人口減少社会に突入して久しい国内において、人口減を最小限に食い止める。あわよくば人口を増やすには、何が必要なのか? 売れない時代に売り上げを伸ばす企業が脚光を浴びるのと同様、人口が増えない時代に増やしている、減少を食い止めている自治体の取り組みは注目に値します。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。

(写真/Shutterstock)
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 日本の人口が減少局面に入って早10年。少子高齢化の影響を不安視しているのは企業だけではありません。人口減がそのまま税収減に直結する市区町村=自治体にとって、少子高齢化と人口の都心回帰による過疎化は死活問題です。市民からすこぶる不評であっても、カジノ(を含む統合型リゾート、IR)誘致に横浜市が踏み切ったのも、高齢化と来るべき人口減で財政事情が厳しくなる見通しが背景にあります。

 そんな人口減少社会に突入して久しい国内において、人口減を最小限に食い止める。あわよくば人口を増やすには、何が必要なのか?売れない時代に売り上げを伸ばす企業が脚光を浴びるのと同様、人口が増えない時代に増やしている、減少を食い止めている自治体の取り組みは注目に値します。

 もっとも、自治体が提供するサービスを大盤振る舞いすることで転居者を呼び込めば、税収増以上に支出が増えることになり、自治体職員も疲弊します。企業が無理に値下げをして目先の売り上げを立てても、そうした顧客は他社が値下げ競争を仕掛けてくればそちらにブランドスイッチしてしまうのと同様です。

 「この街に住み続けたい」「この街の住民であることを誇りに思う」「わが街への転居をお薦めしたい」--。そんな地元愛やシビックプライドを醸成して、“市民アンバサダー”が街を広報してくれる存在になってくれれば理想的です。この点では企業のマーケティングと非常に近いところがあります。まして企業ほどマーケティング予算は潤沢に確保できないため、知恵の勝負です。

 「日経クロストレンド」は8月最終週の特集「自治体マーケティング力ランキング」で、定住人口、観光人口、関係人口の“3つの人口”に着目。全国1741市区町村のマーケティング力をスコア化してランキングを算出し、上位の自治体の取り組みを取材しました。各自治体が取り組む街の活性化策、人口誘致策は、企業のマーケターにとっても参考になります。特集を含む自治体マーケティング関連記事9本を紹介します。

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伝統工芸や観光資源は、魅力的なブランド資産

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世界目指す「丹後ブランド」 まずインナーブランディングから

京都北部に位置する宮津市と京丹後市、伊根町、与謝野町の2市2町からなる丹後地域は、2017年から地域ブランディングに取り組んでいる。高級絹織物「丹後ちりめん」をはじめ、織物の技術や文化、歴史など、地域の魅力を国内外に発信していくため、まずインナーブランディングに力を入れる。


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自治体もブランディングの時代 パリで目立った和歌山県

「Maison & Objet(メゾン・エ・オブジェ)」は年に2回、1月と9月にパリで開催される、インテリアや雑貨のトレードフェア。世界各国から企業や自治体が出展し、日本からも多くの団体がブースを構えた。その中でも、ブランディングに積極的な日本の自治体のブースが目立った。


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地域ブランディングの盲点 専門家が語る成功への5つのフェーズ

地域活性化を狙ったローカルブランディングに乗り出す自治体が増えているが、失敗することも多い。電通でブランディングに関わる仕事を幅広く手掛けてきた若林宏保氏は、行政上の「地域」ではなく、人々が共通の意味を見いだせる「プレイス」をベースにブランディングをすべきだと説く。


ICTx地域活性化モデル

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鹿児島県奄美市 地域活性化のためフリーランス育成に注力

ICTの発達で人の働き方が多様化する中、若者を定着させ、地域を活性化させようとする地方都市が出てきた。例えば、鹿児島県奄美大島の奄美市は、2015年から「フリーランスが最も働きやすい島化計画」としてフリーランスの育成や誘致に力を入れる。今回も法規制の問題ではなく、地域活性化の例として高橋喜一弁護士がその取り組みを追った。


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フェイスブックと下関市が事業連携 市民会館400人会場でSNS研修

フェイスブック ジャパンは2019年1月25日、山口県下関市との事業連携協定を締結した。2月20~21日にはセミナーを開催し、市民や地元の企業にSNS活用を呼びかける。高齢化や人口減少が加速する中、再開発やハコモノだけではなく、時代の変化を取り入れたソフト面の進化が自治体にも求められている。


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つくば市 RPAで業務を改善し年330時間以上の労働時間減を見込む

RPA(Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション)という言葉は2016年ごろから世に知られてきた。自治体にはまだそれほど普及していないが、主に定型的に大量処理をする部門で効果を発揮するので、行政事務には親和性が高いと言える。人力で行っていた大量の事務をRPA化し、業務効率の大幅な改善を実現したつくば市のケースを追った。