日本ではここ数年、ECの急伸に伴い、宅配大手が値上げや取扱量の縮小に踏み切る一方、ギグワーカーによる配達が急増している。この結果、宅配の価格は安定したが、配送品質や雇用環境の低下が懸念される。新型コロナウイルス感染症の拡大はこの傾向に拍車をかけた。では、日本を上回るEC大国の中国では、宅配に関わる問題は起きていないのか。中国の配送に関する問題と解決例を探った。

20年春、アリババ系列の地域デリバリーサービスのウーラマ(Ele.me)のスタッフが朝礼をしている風景。前日の事故状況を報告して注意を喚起している(著者撮影)
20年春、アリババ系列の地域デリバリーサービスのウーラマ(Ele.me)のスタッフが朝礼をしている風景。前日の事故状況を報告して注意を喚起している(著者撮影)

双11というストレステストで3年先の課題を洗い出す

 中国EC界最大のビッグイベントは、毎年11月11日に開催される「双11(ダブルイレブン)」セールだろう。日本では「独身の日」セールとして報道されることもある。アリババグループのEC「淘宝(タオバオ)」「天猫(Tモール)」をはじめ、多くのECサイトが同日に特売を開催。1日の注文量は毎年、記録を大きく塗り替えている。

 筆者もこの2年、中国で双11のセールに参加した。配達が大混乱すると噂されていたが、注文した10件以上の注文は翌日から届き始め、一番遅かった商品も4日後には届いた。誤配などのトラブルもなく拍子抜けだった。

 この双11について、アリババでは「3年後の日常負荷をテストできるストレステストの日」であると位置付け、システムの開発のマイルストーンにしていると説明している。筆者はたまたま問題なくすべての注文をスムーズに受け取れたが、やはりこれだけの規模のセールではシステムや物流のトラブルも一定数発生してしまう。双11の期間に発生した問題を洗い出してシステムの改善計画に盛り込むことにより、数年後の日常負荷で起き得る諸問題への対応を講じることができる。こうしたストレステストを基に構築された改善点をいくつか取り上げてみよう。

双11で注文した商品が留め置かれている街区内のコンビニ。届いた小包は写真右奥に見える棚に入りきらず、店の外に高く積み上がっている(著者撮影)
双11で注文した商品が留め置かれている街区内のコンビニ。届いた小包は写真右奥に見える棚に入りきらず、店の外に高く積み上がっている(著者撮影)
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