近年の小売市場をけん引してきたコンビニエンスストア。市場は“飽和状態”という声もあり、変調が垣間見える。その反面、存在感を増しているのが、ドラッグストアだ。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説する。

(写真/Shutterstock)
(写真/Shutterstock)
[画像のクリックで拡大表示]

 近年の小売市場をけん引してきたコンビニエンスストア。市場は“飽和状態”という声もあり、変調が垣間見える。その反面、存在感を増しているのが、ドラッグストアだ。地方ではロードサイドに大型店が続々と出店し、医薬品や化粧品、日用品だけでなく加工食品や生鮮食品まで取り扱うチェーンが登場。地方を地盤にする有力チェーンの首都圏進出も活発化している。その結果、ドラッグストアは業界全体で年商7兆円規模にまで急成長。24時間営業にも取り組み始め、コンビニなどの他業態の市場をも侵食し始めている。

 一方、全く新しい小売業態も誕生し、じわりと勢力を拡大している。スタートアップの600が展開するのは、キャッシュレスでの買い物に対応する自販機サイズの“無人コンビニ”。オフィスに続き、マンションの共用部などへの本格出店をスタートしている。大手コンビニチェーンも無人システムの開発を急ピッチで進めるが、主な目的は店舗の省人化だ。600は新機軸の小売り形態として、コンビニよりも消費者に近い“小商圏”を発掘し、新市場の創造を虎視眈々と狙う。

ウエルシア快進撃の真実 「コンビニ化」に隠された本当の強み


アオキ、コスモス…首都圏へ進撃する地方ドラックストア実踏調査


超小型無人コンビニが東京でひそかに増殖 狙うは10兆円市場


あわせて読みたい

「置くだけ無人レジ」、コンビニ・ポプラがついに“実用化”

 中堅コンビニのポプラが、バーコードをスキャンすることなく、商品を画像認識で識別して会計できる無人レジを実戦投入。昼休みなどレジが混み合う時間の処理能力が3倍にアップするほか、直面する人手不足問題の解消にもつなげる狙いだ。


セブン-イレブンの省人型店舗 労働時間を5分の1に削減

 セブン-イレブン・ジャパンと日本電気(NEC)が共同で実験を始めた省人型店舗の実用化が視野に入った。同店はセルフレジや顔認証決済の導入で作業負荷を大幅低減し、従業員の実労働時間を4時間に抑えた。通常店舗の実に5分の1にまで削減に成功した計算だ。加えて採算も十分取れる算段が整った。


Amazon Goが早くも第3世代か、サンフラン3号店に見る試行錯誤

 米アマゾン・ドット・コムは米サンフランシスコに市内で3番目となる店舗を開いた。店舗内の棚からどのように商品が取られたのかを検知するAI(人工知能)カメラを新たなものに入れ替えている可能性がある。


D2CにVR 新世代の消費スタイルも台頭

新世代デジタルブランド「D2C」の正体 日本でも市場が急拡大

 D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)と呼ばれる新たなブランドが勢力を拡大している。米国ではユニコーン企業(評価額が10億ドル超の未上場企業)が続出。大手企業による買収も相次ぐ。国内でもD2Cを名乗るブランドが相次いで登場し、大手企業による投資も進む。D2Cとは何者か。その正体を探る。


モノの売り方が変わる 5G時代に来る「VR/AR消費」とは何か

 5Gのデモとして実施されることが多いVR(仮想現実)やAR(拡張現実)。大容量、低遅延のメリットを生かせるというが、果たして本当か。調べると、5G時代を見据え、未来の小売りやエンターテインメントを革新する斬新サービスが既に生まれ始めていることが分かった。


セブンも参戦 10万人超が殺到した「VR版コミケ」は何がスゴいか

 アバターをまとって配信するVチューバー人気が加速。VR(仮想現実)内で楽しむゲームや交流サイトも続々と登場し、仮想空間で活動する「VR市民」は増え続けている。18年にはアバターの展示即売会が誕生し、人々が殺到。仮想空間での新たな消費行動を捉え、セブン&アイ・ホールディングスなどの大手も動き始めた。