今、世界では新たな発想やテクノロジーを生かし、食分野のイノベーションが進んでいます。その背景にあるのは、世界が近い将来直面する人口増加、“爆食”による食糧危機、環境破壊、人手不足といった社会課題です。これを解決しようと、IT系のバックグラウンドを持った経営者がこぞって食分野に参戦しており、その新たなフードテックの市場は世界で700兆円に上ると言われる巨大マーケットです。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
今、世界では新たな発想やテクノロジーを生かし、食分野のイノベーションが進んでいます。その背景にあるのは、世界が近い将来直面する人口増加、“爆食”による食糧危機、環境破壊、人手不足といった社会課題です。これを解決しようと、IT系のバックグラウンドを持った経営者がこぞって食分野に参戦しており、その新たなフードテックの市場は世界で700兆円に上ると言われる巨大マーケットです。
現状のフードテック市場は、大きく5つの切り口に分けられます。なかでも盛り上がりを見せているのが、完全栄養食や動物性タンパク質の代替として注目される植物肉や培養肉といった「①次世代フード」のジャンル。日本発のスタートアップとしては、世界初の完全栄養パスタを提供しているベースフードが、2019年9月にフードテックの“本場”である米国に進出を果たしました。
続いて、パーソナライズされた料理レシピの提供サービスやそれと連動する家電、IoT調理器具などの「②スマートクッキング」分野では、スタートアップだけではなく、パナソニックをはじめとした大手企業も取り組みを始めています。その他、自分の嗜好に合った食材が自宅に届く進化型のミールキットや料理宅配サービスなどの「③スマートデリバリー」、人手不足問題を解消するためにロボット技術を導入した「④次世代レストラン」、IoT機器によるモニタリングや植物工場などの「⑤アグリテック」が、注目されています。
いずれも食品メーカーや家電メーカーのみならず、小売り、外食、ヘルスケア、ITサービス、物流など、関連業界は多岐にわたり、多くのビジネスチャンスが見いだせるテーマです。既存のビジネス領域にとらわれず、新たな一手を模索してみてはどうでしょうか。
消費マーケティングの専門ネットメディア「日経クロストレンド」ならではの視点で、最新のフードテックを理解できる至極の記事9本を紹介します。


高級フルーツを食べて社会貢献 急速冷凍ベンチャーの世直し戦略

都心にAIを駆使した新型シェア農園 サブスク化で「農」が身近に
米国発の食卓革命

味の素OBが米国で挑戦 「植物卵」「培養和牛」が世界の食卓を救う
世界で急速に進む近未来の食の革命、「イノベー食(ショク)」の衝撃をリポートする本特集。第1回で取り上げるのは、植物性の“卵”や、和牛の培養肉の開発で知られる米スタートアップ、JUST(ジャスト)。環境にやさしくてサステナブルな「代替タンパク質革命」を推進する同社で活躍する、味の素出身の日本人研究者にフォーカスを当てる。

新たなテクノロジーやビジネスモデルの登場によって、大幅に進化しつつある食分野。本特集は、食品にとどまらず、家電、小売り、AI・IoTといったテクノロジー分野などを幅広く巻き込んだ近未来の食の革命、「イノベー食(ショク)」の衝撃を先進事例から読み解く。第5回は、米シリコンバレーを中心に食のイノベーションに取り組むテクノロジストたちを追う。

SXSWは米オースティン市内の会場外でも多くの関連イベントが開催された。中でも食品関連のテクノロジーを扱うフードテックは、多くの来場者を集めるイベントだだ。「Food+City」のアワードでは、塗るだけで消費期限を延長する技術など10社がピッチを展開した。
国内大手も「イノベー食」に挑戦

介護食に革命を起こす斬新な家電を、パナソニック発のベンチャー「GIFMO(ギフモ)」が開発。肉などを使った家庭料理や総菜を、見た目そのままに軟化できるのが革新的だ。普通食をスムーズに食べるのが困難な人の救世主として、国内外で注目を集めている。

ソニーが人工知能(AI)を活用した「フードテック」への取り組みを始めている。ロボットやAIと人間が協働し、食の新たな可能性を見いだすのが狙いだ。米テキサス州オースティンで開催したSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)の会場で、ソニーコンピュータサイエンス研究所社長でソニー執行役員の北野宏明氏に聞いた。

食の革命は「レシピデータ」から ニチレイ100億円超の事業構想
食品にとどまらず、家電、小売り、AI・IoTといったテクノロジー分野などを幅広く巻き込んだ近未来の食の革命、「イノベー食(ショク)」の衝撃を先進事例から読み解く本特集。第3回は、クックパッドやニチレイが目指す膨大なレシピデータを活用して家庭の食卓を変える新サービスを取り上げる。