缶コーヒーからスタートし、紅茶や、牛乳と割る濃縮コーヒーまで展開する「BOSS」。消費者との関係性を「働く人の相棒」と規定する同ブランドは世の中や働き方の変化にどう対応してきたのか。
天然水の「人間性の回復」、GREEN DA・KA・RA(グリーン ダカラ)の「親子を笑顔に」「やさしさの循環」、伊右衛門 特茶の「健康行動の伴走者」――。ここまで見てきたように、各ブランドが消費者にとことん向き合ったうえで仮説を立て、カテゴリーを問わずさまざまなチャレンジを行い、冒頭のような“関係性”を見いだしていく。消費者と対話しながらブランドをつくっていくのが、サントリー食品流のブランド戦略といえるだろう。
そんな中、消費者との関係性をスタート時点から見いだした稀有なブランドがある。「働く人の相棒」をコンセプトに、1992年に缶コーヒーブランドとしてスタートして以来、26年間連続して右肩上がりを続けてきた「BOSS(ボス)」がそれだ。
「92年当時、缶コーヒーは体を使って外で働く男性がコアのお客様で、一息ついたり、これから頑張ろうと気合を入れたりするシーンで飲まれていた。商品とお客様との関係性が極めて精神的な依存関係にあり、その関係性を『相棒』という言葉で表現して『働く人の相棒』というコンセプトが生まれた」と語るのは、サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 ブランド開発事業部長の柳井慎一郎常務執行役員。2001年から15年以上、BOSSブランドに携わってきた“BOSSのボス”だ。
BOSSブランドは「働く人の相棒」という関係性を維持しながら、缶コーヒーからペットボトルコーヒー、紅茶、そしてイエナカ(家庭内)で消費する濃縮コーヒーにまでカテゴリーを広げている。つまり、BOSSのこれまでの戦略を知ることで、消費者との関係性を明確に規定できたブランドが時代による消費者の変化にどう対応してきたかが分かるわけだ。
「缶コーヒー飲まないけどBOSSファン」が多い
BOSSのユニークな点は、缶コーヒーブランドでありながら、缶コーヒーは飲まないけどファンだという人が多いこと。「『クラフトボス』から紅茶を出したときに、『私が飲めるBOSSを出してくれてありがとう』という声をたくさんもらった」(柳井氏)という。
・ものづくりと関係性づくりの両方を規定せよ
・ブランドのコアを磨き続けているからこそ、新たなトライができる
※詳しくは次ページ以降をご覧ください
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