クリスマスや年末年始に会う親族向けのプレゼントに、毎年頭を悩ませている人もいらっしゃるかもしれません。そこで最終的に何を買い、何を買わなかったか。自分の選択・消費行動をマーケター目線で考えてみることは、「n=1」ではあっても貴重なヒントになるでしょう。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
自社商品・サービスのギフト化が上手な企業として思い浮かぶのが、スターバックス コーヒーです。プリペイドカード「スターバックス カード」を2002年に導入してキャッシュレス時代の先駆けとなった同社ですが、“スタバカード”が普及したのは、デザインを1種類ではなく豊富にそろえた点にあります。地域限定や期間限定のカードを発行することでコレクターが現れ、ギフト需要も創出しました。
同社はカードをさらに発展させ、決済機能付きのiPhoneケースやレザー素材のキーホルダー、バッグ型チャーム、19年9月にはゼブラとの共同開発で高級ボールペンを発売しました。同社デジタルマーケティング部のデジタルギフティングチームが企画しています。
楽天は、お歳暮市場が縮小傾向にある中、ポストに投函(とうかん)できるサイズの「ポ歳暮」を出店店舗と開発。コンパクトサイズのため手ごろな価格のギフトが多く、受け取り主が不在でも再配達の手間をかけることがないため、気軽に贈ることができます。また楽天は正月商戦のおせち料理に、「肉だけ」「蟹だけ」など好きな具材だけ購入できる「“だけ”おせち」を展開中。食べ残す具材が出てしまいがちなおせちセットの購入ハードルを下げる工夫をしています。
こうした楽天の、購入を敬遠する理由を潰していく取り組みはユニークで参考になりそうです。他にも日経クロストレンドでは、売れ行き不振や市場が右肩下がりの環境下で、商品をギフト化することでよみがえった事例を多数掲載しています。
そんな日経クロストレンドの記事を「ギフト」として贈れること、ご存じですか? 興味深い記事や自社プロジェクトが載っている記事などを友人・知人にも読んでもらいたいけれど、有料会員限定の記事だった。そんなケースありますよね。有料会員ならギフト機能を使えば、有料記事を24時間限定で誰でも読める特殊なURLが発行されます。それをメールやSNSで送ることで読んでもらうことができます。今年仕事でお世話になったあの人に何かお礼をしたいけれど適当な贈り物が思い浮かばなくて悩んでいるあなた。ぜひ使ってみてくださいね。

スタバが5000円の「キャッシュレス決済付きペン」を作ったワケ


ゴディバ、三井住友カードが活用 キャンペーンはeギフトが効果的
縮小する市場の下、ギフト化で価値を訴求

衰退産業のマッチとお香を一体化、10分間のアロマ体験がヒット
ユニークな発想とちょっとした工夫で新商品やサービスを開発し、成功している中堅中小のイノベーター企業を追う本連載。今回はマッチとお香を組み合わせたアロマ製品「hibi」を開発した神戸マッチ(兵庫県太子町)を取り上げる。2019年グッドデザイン賞を獲得した。

「印鑑は要らない、箱だけほしい」 福井の印鑑店が起こした奇跡
衰退する印鑑産業を憂うのではなく、新規事業を創出しようと模索した福井県鯖江市の老舗印鑑店、小林大伸堂。贈り物として開運印鑑を購入する客の満足度が「名前」「思い」「カスタムデザイン」の3つにあることを突き止め、「名印想(めいいんそう)」という新しいコンセプトのブランドを立ち上げた。今回は、次に同社が何を狙っているかを見ていく。

ネーミングを軸にブランド力を向上させ、売り上げ増を実現する──そんな手法を事例を基に考える特集の第1回。“おじさんの酒の肴(さかな)”のイメージをガラリと変え、渋谷のヒカリエで大ヒットを飛ばす珍味専門店「ホタルノヒカリ」。珍味の常識を覆す摩訶(まか)不思議なネーミングが女性客を魅了した。
競争が激しくてもギフト化で値下げせずに売る

「飲む点滴」とも呼ばれる甘酒の市場がここ数年活況だ。森永製菓や味噌で知られるマルコメなど大手企業も甘酒販売に力を注ぐ。そんな中、無名の農家が490ミリリットルで約1500円という高価な甘酒を出し、1年で1万2000本販売した。人気の裏に開発者親子の意外なマーケティング力があった。

滋賀県の精肉店サカエヤは、2000年代初頭に発生したBSE(牛海綿状脳症)問題の経験から、「信頼される牛肉」を追求し、新たな贈答用のパッケージ開発にたどり着いた。ネットショップ「近江牛.com」で贈答用パッケージを前面に出した結果、BtoCはもちろんBtoBでも信頼を得ることに成功し、取引拡大に結びつけた。

引き出物インターネット通販「エンジェル宅配」は、直送サービスによって差異化を実現し、ライバルとの競争から脱却することに成功した。しかし、直送サービスはいずれ他社でもまねできてしまうアイデア。そこで、模倣されにくい“オンリーワン”を目指して、次のサービスを生み出した。