街なかを歩いていると、外国人を見る機会が本当に多くなりました。訪日客数は2018年には3119万人となり、10年前の約4倍に達しました。政府は、20年に4000万人、30年には6000万人に増やす目標を立てています。近年、宿泊施設の不足が指摘されており、これをビジネスチャンスと見た企業はホテルの開業などを加速させています。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 重要になるのが、宿泊施設として独自の魅力を打ち出せるかどうかです。最近オープンした宿泊施設を見ていると、2つの軸があるようです。1つは、温泉やお茶などの日本特有の文化に焦点を当てたもの。もう一つは、日本が得意とする先端テクノロジーで新しい宿泊体験を提供するものです。

 東京・浅草にある「茶室 ryokan asakusa」は、前者の伝統文化を打ち出した例です。

 ホテル名から分かるように茶室が客室のコンセプトで、茶会の心得である「一期一会」の心で宿泊客をもてなすのが特徴です。茶室の狭さを逆手に取り、狭小地でありながら5~10畳の客室を11部屋確保しています。宿泊者の約8割が外国人旅行者。広告は一切行っていないのですが、予約は順調のようです。

 一方、and factory(アンドファクトリー)が展開するIoT体験型の宿泊施設「&AND HOSTEL(アンドホステル)」は後者の先端テクノロジーの例です。これまで東京を中心に展開してきましたが、19年8月に9店舗目を大阪市にオープンさせました。

 特徴は、室内の設備がIoTに対応していることです。専用アプリからカーテン、スマートスピーカー、照明、テレビ、空気清浄機を一斉に起動できるほか、センシング技術やクラウドデータも活用し、「天候や防災情報の通知」「ラウンジの混雑状況」「洗濯機の使用状況」などを宿泊者はアプリで把握できます。

 独自の魅力を打ち出すことこそ、宿泊施設が低価格競争に陥らずに生き残るために欠かせないことだと言えるでしょう。

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