報道し続けています。ぜひこの機会に新たな発見をしていただければ幸いです。

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