海外で大切なのは「ラ・リーガの人気を2番にすること」

 テバス氏のもう1つの大きな改革は、海外マーケティングである。ラ・リーガが抱えていた問題解決を推進し、組織を整えた後、17年に「グローバルネットワーク」というプログラムを立ち上げた。これは米国、メキシコ、ナイジェリア、南アフリカ、英国、スペイン、インド、中国、シンガポール、日本、ブラジル、インドネシアの12拠点を中心に、43人の特派員を派遣し、現地密着でマーケティングを行うというもの。

 ラ・リーガの海外マーケティングは、グローバルとローカルを掛け合わせて“グローカル”と呼ばれている。本社で決議されたマーケティング戦略をそのまま現地で行うのではなく、それぞれの国や地域の特性に合わせて展開することを表している。

全クラブのフラッグが並ぶラ・リーガの会議室。会見などもここで行われる
全クラブのフラッグが並ぶラ・リーガの会議室。会見などもここで行われる

 各地で実践しているマーケティング活動は多岐にわたる。例えばラ・リーガの試合を放送するテレビ局と連携し、視聴率アップにつながるイベントやプレゼントなどを行う。メディアや記者など情報発信者との関係を深め、ラ・リーガのことを熟知してもらい、記事に反映してもらう。また企業やスポンサー、大使館、スペイン関係の教育機関、商工会議所とパートナーを組むことなどだ。

 アノロ氏は、ラ・リーガの海外マーケティング戦略で最も大事な部分についてこう語る。

 「現地マーケティングで大切にしているのは、その国でラ・リーガの人気を“2番にする”こと。1番はその国のサッカーリーグのファンを増やし、盛り上げること。日本では特にJリーグやなでしこJAPANの人気が高まるような協力関係を築き、ラ・リーガと日本のクラブ同士の結び付きを強めることに努めた。グローカルで大切なのは、サッカーファンを増やすこと。日本に来るまでは日本のマーケットは非常に閉鎖的だと思っていたが、実際はその逆。メディアもサッカーファンも強い興味を示し、協力してくれた」

ラ・リーガグローバルネットワーク・インターナショナルのオクタビ・アノロ氏
ラ・リーガグローバルネットワーク・インターナショナルのオクタビ・アノロ氏

 こうした海外戦略によって、日本のラ・リーガのファンコミュニティーは2チームから8チームに増えた。放送時間を変更する戦略も始まっている。現在はアジアのマーケットに合わせて、FCバルセロナ、レアル・マドリード、日本人選手が出る4試合(土曜日、日曜日)などをアジア時間に対応させている。それによってアジア地域の視聴率は以前と比べて60%も高くなった。

 アノロ氏が強調するのは、「サッカーはスペインの楽しみ方の1つ」ということ。スペインは気候が良く、食事もおいしい。人々はフレンドリーで地域性がある。サッカー好きとそうでない人のカップルが旅行に来たとしても、スペインにはサッカー以外に楽しめることがたくさんある。日本ではバルセロナやアンダルシア地方、マドリードが観光地として有名だが、北部のバスク地方やポルトガルと接するガリシアにもクラブチームはあるし、観光地は短期間で回りきれないほどある。サッカーをきっかけにスペインという国の面白さを体感してみてはどうだろうか。

(写真/ERIKO、写真提供/La Liga)