決済手段を置き換えるだけではなく、キャッシュレスならではの新たな購買体験ができるなら、乗り換えようという機運が高まるのではないでしょうか。日経クロストレンドの記者が新トレンドを解説します。
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セブン&アイグループのスマホ決済「7pay(セブンペイ)」が、リリース直後に不正利用が相次いだことでサービス中止に追い込まれました。ようやく立ち上がり始めたキャッシュレスの流れに冷や水が浴びせられた形で、「やはり現金が安全安心」という声も。しかし、単に決済手段を置き換えるだけではなく、キャッシュレスならではの新たな購買体験ができるなら、乗り換えようという機運が再び高まるのではないでしょうか。
キャッシュレスならではの機能としては、ネットプロテクションズ(東京・千代田)の「atone」が提供している後払いサービス、日本マクドナルドの「マクドナルド モバイルオーダー」などがあります。ファミリーマートの「ファミペイ」がこの秋に提供予定の、ポイントカードを提示しなくても自動的にポイントが付与される機能も便利そうです。
同じく秋にはNTTドコモの「d払い」アプリに、ミニアプリという機能が搭載されます。これはアプリ内で、モバイルオーダーやタクシー配車といったNTTドコモ以外のサービスをシームレスに利用できるというもの。もちろん決済はd払いで行われます。ユーザーにとってはわざわざ別アプリを立ち上げる手間が省け、決済事業者にとってはユーザーを囲い込める。スマホ決済が購買体験の中心に陣取れるかどうか目が離せません。


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