もうからなくても構わない

 WOK GARDENを経営しているのは中国人のアンティさん。Too Good To Goを利用している理由などを伺った。

 アンティさんがこのサービスを導入したのは19年7月。店舗にToo Good To Goで働く女性がシステムの説明に来たのがきっかけだそうだ。毎日約10食分を提供しているが、Too Good To Goによる収益はほぼ“無い”に等しい。それでも利用するのは「食べ物を捨てることに罪悪感があるから」という理由だった。

 「特に環境に配慮して始めたわけではない。この辺りはオフィス街で、ランチを食べ損ねた会社員たちが利用している。味を知ってもらうことで多少の宣伝にはなるかもしれないが、店舗側は食品保存容器や箸などの備品、人件費、商品を提供しなければならず、Too Good To Goで提供している値段とでは釣り合いが取れない。それでも作った食材を捨てるということにとても抵抗を感じるため、それなら持って帰ってもらったほうがいいと考えている」(アンティさん)

 実際に利用して気になったのは、アプリに表示される店舗数があまり多くなく、利用できるエリアに差がある点だ。週末は余り物自体が少ないのか、利用可能な店舗がほとんど見つからない。平日でも前日に注文しておかなければ当日購入するのが難しかった。

 しかし商品状態は良好だ。味が良く、この値段で食べられるのは満足度が高い。他国では持ち帰り時の袋を紙バッグにしているらしいが、私が行った店舗は食品保存容器や袋がプラスチック製で、この点は少し残念。環境への配慮を考えると、プラスチック製品の代替品を取り入れることも大切なマーケティング活動だろう。

Too Good To Goの使命と米国展開

 Too Good To Goのミッションは世の中の食品ロスを無くすことで、「アプリはその道具の一つにすぎない」と同社スペイン法人でマーケティングを担当するカルロス・ガルシア氏は話す。アプリからも食品ロスや飢餓問題に携わるNGO団体などへ直接寄付できるようにしている他、小中学校や大学などで食品ロスにまつわる講義をしたり、大学の研究機関や役所などと協力して、データ収集などを行ったりしている。さらに欧州全土だけではなく、米国展開の準備を整えているという。

 日本でも消費者がサービスを利用したり物を買ったりするとき、その会社が環境に対してどのような視点を持ち、実際にどんな取り組みをしているかが重要になりつつある。Too Good To Goのような企業の思想に賛同し、サービスを導入しているかどうかも指標の一つとなるに違いない。

Too Good To Goの最高経営責任者(CEO)のMette Lykke氏。デンマークの起業家で16年に同社CEOに
Too Good To Goの最高経営責任者(CEO)のMette Lykke氏。デンマークの起業家で16年に同社CEOに
Too Good To GoスペインカントリーマネジャーのOriol Reull氏
Too Good To GoスペインカントリーマネジャーのOriol Reull氏

(写真/ERIKO、写真提供/Too Good To Go)