2020年、列島各地で続いてきた再開発が、花開く時を迎えました。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
再開発、と聞いて何を連想するでしょうか。ただ箱物ができるだけだと思っていませんか。再開発の本当の効果は、人の流れを変え、新たな経済圏を生み出すことにあります。
実際、近年は商業施設にとどまらず、「オフィス」「ホテル」「コワーキングスペース」と、多彩な顔を持つ“複合型”の再開発が増えています。スタートアップ企業が集い、新たなビジネスが芽吹く拠点として、増え続けるインバウンド(訪日外国人観光客)の受け皿として、さらには「スマートシティー」や「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の一角として、その存在感は高まっています。
実は再開発は、2020年で終わりではありません。むしろ2020年からが本番と言えるでしょう。都内に限っても、日本橋を含む東京駅周辺、渋谷、新宿、虎ノ門、麻布台、品川駅周辺など、大規模再開発がめじろ押しです。
特に東京駅周辺では2027年、高さ約390メートルの日本一高いビルが開業します。そこから徒歩圏内の日本橋では、首都高を地下化するプロジェクトがスタート。完成時期は2030~40年と見込まれています。
JR大阪駅北側では、最後の一等地こと「うめきた2期」が着工し、名古屋駅もリニア中央新幹線の開業に向け、駅そのものが大きく変わります。福岡では、天神や博多駅前で再開発計画が次々と浮上しています。一足早く、未来に思いめぐらせていただけると幸いです。

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再開発続々

2019年11月1日、東京・渋谷駅の真上に高さ約230メートルの渋谷スクランブルスクエア東棟が開業。「100年に1度」とされる渋谷の再開発がいよいよ花開いた。しかし、これで一段落というわけではない。プロジェクトを主導する東急のキーマンが口を開いた。「まだ踊り場にすぎない」と。

江戸時代、五街道の起点として日本の商業の中心だった東京・日本橋。江戸文化が花開き、創業100年を超す老舗が軒を連ねるこの街が今、再開発によって大きく変わろうとしている。日本橋の再生を主導しているのが、三井不動産。未来に目を向けると、さらに壮大な計画が広がっている。

東京駅前に摩天楼が連なる。東京メトロの新駅「虎ノ門ヒルズ駅」周辺が超高層ビル街に変貌し、JR山手線「高輪ゲートウェイ駅」誕生で、東京の新たな玄関口が整備される。大阪では最後の一等地“うめきた”が動き出す──。特集の第6回は「施設」。ダイナミックに変わる日本の姿を先取りした。
森トラストや米マリオットの一手は

東京・銀座に2021 年、日本最高峰のラグジュアリーホテルが誕生する。米マリオットグループの最高級ブランド「EDITION(エディション)」だ。誘致したのは、森トラスト(東京・港)。ホテルの開業が続く銀座で、東京五輪後のタイミングで勝負する狙いを探った。

34施設も新規オープン 道の駅までホテルに変える米マリオット
これから4年で日本に34もの施設を開業する予定の米マリオット・インターナショナル。7つのブランドを新たに日本に上陸させ、都市部だけでなく地方のロードサイドにまで手を広げる。特集の2回目は世界最大のホテルチェーンの日本戦略を取り上げる。最大の強みは、全世界で1億3300万人の会員を有するポイントプログラムを使った集客だ。

スノーピークは2020年4月、長野県白馬村に隈研吾氏設計の新たな体験型複合施設を開業する。観光案内所や国内最大規模となる直営店を設置し、スターバックスなど知名度の高い飲食店も誘致。エリア開発を通じて一帯を海外戦略の柱となる観光都市にするのが目標だ。