新型コロナショックが中国経済を直撃している。2020年1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比で6.8%の減少と、四半期ベースの統計が始まった1992年以降では初のマイナス成長を記録している。この苦境を打開する切り札の1つが、政府主導の電子消費券だ。
新型コロナショックの影響は多方面に及ぶが、衝撃的だったのは消費への影響だ。消費財の販売額を示す社会消費品小売総額は20年3月に前年同期比15.8%減という大きな落ち込みを示した。
中国のコロナ対策を、日を追って振り返っておくと、20年1月23日に武漢市が封鎖された。もともと1月24日から30日までは旧正月休みだったが、ほぼ全土で原則的に2月10日にまで延長され、外出自粛や飲食店の営業中止が実施された。2月10日から徐々に経済再開に取り組み、下旬からその動きは本格化する。こうした流れから、3月期の消費減速はさほど大きくない、小幅にとどまるとの見方が濃厚だった。しかし、蓋を開けてみれば、10%台半ばという大きなマイナスを記録している。
また、自粛期間中にはネット販売が活発化したことが報じられてきた。化粧品企業の林清軒は2000人の販売員全員に、ストリーミング配信で接客を行うライブストリーミングを実施させ、昨年を上回る営業成績を上げたと報じられた。こうした成功例が注目を集めたが、ネット販売額全体では5.9%増にとどまり、20%を超える成長を見せていた19年3月の実績と比べると、大きく落ち込んでいる。
分野別に見ると、最大の打撃を受けているのが外食産業だ。小売総額は半減に近い落ち込みを示している。統計に含まれない零細店舗の営業再開が遅れたことを考えれば、実態はこれ以上に悪いと予測される。また住民支出統計を見ると、教育文化娯楽の支出額が都市部でマイナス33.3%、農村部でマイナス43.2%と外食産業に次ぐ落ち込みを示している。外食と旅行が最悪の影響を受けた二大業界といえそうだ。
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