2016年ごろ、インターネット通販の荷物が急増し、物流業界の人手不足による従業員の長時間労働が社会問題になりました。その後、さまざまな工夫によって個人向け宅配については「物流クライシス」は解消しつつあるようですが、物流業界全体ではコストのしわ寄せを一般消費者にも転嫁させなければならない状況が続いています。

(写真/Shutterstock)
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 消費増税前の2019年8月、一部食品が相次ぎ値上げされました。キッコーマンはデルモンテのトマトジュースなどを4~5%、永谷園ホールディングスは即席みそ汁などを5~10%、片岡物産もトワイニングの紅茶を5~15%、価格を引き上げました。各社とも原材料の高騰に加えて、物流費の上昇を主な理由として挙げています。

 さて、こうした物流の根本的な課題解決に向けた取り組みがしばらく前から出てきています。個人的に注目しているのは、単にコストダウンといった効率化を図るのではなく、テクノロジーを武器に今までにない付加価値を上乗せして新たな物流の姿を模索する動きです。

 例えばスマホを鍵代わりにして解錠できるスマートロックを活用した宅配サービス。配達員に1回限り使える鍵を発行し、不在時に自宅の中に入ってもらって商品を届けさせるもの、再配達の手間を省きます。ほかにも、公道走行実現に向けて実証実験が始まった2輪で自走する電動キックスケーターに注目しています。1~2キロメートル程度ならスイスイ走れますから、軽い荷物なら駅や近くのコンビニで商品をピックアップして、自宅に帰るのが未来では一般的になるかもしれません。

 こうした付加価値のある物流が生まれれば、お金を追加で払っても使いたくなる新しい消費が勃興するのではないでしょうか。自宅と駅をつなぐ“ラストワンマイル”におけるヒトの行動パターンが激変するに違いないでしょう。

 歴史を振り返ると、NTTが独占していた自宅の電話回線がネット時代の幕開けとともに「ADSL大競争時代」に突入。光ファイバーによる高速大容量化や「LTE」「5G」に代表されるワイヤレス化によって、いつでもどこでも多種多様なコンテンツを享受できるサービスが今後さらに増える勢いです。結果、産業構造もスクラップ・アンド・ビルドされつつあることは見逃せません。

 通信回線がそうだったように、ラストワンマイルでも同じような変化が生まれつつあります。その予兆を肌で感じることができる記事をご紹介しましょう。

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