今、EC業界で活躍が目覚ましい「元楽」。元楽とは大手ECモール「楽天市場」を運営する楽天で経験を積み、他社で活躍するOBを指す。第2回ではアイスタイルのEC事業を率いる、本橋未来社長をさらに深堀りする。楽天時代の経験を生かし、どのようにして売上高が毎年40%増加する体制を築いたのか。

コスメ・コム 社長 本橋未来氏 2009年に楽天入社。ECコンサルタントとして3年間勤務。12年にコナミデジタルエンタテインメントに入社。14年、アイスタイルに入社し、EC事業の立て直しにかかる。18年7月にコスメ・コム社長に就任
コスメ・コム 社長 本橋未来氏 2009年に楽天入社。ECコンサルタントとして3年間勤務。12年にコナミデジタルエンタテインメントに入社。14年、アイスタイルに入社し、EC事業の立て直しにかかる。18年7月にコスメ・コム社長に就任

 「プロジェクト40」という言葉がある。楽天出身者であれば、耳にしたことがあるかもしれない。楽天のECモール「楽天市場」に出店する企業を支援するECコンサルタントの間で使われていた、合言葉のようなものだ。会社が設定した予算とは別に、個人的な目標として担当店舗の売り上げを前年比で40%増加させることを目指すという意気込みの現れである。

 「楽天でECコンサルタント(ECC)として働いていた頃はとにかく、がむしゃらに40%増を目指す。そんな雰囲気があった」。アイスタイル子会社で化粧品のECサイト「@cosme shopping」を運営するコスメ・コムの本橋氏はそう懐かしむ。本橋氏は2014年に、EC事業再生の請負人としてアイスタイルに入社した元楽だ。

 本橋氏の入社時、コスメ・コムの社員数はわずか10人だった。アイスタイルがEC事業に参入したのは02年と比較的早い。だが、07年に始めたリアル店舗「@cosme store」事業に比べて、事業規模は圧倒的に小さかった。化粧品の口コミサイト「@cosme」を母体に持ちながら、同じネット事業のECが伸び悩み、リアル店舗が急成長するという逆転現象が長らく続いた。アイスタイルはEC事業の立て直しを図るために、「楽天のECCのような人材を探していたようだ」(本橋氏)。本橋氏はアイスタイルが求めていた人材そのものだった。

 EC事業の立て直しにかかった本橋氏はまず、翌年の売り上げ目標を前年比で40%増に設定した。それまでは10%増が目標だったというから、いかに高い設定であるかが理解できるだろう。アイスタイルのプロジェクト40発足だ。

売り上げ40%増に向け、着手した業務

 この目標を達成するために、まず手を付けたのは商品情報の整備や、新商品発売日の商品登録といったことに関する細かなルール作りだった。「ECを知らない人は、いきなりホームランを狙おうとする。だが成果を上げるのに大事なことは実はとても地味」(本橋氏)。それが徐々に効いてくる。重要なのはこれを徹底することだ。「楽天の強みは徹底力。やると決めたことは徹底し、かつ早く回す。徹底力の大切さは楽天で学んだ」と本橋氏は言う。

コスメ・コムのECサイト「@cosme shopping」は売り上げが毎年40%ずつ増えるなど、急成長している
コスメ・コムのECサイト「@cosme shopping」は売り上げが毎年40%ずつ増えるなど、急成長している