リハビリセンターも運営し、成果を上げる

 イストーク・オーディオは、難聴の子供のためのリハビリセンター「トーシャ」も運営している。宿泊施設やキッチンなどが完備されたリハビリ施設だ。遠方から来る親子でも、安心して集中したリハビリを受けられる。スタンダードプログラムは5日間、1日4セッションで、いろいろなセラピストに指導してもらえる。夜はセラピストが親に対して、家での指導方法などを教える。

子供の難聴者のためのリハビリ施設「トーシャ」。現在21人がリハビリを受けている
子供の難聴者のためのリハビリ施設「トーシャ」。現在21人がリハビリを受けている

 音楽療法、物を同時に動かすこと、長いフレーズの聞き取り、息を吐く練習、体のバランスを養うトレーニングを通して、難聴者が音を聞き取り話せるよう指導する。リハビリを通して、それぞれ個人に合った補聴器(骨伝導、インプランテーションなど)を実際に使用したり、提案したりしている。リハビリ効果は高く、全く聞こえなかった子供が話せるようになったり、話せる単語の数が増えたり、体を動かせるようになったりするそうだ。

体のバランスを鍛えるためのプレイルーム
体のバランスを鍛えるためのプレイルーム

優しい社会づくりとビジネスを両立させる

 クリマチェフ氏を取材して感じたのは、社会問題の解決を事業化する視点を持った優秀なビジネスマンであると同時に、社会的弱者に寄り添い、バリアフリー社会を実現したいという優しい気持ちが根本にあることだ。だからこそ顧客が本当に必要としているものが何かを理解できるのだろう。利益が大きそうなビジネスチャンスがあったとしても、「社会が良くなるためのビジネスでないとやらない」という一貫したスタンスを持っている。

 クリマチェフ氏は若者たちの革新的な活動にも高い関心を示しており、スタートアップ企業への投資も欠かさない。

 20年の東京オリンピック・パラリンピック、そして既に進行している日本の高齢化。それらの課題に企業はどのようなソリューションを提案していくべきか。イストーク・オーディオの活動は、1つのヒントになるかもしれない。

(写真/ERIKO、製品画像提供/イストーク・オーディオ)