新型コロナウイルス感染症の拡大以降、日本では「ウェブ会議」などITサービスの活用が当たり前になりつつある。しかし、この変化に中高年がついていくことは難しい。こうした中高年のデジタルデバイドの問題は、日本をはるかに上回るデジタル先進国になった中国でもますます深刻になっている。中国の中高年が置かれている実情を追った。
新型コロナウイルス感染症の流行前と後で、日本に住む私たちのITサービス活用はまるで違うものになった。
例えば、米ウーバー・テクノロジーズが運営する「Uber Eats」などのフード・デリバリー・サービス。コロナ禍の前はまだ一部の人だけが利用するサービスで、あの巨大リュックサックを背負った配送員を見かけるのはオフィス街や高級住宅地ばかりだった。しかし今では、普通の住宅街でもごく当たり前にその姿を見かけるようになった。しかも、若者だけではなく、中年の配送員も増えている。注文する側、配送する側の双方でユーザー層が拡大しているようだ。もちろん、中年配送員の姿には、コロナ禍で解雇されたのではという別の想像もついてくるが。
さらに、米マイクロソフトの「Teams」や米スラックの「Slack」などのビジネスチャット、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの「ZOOM」や米グーグルの「Google Meet」などのウェブ会議の普及もすさまじい。コロナ禍の前には、初めて会う相手に「ウェブ会議でお願いします」なんて頼む発想はなかったが、今ではそれが当たり前になった。
加えて、各種ITサービスを使いこなしている人の場合だと、ヤフーの「Yahoo! MAP」内にある「混雑レーダー」で地域ごとの人出を調べ、なるべく人の少ない場所にお出かけし、食事はテークアウトを使って受け取り、レンタル会議室サービスで部屋を借りて食事するといったことまでやるようになった。
日本ではITサービスがなかなか普及しないと思っていたが、一気に変わった。1年前の私たちには信じられないほどの大変化だろう。当時は保守的な日本人には難しいなどという声をよく聞いたが、尻に火が着けば変わるものである。
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