優れたネーミングやキャッチフレーズは、ブランドや商品をより強くする。商品そのものの機能や特徴に加え、商品が持つ魅力や世界観を効果的に打ち出せるようになり、消費者の心に強く刺さりやすくなるからだ。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説する。

(写真/Shutterstock)
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 優れたネーミングやキャッチフレーズは、ブランドや商品をより強くする。商品そのものの機能や特徴に加え、商品が持つ魅力や世界観を効果的に打ち出せるようになり、消費者の心に強く刺さりやすくなるからだ。

 ただ、だじゃれのような面白いネーミングがいいわけではない。単なる「悪ふざけ」は逆効果になる恐れがある。では、どうすれば成功するのか、先行事例を分析すると、商品開発だけでなく、企業のブランド作りにもつなげているケースが多い。

 例えば好例は、高級食パンの販売店だ。オーネスティグループが東京・清瀬などに出店している「考えた人すごいわ」や、CLASTYが神奈川県相模原市などで運営する「午後の食パン これ半端ないって!」、アイラスグループによる東京・中野坂上の「うん間違いないっ!」などだ。すべて別の企業が経営する店舗だが、実は共通の「仕掛け人」がいた。それがジャパン ベーカリー マーケティング社長でベーカリープロデューサーの岸本拓也氏だ。

 どこの店舗も行列ができるほどの人気店に育った背景には、今までの食パンとは異なる味や軟らかさだけでなく、店舗名のネーミングにインパクトを持たせたことがある。どのように斬新な名称を生み出しているのかを聞いたところ、店舗の立地や商圏特性からコンセプトやターゲットを明確にして、分かりやすく表現しているという。単なるひらめきではなく、実はマーケティングの結果だったわけだ。

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