
中国14億人のデジタル社会実装
-
- 第37回
- 2020.12.18
中国が戦略的に取り組み始めたオープンソース開発 ソースコードを公開し、適切なオープンソースライセンスを適用することで、自由にソフトウエアの利用・改変ができるようになる「オープンソースソフトウエア」。非常に有効な開発方法として、開発者向けを中心に多くのソフトウエアで採用されている。中国では今、そんなオープンソースに戦略的に取り組み始めている。 -
- 第36回
- 2020.12.04
GAFAの次はBAT? 中国でも始まったプラットフォーマー規制 先行していた欧州に続き、米国、日本でも「GAFA(米のグーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)」に代表される「プラットフォーマー」を規制する動きが進む。中国でも同様に、規制強化の流れが加速しつつある。 -
- 第35回
- 2020.11.20
AIoTがけん引する「中華シリコン」とそのエコシステム ここ数年、AI(人工知能)やIoTの発展を支える半導体のエコシステムが、世界中で大きな変革を迎えている。そこで中国における半導体の新しいエコシステムをけん引しているAIoT(AI+IoT)領域に注目し、そのポテンシャルを探っていく。 -
- 第34回
- 2020.11.06
アリペイが中国経済の「解像度」向上 データが明らかにする効果 「支付宝(アリペイ)」を運営するアントフィナンシャルが計画していた、上海、香港への株式上場が延期になった。ただ、それでもアントが2010年代の中国のDX(デジタルトランスフォーメーション)をけん引した存在だったことは確かである。アリペイの何がすごいのか。データの視点から明らかにしていきたい。 -
- 第33回
- 2020.10.23
アリババが新工場開設、「中国版インダストリー4.0」はどこへ? 中国政府は、ドイツのインダストリー4.0や日本のSociety 5.0と同じく、製造現場の高度化に大規模投資した。そうして世界中がコロナ禍におびえる中、まずまずの成長路線へ回帰を果たした。しかし、アリババ集団など中国IT企業はさらに先を行き、企業を超えたデータ連携によるさらなる効率化を目指す。 -
- 第32回
- 2020.10.09
新興国の実直さと先進国の大風呂敷 起業の違いは投資環境にあり 「火星に人類を送る」「人間を超える知性をAI(人工知能)で生み出す」など先進国のスタートアップでは、既存のビジネスの枠に収まらないビジョンを掲げ、その実現ははるか先というケースが多い。一方、インドやエチオピアなどの新興国のスタートアップでは、先進国で行われていたビジネスのローカライズ版など、起業してすぐに収益が見込めるケースが多い。市場がスタートアップに期待するものの差が、その違いを生み出している。 -
- 第31回
- 2020.09.25
ドコモ口座事件と比較 中国金融サービスは「信用しない」が原点 NTTドコモが運営する電子マネーサービス「ドコモ口座」などを経由し、提携先の銀行の預金残高が不正に引き出される金融事故が発生して、金融サービスのセキュリティーが注目されている。キャッシュレスがより浸透している中国では、金融事故に対してどういった対策が取られているのか。システム、ユーザー体験、そして設計思想を通じて中国フィンテックサービスのセキュリティー対策を追った。 -
- 第30回
- 2020.09.15
世界の“農村”から“都市”を包囲 中国デジタル企業のアフリカ進出 中国のデジタル企業が、アフリカをはじめとする発展途上国に続々と進出している。これは、中国共産党がかつて政権獲得に成功した「農村から都市を包囲する」という戦略を敷衍(ふえん)するものだ。中国企業がマーケティングを展開する際の軸の1つにもなっている。 -
- 第29回
- 2020.08.28
コロナ禍で深まる中国のデジタルデバイド 取り残される中高年 新型コロナウイルス感染症の拡大以降、日本では「ウェブ会議」などITサービスの活用が当たり前になりつつある。しかし、この変化に中高年がついていくことは難しい。こうした中高年のデジタルデバイドの問題は、日本をはるかに上回るデジタル先進国になった中国でもますます深刻になっている。中国の中高年が置かれている実情を追った。 -
- 第28回
- 2020.08.17
中国の街を光らせるLEDは、半導体製造の民主化から生まれた 複数のビルが連動して光り、1つの映像を映し出す風景は中国の風物詩だ。この風景を支えているのは、深センの北に隣接する東莞市にあるベンチャー企業のWORLDSEMIが開発しているLED製品。同社はプログラム制御がしやすく、安く、電力効率の良いLED製品を武器に、2013年から出荷量を急速に伸ばしている。この開発には、製造と企画の工夫を1人の人物が差配する、まるで米アップルのモノづくりのようなプロセスがある。中国の製造業は、部品や素材についても進化を続けている。 -
- 第27回
- 2020.08.05
ラストワンマイルを支える中国ローカル物流の進化 日本ではここ数年、ECの急伸に伴い、宅配大手が値上げや取扱量の縮小に踏み切る一方、ギグワーカーによる配達が急増している。この結果、宅配の価格は安定したが、配送品質や雇用環境の低下が懸念される。新型コロナウイルス感染症の拡大はこの傾向に拍車をかけた。では、日本を上回るEC大国の中国では、宅配に関わる問題は起きていないのか。中国の配送に関する問題と解決例を探った。 -
- 第26回
- 2020.07.17
保護主義でデジタル化は進むのか? 中国の成功とインドの模索 製造業で「輸入代替工業化」と呼ばれる取り組みに似た動きがデジタル経済でも見られる。「輸入代替デジタル化」ともいうべき動きだ。しかし、国内市場を保護して輸入品を入れず、自国企業に競争を促すこの策は、実は競争が自動的に発生するわけではない。既存のIT企業が市場を占拠することもあり得る。中国のデジタルサービスの領域で、輸入代替デジタル化がうまく進んだメカニズムをひもとく。 -
- 第25回
- 2020.07.03
アリババ、テンセント…新型コロナを機にビジネスアプリで海外へ 新型コロナウイルス感染症と共存するアフターコロナ時代には、感染を避けるため、ビデオ会議ツールを使った新しい働き方が必須になる。この領域に中国企業が積極的に参入し、、外展開も図っている。中国発のアプリ(ツール)に勝機はあるのかを占う。 -
- 第24回
- 2020.06.19
新型コロナ情報 大企業が提供した中国、市民が発信した日本 新型コロナウイルス対策で、日本は欧米に比べてはるかに少ない犠牲者で危機に対応できている。強制的な都市封鎖や移動制限をしていないにもかかわらず大きな成果を上げている日本の状況は、世界の注目を浴び始めている。そしてもう一つ、情報提供の形も世界的に見て珍しい。 -
- 第23回
- 2020.06.10
配達員にデジタルチップ贈る ギグワーカー育成は中国に学べ 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)によって「新たな生活様式」が求められ、通販やフードデリバリーといったサービスが事業を拡大している。同時に、これらの現場を支える存在として、単発の仕事を引き受けて報酬を得る「ギグワーカー」にも注目が集まる。ギグワーカーの質をどう引き上げ、顧客の満足度を高めるのか。先行する中国市場から、そのためのヒントを探った。 -
- 第22回
- 2020.05.29
オンライン行政で先行く中国 「スマホから手続き」が進む理由 2000年代まで、つまり「スマートフォン以前」の時代に中国に長期滞在した経験を持つ人ならば、当時の国有銀行や政府部門での手続きの煩雑さに疲労困憊(ひろうこんぱい)した経験を持っているだろう。半日、地方政府の建物で待たされた揚げ句に行政手続きのたらい回しにあうこともあったし、それは外国人でも中国人でも同様だった。近年では中国国内の身分証を持つ場合には利便性が高まりつつあり、スマートフォンのミニアプリなどを使い、Eガバメント化が急速に進んでいる。 -
- 第21回
- 2020.05.15
1兆7000億円の消費を刺激 中国コロナ対策の電子消費券とは? 新型コロナショックが中国経済を直撃している。2020年1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比で6.8%の減少と、四半期ベースの統計が始まった1992年以降では初のマイナス成長を記録している。この苦境を打開する切り札の1つが、政府主導の電子消費券だ。 -
- 第20回
- 2020.04.24
自宅待機の重さを克服した中国のインターネット 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で、テレワークやオンライン学習への対応は進み、どこの国でも自宅にいる時間が長くなり、インターネットコンテンツを見る時間が増えている。各国の通信キャリアや、トラフィックの80~90%を占めるといわれている動画コンテンツで、サービス事業者が対応を迫られている。 -
- 第19回
- 2020.04.09
シャオミのスマホはなぜ安いか AIoTアクティベーターの姿に迫る 2020年3月に5Gサービスを開始した日本の主要3キャリアが採用したスマートフォンのラインアップを見ると、中国勢の攻勢、とりわけ価格競争力に秀でるシャオミの存在が目立つ。ハードウエアの低価格化を武器にしながら、モノをインターネット経由でAI(人工知能)にアクセスできるようにすることで、あらゆるモノをスムーズに動作させることを目指した「AIoTエコシステム」の立ち上げを狙う同社の強さの源を解き明かす。 -
- 第18回
- 2020.03.27
「死亡企業」データから見る地殻変動 中国スタートアップは「少子高齢化」 スタートアップが数多く生まれるイメージがある中国だが、実はここ数年、その勢いが衰えてきている。スタートアップ企業の倒産情報を集めた「死亡公司数据庫(死亡企業データベース)」のデータを筆者が分析したところ、創業企業の「少子高齢化」とも言うべき実態が浮かび上がってきた。投資の減退に加えて新型コロナウイルスの問題も襲い、中国のIT業界もプラットフォーマーの寡占が加速しそうだ。 -
- 第17回
- 2020.03.13
新型コロナで中国からタイへの工場移転が進む? 注目企業を紹介 新型コロナウイルスの発生で、中国への過度な依存を分散させる「チャイナプラスワン」の意識が高まっている。そんな中、タイで電子部品のサプライチェーン構築を目指しているのが「Gravitech(グラビテック)」。2015年からバンコクでスタートアップ支援、回路基板製造などのビジネスを始め、近年タイでもメイカームーブメントを起こしつつある。 -
- 第16回
- 2020.03.06
新型コロナで中国IT勢力図に異変 ウィーチャットの天下揺らぐ 日本でも働き方の変革を迫っている新型コロナウイルス。一足先に危機に陥った中国では、リモートワークが急速に普及し、アリババ集団や騰訊控股(テンセント)などがグループウエアで激しい勢力争いを繰り広げている。アリババの「釘釘(DingTalk)」は、日々の体温を報告させる機能や、テレビ会議での美顔効果機能を追加するなどでユーザー数を拡大。2億人以上が利用している。 -
- 第15回
- 2020.02.18
5G活用も!新型コロナウイルス対応で学ぶべき中国のスピード感 中国湖北省の武漢市から広がった新型コロナウイルス。感染を少しでも食い止めようと往来の制限や公休日(春節休み)の延長などが行われている。感染防止対策や感染者への支援では、5Gなどデジタルを活用した様々な取り組みが行われている。このスピード感には日本が学ぶところも多いだろう。 -
- 第14回
- 2020.01.31
Eコマース全盛でもショッピングモールに出店する新興企業の狙い この数年、中国大都市部のショッピングモールが大きく変貌を遂げている。Eコマースからスタートした新興ブランドが実店舗を構え、子供をターゲットとした教育系のサービスが目立つようになってきた。背景には、デジタル化、消費水準の高まり、そして加熱する教育熱という3つのトレンドがある。 -
- 第12回
- 2019.12.13
中国のオープンソースのハード開発を支える急成長企業Seeed 中国では、「公开(GongKai)」という知財の共有モデルが自然発生的に生まれてきた。これに対して、西洋的なオープンソースの概念を持ち込んだのが、深センでプリント基板(PCB)の受託製造や販売を行うSeeed Technologyだ。創業当初は海外でDIYを行うメイカーたちをターゲットにしていたが、近年は中国国内でのビジネスを拡大。オープンソースのハードウエア開発を支えている。 -
- 第13回
- 2019.12.13
中国のメイカームーブメントを支えるオープンソースハードウエア 新しく開発された技術を搭載したプリント基板(PCB)が中国メーカーから続々と出てきている。これを支えるのが、以前はコピー商品を世に送り出してきたハードウエアのエコシステムと、西洋的なオープンソースハードウエアの考え方。この2つを組み合わせたのが、深センでPCBの受託生産や販売を行うSeeed Technologyだ。 -
- 第11回
- 2019.11.29
デジタル人民元の正体 ドルや「リブラ」の対抗馬というのは誤解 ここ数カ月、「デジタル人民元」が話題になっている。米ドルの覇権に対抗し、中国がブロックチェーンを使ってデジタル通貨を発行する世界初の国になるという報道が少なくない。中国を専門とするジャーナリストとして頻繁に現地取材を行っている筆者が、デジタル人民元構想の実情について解説する。 -
- 第10回
- 2019.11.20
処方箋、裁判情報…なぜ中国はブロックチェーンを活用できるか ビットコインなど仮想通貨(暗号資産)に用いられるブロックチェーン技術。中国では、薬の処方箋情報や司法の文書の管理など、公共機関で技術を活用する例が増え始めている。改ざんを防げる高い信頼性と、異なる集団とデータの共有が可能というメリットを生かし、情報の管理や取引コストを低減する狙いがある。 -
- 第9回
- 2019.11.06
改革開放のナラティブ(物語)と「サンドボックス制度」の系譜 近年、フィンテック領域を中心として、時限的あるいは地域的に規制を緩和する制度が注目を集めている。「規制のサンドボックス制度」と呼ばれ、2015年以降、2015年以降、英国やシンガポールで先行。日本でも18年から企業レベルでの規制緩和措置が試験的に実施されている。中国では制度化されてはいないものの、実質的に同じような政策が長年取り入れられてきた。 -
- 第8回
- 2019.10.18
ハードウエアのイノベーションをけん引する中国のオープンソース「公开」 中国・深センでは、ヒット商品の後追いが様々な企業から生まれ、価格下落が進むことで新たなイノベーションが起きる。「深センでの1週間はシリコンバレーでの1カ月」と呼ばれるほどのスピード感を支えるのが「公开(GongKai)」という仕組み。マザーボードなどが簡単に市場で調達でき、次々と新たな製品が生まれるオープンイノベーションが浸透している。 -
- 第7回
- 2019.10.04
米中対決の陰に潜む「排除の論理」と「オープンソース」の闘い 2019年9月に華為技術(ファーウェイ)が開催したイベント「Huawei Connect 2019」。米国政府の制裁により、米グーグルやマイクロソフトのソフトウエアが使えなくなる中、同社が打ち出したのが、独自ソフトウエアのオープンソース化だ。米国企業に依存しないエコシステムの構築が狙いだが、中国企業の多くがオープンイノベーションの利点を身をもって体験している点も見逃せない。 -
- 第6回
- 2019.09.25
既存産業のアップグレードを狙う中国型イノベーション スマホアプリでタクシーを呼び出し、弁当のデリバリーが受けられる。こうした光景が中国の街角で当たり前になったのは、既存のタクシーや個人経営の食堂に、「滴滴出行(ディディ)」や「餓了麼(ウーラマ)」といったプラットフォームが浸透したからだ。既存産業を新たなテクノロジーで置き換えようとする米国流とはアプローチが大きく異なる。 -
- 第5回
- 2019.09.09
「割り切り」と「作りこみ」で物流問題を解消するスタートアップ Eコマースの急激な広がりに伴い、物流がボトルネックとしてクローズアップされているのは、日本も中国も同じ。中国ではアリババ集団傘下のスタートアップが、物流システムの開発に乗り出している。ポイントはラストワンマイルは届けないという「割り切り」と、需要予測や最新の住所録整備といった「作りこみ」だ。 -
- 第4回
- 2019.08.23
「チップ開発のオープン化」で存在感を見せる中国の独自チップ 半導体開発の分野で中国は、2015年以降、コピー品ではない独自のイノベーションに移行しつつある。ドローン(小型無人機)で世界大手の中国・DJIは自社製半導体を採用し、深センのスタートアップからはオープンなアーキテクチャーによるAI(人工知能)専用の半導体を採用した開発ボードが次々と生まれてきた。 -
- 第3回
- 2019.08.09
中国のオープンイノベーションを加速させる「デジタル監視社会」 中国では法人はもちろんのこと、個人の信用情報までもがデジタルデータ化され、簡単に閲覧できる。日本では、中国共産党が国民の信用を把握するSF的ディストピアの産物とも捉えられがちだ。しかし、中国人はそれを有効に活用している。取引での詐欺や不正を防ぎ、ビジネスのスピードを加速させる原動力になっている。 -
- 第2回
- 2019.07.26
安心して使えるモバイル決済を実現するための中国での取り組み セブン&アイグループのモバイル決済「セブンペイ」が不正利用でサービス停止に追い込まれた。一方、先行してモバイル決済が普及した中国では、多くの人が不信感を抱くことなく、日々決済に利用している。モバイル決済サービスなどにエンジニアとして関わったこともある筆者が中国で見たのは、常にリスクを意識してサービスを構築している姿だった。 -
- 第1回
- 2019.07.12
中国のデジタル革新 成功の要因は「多産多死のエコシステム」 中国のデジタルエコノミーに注目して、どのような仕組みや仕掛けのもとで新サービスが社会に普及していくのかを読み解く連載の第1回。東京大学大学院准教授の伊藤亜聖氏は、イノベーション創出の背景に「多産多死のエコシステム」の存在を挙げる。