仕事から帰ると、家事や子育て、場合によっては介護など多くの仕事が待っている。時間がいくらあっても足りない。そう感じている人は多いのではないでしょうか。こうした消費者心理を反映してか、最近「時短」をうたう商品やサービスが目立ちます。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 仕事から帰ると、家事や子育て、場合によっては介護など多くの仕事が待っている。時間がいくらあっても足りない。そう感じている人は多いのではないでしょうか。こうした消費者心理を反映してか、最近「時短」をうたう商品やサービスが目立ちます。

 例えば、東京・新宿の伊勢丹新宿店本館にある化粧品売り場では、2019年9月に、時間を優先したい人を対象にした「クイックカウンター」を設置しました。通常のカウンターと異なり、クイックカウンターでは客は立ったまま接客を受けます。百貨店としては、丁寧に接客したいが、時間が掛かると客の負担になり、足が遠のく原因ともなります。

 ネット通販が普及したことで、買い物でも時短を求める消費者が増えています。優雅にショッピングというイメージのある有名百貨店といえども時短ニーズには逆らえないということでしょう。

 男性だって時短が必要です。出勤前の支度にそれほど時間をかけたくないのは誰だって同じ。忙しい朝に犠牲となりやすいのは食事の時間です。大塚製薬は、ドリンクタイプの栄養補助食品「カロリーメイト リキッド」を発売しました。缶を開ければ、バランスの良い栄養を摂取できるのがメリットです。手早くおいしい料理をつくるための調味料や袋をそのまま皿として使える冷凍食品など続々と登場しており、食の分野では時短が大きな価値になっていることが分かります。

 時短には、どことなく「手抜き」や「さぼり」という印象がつきまとう面があります。時短に伴う罪悪感を軽減する工夫を商品やサービスに加えることで、購入の際の心理的ハードルを下げられるはずです。

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