中国のデジタル企業が、アフリカ内をはじめとする発展途上国に続々と進出している。これは、中国共産党がかつて政権獲得に成功した「農村から都市を包囲する」という戦略を彷彿(ほうふつ)とさせるものだ。中国企業がマーケティングを展開する際の軸の1つにもなっている。

アフリカに積極的に進出する中国のイメージ(写真/Shutterstock)
アフリカに積極的に進出する中国のイメージ(写真/Shutterstock)

政治家・林彪の言葉

 「農村から都市を包囲する」。これは中国共産党が主に1930年代に農村に根拠地を置き、ゲリラ戦を展開することで戦争に勝利した経験に根差した言葉だ。この言葉は、中国ではマーケティング戦略としても用いられる。まず広大な農村の市場を押さえて市場シェアを獲得し、徐々に力を蓄えてから、成熟した競合企業のいる都市の市場を攻略する、というものだ。

 では次の言葉はどうか。

 「北アメリカ、西ヨーロッパを“世界の都市”としたならば、アジア、アフリカ、ラテンアメリカは“世界の農村”ということになる。今日の世界革命も、ある意味ではやはり農村による都市の包囲という形成にある」

 この言葉は中国の政治家・林彪(りん・ぴょう)が65年に発したものだ(高坂正堯[1966]『国際政治 恐怖と希望』)。毛沢東のアイデアを基に、中国が共産主義革命を他の途上国に「輸出」しようとした時期の発言である。いうなれば、「農村から都市を包囲する」戦略を、国境を越えて国際政治の領域へと拡張したものだ。

 今日の中国外交も、アフリカをはじめとした国々、上記の言葉で言えば“世界の農村”を重視する動きを見せている。光ファイバー網や衛星通信網を新興国に広げる構想は、「一帯一路」構想の一部として「デジタルシルクロード」と呼ばれる。中国、インド、アフリカのデジタル化が進む中で、これらの市場を誰が押さえるのかが問われている。そしてこうした“世界の農村”の情報端末市場、そして通信機器市場を開拓してきたのは、まぎれもなく中国企業だと言ってよい。

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