インキュベーション施設「ITパーク」も活発に動く

 ITの発展に寄与しているのはイノポリスだけではない。カザンの中心にも「ITパーク」と呼ばれるハイテクパークが存在する。イノポリスほどの規模ではないが、Windows 10の世界初のイベントが行われたりと、イノポリスのパートナーとして活発に活動しているインキュベーション施設だ。

ITパーク内にあるスタートアップがプレゼンを行うスペース
ITパーク内にあるスタートアップがプレゼンを行うスペース

 09年にオープンしたITパークは、タタールスタン国内にカザンとナーベレジヌイェ・チェルヌイの2カ所ある。19年7月現在、112の大手IT企業と30のスタートアップ企業の、合計142の企業が入居している。ITパークCEOのアントン・グラチェフ氏は、現在の取り組みや将来の展望についてこう説明する。

30社以上のインキュベーションカンパニーの人々が働くセクション
30社以上のインキュベーションカンパニーの人々が働くセクション

 「ITパークはもともとアラブカ経済特区で働いていた人のアイデアから始まった。政府が投資していたこともあり、一時期外国企業を追い出してタタールの企業だけをサポートする時期もあった。今では起業して間もない会社が常に25~40社入居している。無事ローンチできるのは全体の20%だが、決して低い数字ではないだろう。我々のビジネスは主にカザンを対象にしているが、中国やチェコ、フィンランド、トルコ、米国などのパートナー企業探しも支援する。週末にはイランなどの中東イスラム教国に対して、スタートアップビジネスをサポートするためのワークショップも開いている。現在は中国に支社を開設して、ハードウエア企業と一緒にパートナーシップを組むことに取り組んでいる。ロシアはITエンジニアが不足しているので、優秀なエンジニアをたくさん供給するのも我々の役目だ」

 19年8月には、世界67カ国が参加する「国際技能競技大会(WorldSkills Competition)」が開催されるカザン。タタールスタンが誇る農業、石油、人材、スポーツなどのリソースを活用した、IT産業に対する革新的な取り組みは今後も加速していくだろう。

(次回につづく)

ITパークCEOのアントン・グラチェフ氏(写真中央、写真右は筆者)
ITパークCEOのアントン・グラチェフ氏(写真中央、写真右は筆者)

(写真/ERIKO)