マーケティング担当者たるもの、主業務が商品開発であれ広告宣伝であれ、データ分析は不可欠です。ベストセラー書籍『ファクトフルネス』は、思い込みを排して、起きている事象をより正確に把握することを提唱しています。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
マーケティング担当者たるもの、主業務が商品開発であれ広告宣伝であれ、データ分析は不可欠です。その際、漫然と数字を眺めていては、発見や疑問は湧いてきません。ベストセラー書籍『ファクトフルネス』は、思い込みを排して、起きている事象をより正確に把握することを提唱しています。
題材は日々のニュースの中に転がっています。例えば先日の参院選。立憲民主党が9議席から17議席へほぼ倍増という結果でしたが、果たして立憲躍進と言えるのか?
比例の票数を2017年10月の衆院選と比較すると、自民は1855万票(得票率33.3%)から1771万票(同35.4%)へ微減だったのに対し、立憲民主は1108万票(同19.9%)から791万票(同15.8%)へ3割弱減らしています。参院選の選挙運動期間中、Twitterで党首名がツイートされた件数や、党首アカウントのフォロワー増加数を見ても、立憲・枝野幸男代表は党設立時の勢いに陰りが見えていました。議席倍増という目の前の数字を過大視すると、党勢を見誤ることになりかねません。
参院選は50%を割り込む低投票率が話題になりました。「ファンベース」でおなじみ、コミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之さんは投票率を上げるための秘策として、「市区町村単位で投票率を競う形にして、『ワーストは避けたい』という意識を醸成してみては
全体的に低投票率だった参院選でも、比較的投票率が高かったのはどこか?
ここに投票率を上げるヒントがあるかもしれません。参院選の選挙区で投票率が高かった都道府県トップ5は、1位山形県(60.74%)、2位岩手県(56.55%)、3位秋田県(56.29%)、4位新潟県(55.31%)、5位長野県(54.29%)でした(九州、四国は豪雨の要因あり)。いずれも1人区で野党推薦候補が当選しています。また1~4位の県の惜敗率(次点者の票数÷当選者の票数)はいずれも90%以上と接戦でした。つまり野党側が自民に勝ち得る候補を擁立して競り合う展開になれば、有権者が1票の重みを感じて投票意欲が高まりやすい、と考えられます。数字を見ることで、問題の所在と課題への対応が見えてきます。
暑かった夏も残りわずか。間もなく読書の秋がやってきます。書籍『ファクトフルネス』を読みそびれていた方は、この機会にいかがでしょう?


れいわ山本太郎がTwitter戦線では圧勝も、関心事は京アニと吉本
要注意!データ分析の罠

データ分析しても結果は知っていることばかり…「客観性のワナ」
データ分析は客観的と言われるが本当だろうか。本来、分析や解釈は主観的であってもおかしなことではない。連載「データ分析のワナ」の1回目は、データ分析は分析者の視点の構築が重要であることを説明する。

データを解釈するとき、集計単位や計算処理の方法をどれくらい気にしているだろうか。例えば時系列データは、折れ線グラフなどで可視化し傾向を把握するが、集計単位や計算処理の違いで、全く別のデータとして捉えられる場合がある。
データ分析に強くなる

要約統計量を解釈する際に、「最大値」や「最小値」を気にしているだろうか。実は両者を使うと、新たな分析の視点を作りやすい。一定の区間や空間、あるいは実験や観察ごとに集めて分析すれば、モデルも構築できるからだ。今回は、最大値を使った分析を試みる。

アクセル踏み間違い防止装置「ペダルの見張り番」、検索者が急増
日経クロストレンドは、2019年4月から6月にかけて3カ月連続で検索者数が増加している検索ワードの平均上昇率のランキングを算出した。アクセルとブレーキの踏み間違いに起因する事故のニュースが相次いだことから、踏み間違いによる急発進を防ぐ装置「ペダルの見張り番」の検索者数が伸びた。
思い込みと「真実」はこんなに違う

「あなたの実感として、おおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思いますか、減っていると思いますか」。この質問に対して、あなたはどう答えるだろうか。「思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る」ことがいかに難しいか分かる。

保育園建設反対派はおっさん? データで世界を正しく見る(2)
保育園や児童相談所をつくる話が持ち上がると、地元で反対運動が起き、そのニュースがネットをざわつかせている。保育園の建設反対派としてテレビなどで映し出されるのは中高年男性が多い印象があるが、やはり反対の中心層は中高年男性で育児に理解がないからなのか? データを読み解いてみる。

20代出国者減=海外旅行離れ? データで世界を正しく見る(3)
「若者の○○離れ」という定番フレーズでよく挙がるものに、クルマ、アルコール、海外旅行などがある。グローバル社会と言われて久しいのに、これからの時代を背負って立つ若者が本当に内向き志向から海外に興味が薄いのであれば問題だ。データを読み解いてみる。