メーカーから流通まで、さまざまな業界のEC事業で活躍する楽天出身者。本特集では4人の「元楽」への取材を通じて、活躍に4つの理由が浮かび上がってきた。楽天には、わずか1年でECのプロになれる仕組みが整っている。効率化を追い求める、楽天ならではの教育体制を解き明かす。

楽天の新人研修の様子
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 「朝会での知識共有文化や、徹底してKPI(重要業績評価指標)に基づく事業展開で身につく経験や知識によって、他業種でも通用する人材が育つと考えている。楽天から外に出て、活躍する皆さんに私自身も刺激を受けている」

楽天コマースカンパニー シニアヴァイスプレジデントの河野奈保常務
楽天コマースカンパニー シニアヴァイスプレジデントの河野奈保常務
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 楽天コマースカンパニー シニアヴァイスプレジデントの河野奈保常務は、インターネット企業にとどまらずメーカーや流通など、元楽が異業種でも活躍できる理由をこう見る。「楽天市場」の隆盛期には、毎年100人近くがECコンサルタント(ECC)として配属された。ECCの中には楽天市場で経験を積み、他社に挑戦する人材も多い。本特集で紹介した4人も元楽はその代表例だ。4人の取材から、元楽が活躍できる4つの理由が浮かび上がってきた。

 1つ目の理由は「ECの基礎知識」。楽天市場に配属された社員はまず、ECを運営するうえで最も重要な売り上げのフレームワークを学ぶ。ECの売り上げは「UU(ユニーク訪問者数)」×「CVR(コンバージョン率)」×「客単価」で構成される。そして、新規顧客と既存顧客の割り合いが重要であることを教え込まれる。基本的にはこの公式に則って、担当店舗を支援する。

楽天のECCは最初にECの売り上げを構成するフレームワークを学ぶ
楽天のECCは最初にECの売り上げを構成するフレームワークを学ぶ
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 例えば、楽天市場内に広告を出稿する場合、広告から何人のUUが店舗ページを訪れると予測されるのか。そこに店舗の平均のCVR、客単価を掛ければ、広告効果はおおよそ分かる。こうして、施策の効果を基礎的な公式に当てはめて考えることを徹底して学ぶ。本特集の第2回に登場したコスメ・コムの本橋未来社長は、コスメ・コムでも新入社員はこのフレームワークから学ばせるようにしている。それだけ汎用的な知識であると言えよう。

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