コンビニなどの飲料水売り場で大きなスペースを占めている「サントリー天然水」。そのパッケージは、ブランドの特徴を消費者に伝えるメディアとして進化してきた。雪山と青空のグラフィックに込めた思いを“デザインの番人”が語る。

特集「サントリー食品の型破りブランド戦略」の前回までは、サントリー食品インターナショナルの飲料ブランドの商品展開に焦点を当ててきた。ここでは視点を変えて、「サントリー天然水」のパッケージデザインを分析してみたい。
青い空をバックに白い雪山がくっきりと浮かび上がる。その上に重なる「南アルプス」と「天然水」の手書き風のロゴ。多くの人の目になじんだボトルのパッケージはどのような思想の下にデザインされたのか。
それを理解するには、サントリー全体の水へのこだわりをまず知る必要がある。同社は、2003年から水源周辺エリアにある森林整備を目的とした水源かん養活動に力を入れてきた。現在、南アルプスのほか、阿蘇、奥大山など国内工場で使用する量の2倍の水を賄える1万2000ヘクタールの水源エリアをかん養している。
同社が水源保護に力を入れるのは、コーポレートメッセージが「水と生きる」であることからも分かる。酒から清涼飲料まで、自社の事業の根幹を支えるのが、自然に育まれた水だからだ。こうした水への思いを象徴するブランドが、「サントリー天然水」にほかならない。
天然水のデザインには“番人”がいる
天然水のパッケージデザインにもそうした水への思いが込められている。「清冽(せいれつ)な水源を持っていて、そこで採集した水を提供できる。これこそが我々の独自性であり、価値だ。ラベルに描いた雪山によって水源を表現している」と、サントリーコミュニケーションズ 宣伝・デザイン本部 デザイン部スペシャリストクリエイティブディレクターの大住裕一氏は話す。大住氏は、長年天然水のデザインを担当し、ブランドを守ってきた番人ともいえる存在だ。
・消費者が商品を認識する要素であるロゴは変えない
・光の乱反射で冷たい印象を与える
※詳しくは次ページ以降をご覧ください
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