「YouTube」や「TikTok」といった動画配信アプリで最近目立つのが「ASMR動画」です。ASMRとは、聴覚への刺激で得られる快感や心地よさ、ゾクゾクした感覚を指す言葉。そしゃく音や環境音、ささやき声などをリアルに収録したものが一般的です。ASMR動画のクリエイターは「ASMRist(アスマーリスト)」と呼ばれ、若者を中心に多くのファンが付いています。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 そのムーブメントに企業も注目し、活用を本格化させています。例えば、本を朗読したオーディオブックを配信するオトバンク(東京・文京)とquantum(東京・港)が共同で開始したオーディオレーベル「SOUNDS GOOD」には、東京ガスやJR東日本などの大手企業が参加。東京ガスは「工業用バーナーの燃焼音」、JR東日本は「山手線大塚駅周辺の音」など、現場でしか聞くことができない貴重な音をASMR音源化し、ブランディングに活用しています。また、日本KFCホールディングスやIKEAなど、商品マーケティングに活用する事例も増えています。

 SNSや動画共有アプリが一般化したことで、「フォトジェニック」や「ムービージェニック」の文化が急激に花開きました。ただ膨大な視覚情報が日々あふれる社会で、もはや写真や動画などの目から入る情報だけで人は新鮮さを感じにくくなっている可能性があります。多様な情報にさらされていない“耳”には、まだ開拓の余地があるはず。加えて、強力なノイズキャンセリング機能を持つアップルの「AirPods Pro」のような音をより楽しめる最新デバイスも続々と登場しています。今後は、「音ジェニック」を意識したビジネスや商品に注目です。

時代は写真から音へ 若者の「快感音」ムーブメントが一気に拡大


ASMR、KP、Ulike、SODA……10代女子の流行事情


若者に受けたスコーンのそしゃく音 湖池屋が使った「ASMR」とは


動画配信サービスでボイスUIが進化

中国を席巻するVlog 日本の動画マーケティングへの影響は

 「TikTok」に代表されるショートビデオなど、動画配信のトレンドで日本の先を行く中国。急速に伸びているのが、日常生活を飾らずに10~20分の動画で紹介する「Vlog(ブイログ)」だ。背景にあるのは、インフルエンサーの投稿が過剰に広告目的化したことにある。これに対し、日本ではYouTuberの重要性は揺るがないと関係者は見る。


中国SNSで注目の「KOC」 快手で活躍、農村部に影響力

 中国では「網紅(ワンホン)」と呼ばれるインフルエンサーが強い影響力を持つ。インフルエンサー活用の重要性は言うに及ばないが、一方で、彼ら、彼女らが活躍するショートビデオ投稿サービス市場の成長には陰りも見え始めた。その中で注目を集めつつあるのが、「KOC」と呼ばれる存在だ。


年20億稼ぐYouTuberも登場、膨張する動画マーケティング

 動画に登場して年間1億円以上稼ぐ個人やグループのYouTuberが続々と誕生している。20億円以上も夢ではない。YouTuberや企業はどのように、新たなメディアである動画をマネタイズしているのか。2019年7月に米アナハイムで開催された世界最大規模のYouTuberイベント「VidCon」から、米国の動画最前線を読み解く。


“耳”を狙った新型ガジェットが続々

ヤマハ、イヤホン市場本格参入 完全ワイヤレスなど5製品を投入

 ヤマハは2019年11月11日、ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンなどワイヤレスイヤホン5製品を発表し、イヤホン・ヘッドホン市場に本格参入した。すでに人気メーカーがひしめく市場で成功できるかどうかは、音のバランスを最適化する独自機能にかかっている。


ノイズ軽減と“ながら聴き”の二刀流 完全ワイヤレスの完成形

 2016年12月の発売以来、完全ワイヤレスイヤホンでトップシェアを握り続けている「AirPods」(アップル)に、ノイズキャンセリング機能を備えた上位モデル「AirPods Pro」が登場した。


AIが実現する「音が見える」世界 人間の認知強化が幸せを呼ぶ

 コンピューターの役割は何かと問われれば、もともとの役割はその名のごとくコンピューティング、すなわち「計算」であった。銀行における金利計算や小売店における販売管理、投資信託の時価算出など、人間が行っていた計算を高価なコンピューターに代替させる取り組みは1980年代に大きく進んだ。

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