新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で、テレワークやオンライン学習への対応は進み、どこの国でも自宅にいる時間が長くなり、インターネットコンテンツを見る時間が増えている。各国の通信キャリアや、トラフィックの80~90%を占めるといわれている動画コンテンツで、サービス事業者が対応を迫られている。
COVID-19から早期に回復した中国のモバイルインターネット
2020年3月18日、英ボーダフォンは欧州地域でのモバイルトラフィックが50%拡大しているというリリースを出した。
20年3月20日、ユーチューブは欧州地域で、動画の画質をデフォルト480Pに下げるというリリースを発表(欧州委員ブルトン氏のツイート参照)。米ネットフリックスも同日に画質を下げる対応を行った。
続いて3月24日、ユーチューブはこうした画質低下によるトラフィックの節約を、日本や米国を含む全世界に適応させると発表した。
テレビ会議や通常の閲覧と比べても、動画コンテンツは大きくネットワークを圧迫する。インターネットトラフィックの80~90%は動画サービスといわれる。
ユーチューブやネットフリックスが対応を迫られる一方で、世界で最初に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による自宅待機推奨が出されたモバイルインターネット大国の中国では、ユーチューブが行ったような帯域制限の話は聞かない。
中国のインターネット通信量そのものは大きく増えているだろう。日経クロストレンドでリポートした通り(参考記事「5G活用も!新型コロナウイルス対応で学ぶべき中国のスピード感」「新型コロナで急伸『巣ごもり消費』の実情 中国の現状分析」)、中国では自宅待機が始まると同時に、教材やエンターテインメントなどの分野で、多くの動画コンテンツが無料ストリーミングやダウンロードできるようになった。Speedtest.netが公開したTracking COVID-19’s Impact on Global Internet Performanceの中国を見ると、自宅待機が始まったときに、武漢のある湖北省を中心にインターネットのパフォーマンスは大きく落ちている。しかし、わずか2週間ほどで回復している。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー