以前、日経クロストレンドで紹介したサブスク事例が、ここのところ大手企業に買収されたり、大手企業と提携したり、あるいは大手企業が競合として参入してきたりと、目まぐるしく動いています。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
11月6日、「2019ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30語が発表され、マーケティング領域では「サブスク(サブスクリプション)」「◯◯ペイ」「キャッシュレス/ポイント還元」が候補に挙がりました。2018年9~10月に日経クロストレンドでサブスク特集を担当した当時は、「サブスクリプションという言葉自体、誰でも知っているような英単語ではないから、そう簡単に浸透しないのではないか?」と思っていました。が、「サブスク」と4音の略語が定着すると一気に普及するものですね。
以前、日経クロストレンドで紹介したサブスク事例が、ここのところ大手企業に買収されたり、大手企業と提携したり、あるいは大手企業が競合として参入してきたりと、目まぐるしく動いています。
ワールドが10月にブランドバッグのサブスク「ラクサス」を買収したほか、月4万円で住み放題の「ADDress」はANAやJR東日本と連携し、多拠点居住する上で欠かせない「移動の足」もサブスク化に踏み出しています。またメガネのサブスクでは、メガネの田中チェーン(広島市)が19年2月開始の「ニナル」で先鞭をつけ、子供向けサービス「ニナルSTEP」(月1900円)も同時に提供していますが、メガネスーパーも6月から子供向けメガネのサブスク「こども安心プラン」を月1000円で提供を始め、子供向けメガネ販売件数を伸ばしました。
「高額な商品・サービスを月額制にしてハードルを下げればいいんでしょ?」--。サブスクビジネスのよくある誤解として、こんな見方があります。サブスクは売って終わりではなく、長期に渡って顧客とのリレーションが続くサービス業です。安価なプランに変更したり、一時休会して必要になったらまた再開したりといった、その時々の顧客のニーズ(≒わがまま)に合わせてサービスを提供できる柔軟な体制が欠かせません。再開時に新規入会の扱いで過去の利用履歴が残っていないようでは、選ばれるサブスクになるのは難しそうです。そんな視点で事例記事を読み解いてみると、有望株が見つかるかもしれません。



メガネスーパー、月1000円「子供向けサブスク」で販売件数1.5倍
サブスクはトークイベントでも人気のテーマ

日経クロストレンドは2019年9月25日、読者向けトークイベント「日経クロストレンド・ミートアップ」の第6回を開催した。テーマは「サブスク事業『成功のキーワード』とは? 先進企業の秘訣を学ぶ」。4人の代表者が、サブスクのモデルや、事業を実現するうえで苦労したこと、工夫した点など、成功の秘策を語った。

愛車サブスクのKINTOがグローバル展開、異業種とのコラボも
2019年10月9~11日に東京ビッグサイトで開催された「日経クロストレンド EXPO 2019」の最終日は、“愛車サブスク”のKINTO副社長・本條聡氏が登壇。同社は現在、欧州やアジアなどでグローバル展開を始めており、異業種との協業も積極的に進めるという。

今なぜサブスクが注目されるのか。事業化する上でのチェックポイントはなにか?インターネットビジネス黎明期から企業のデジタル変革を支援してきたD4DR代表取締役の藤元健太郎氏が、サブスク事業を構築するポイントを解説します。
サブスク特集、サブスク講座を一気読み

キリン月額制ビールに見つかった欠陥 改善に費やした1年の苦闘
工場直送のビールを家庭用サーバーで楽しめるキリンビールの「ホームタップ」。開始直後から申し込みが殺到したが、2017年秋から1年超にわたり会員募集を停止した。その裏には、サーバーの仕様の抜本的な見直しがあった。再開への苦闘から、サブスクリプション事業を成功させる要因を探った。

月額定額で使い放題──。通話料やデジタルコンテンツなどで設定されていたサブスクリプション型のサービスが今、モノ(有形商品)の領域で急速に拡大している。通販事業者などが展開してきた頒布会モデルや消耗品の定期購入を“サブスク1.0”とするなら、メーカーの参入、売り切りではなくシェア型、個別にカスタマイズして提供という特徴を持つ昨今の新サービスは、“サブスク2.0”と言えるだろう。サブスク最前線と成功の法則を解き明かす。

大手企業の参入で注目を浴びる「サブスクリプション」事業はどう構築するか。経営コンサルティングや金融業界を経て、アマゾンジャパンで10年以上にわたりマーケティングやAmazonプライムの責任者を務めた、CustomerPerspectiveの?川謙(かせがわ けん)代表が解説。第1回は論点を整理してもらった。