ビジネスの現場で、ディープラーニングの活用が進んでいます。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
ビジネスの現場で、ディープラーニングの活用が進んでいます。活用のケーススタディーを紹介していきましょう。
ディープラーニングのビジネス活用への関心の高さは、2019年10月に実施した「ディープラーニングビジネス活用アワード」の表彰式の様子や講評を伝えた日経クロストレンドの記事への反響からもうかがい知ることができました。
こうした表彰関連の記事は、受賞した企業の関係者以外はさほど強く読まれない傾向があります。ただこのアワードの記事はよく読まれました。単にお祭り騒ぎではなく、受賞した企業のどこが卓越しているのかを恐らく知りたかったのでしょう。ディープラーニングのビジネス活用では、まだ評価の基準が定まってはいません。
今回の大賞には、キユーピーの「AI食品原料検査装置」というプロジェクトが選ばれました。食品製造ラインにディープラーニング技術を導入し、異物混入を回避するものです。国内競合メーカーにも販売するそうで、なかなかの“太っ腹”です。そんな姿勢も評価されました。
優秀賞には、楽天の自動翻訳プロジェクト「Rakuten Translate」、荏原環境プラント(東京・大田)が進める「ごみ焼却プラント運転自動化プロジェクト」、水処理など流体向けAI分析のAnyTech(東京・文京)の「水質判定AI『DeepLiquid』」の3つが選ばれました。
特別賞は、保育園向けIT(情報技術)サービスを手掛けるユニファ(名古屋市)の「写真自動判定システムによる保育士の業務負荷軽減」、パッケージデザインのプラグ(東京・千代田)の「パッケージデザインの好意度スコアを予測するAIサービス」の2プロジェクトでした。
受賞6プロジェクト全ての取り組みを子細に分析したケーススタディーを載せた書籍『ディープラーニング活用の教科書──実践編』も10月25日に発売しました。よろしければ、こちらもお読みいただけると幸いです。

キユーピー 食品検査にディープラーニング 競合にも売る太っ腹


ディープラーニング活用で表彰、6プロジェクトへの講評全文紹介
あわせて読みたい

リアルとデジタルの2つの世界をつなぐため、画像認識にAIを使った実証実験をヤフーが実施した。ガソリンスタンドでの店頭価格やコインパーキングの満空情報などを、130台の物流車両が“クローリング”してデジタルに取り込んだ。実用化への課題も分かってきた。

トラックの人手不足問題に一石、ナンバーをAIで読み取り効率化
トラックのドライバー不足問題に一石を投じる。増員ではない。物流システムのモノフル(東京・港)がトラックのナンバープレート画像をディープラーニングで認識。物流拠点での“荷待ち時間”の短縮を図る。
海外でもますます注目浴びる

2019年9月20日、中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は、深セン市で顔認証技術を活用した地下鉄乗車サービスを開始した。60歳以上の高齢者を対象に、深セン市の地下鉄11号線のすべての駅に設置される顔認証システム専用の改札機を通じて、無料で乗車できる。

華為技術(ファーウェイ)は、グローバルICT業界向け年次イベント「Huawei Connect 2019」を2019年9月18~20日、上海で開催。ここで最新のコンピューティング戦略を発表した。AI(人工知能)を重視したコンピューティング戦略を見てみたい。

顔認証をする米アマゾン・ドット・コムの技術「レコグニション」。これを米政府に提供しないよう同社株主が求めるなど物議をかもしている。一方、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が日々膨れ上がるなか、不快な動画が含まれないかを自動認識する企業サイドの関心も高く、多くの企業がこのレコグニションを利用している。その実像に迫った。