※日経エンタテインメント! 2019年7月号の記事を再構成

タレントとしての力を明確な数値でランキング化した、日経エンタテインメント!の年に1度の恒例企画「タレントパワーランキング 2019」。多くの人を魅了しているのは誰? ここ1年で注目されたあの人はどこに位置する? ジャンル別や世代別の分析も併せて一挙に公開する。

総合TOP10は、この人たち

 日々移り変わっていく競争の激しいエンタテインメント界で、今、多くの人の心を捉えているのは誰か。伸び盛りの次世代ホープにはどのような人がいる? 日経エンタテインメント! では、2008年から年1回「タレントパワーランキング」を発表している。株式会社アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したものだ。

 今回対象とした著名人は1280組。昨年と同様、“直近の人気度”を明確にするため、19年2月調査の数字を基にしている。

1位~30位 サンドが清々しい快挙 芸人初の総合トップに

 今回の調査では、サンドウィッチマンが大躍進して総合1位を獲得した。過去11回での芸人の最高位は、ビートたけしの4位(12年)。近年は40代の中堅芸人の勢いが増し、昨年はサンドウィッチマン(6位)と博多華丸・大吉(9位)がトップ10入りしたが、高好感度芸人の代表がとうとう首位に上り詰めた。18年10月には新たにゴールデンタイムのレギュラー2本を獲得。個人でも、伊達みきおは10位、富澤たけしは14位と大幅ランクアップ。伊達がバラエティ番組で唱える、高カロリーの食べ物をこじつけにより太らないと主張する「カロリーゼロ理論」が人気となり、CMにも起用された。富澤は、ムロツヨシの先輩役を演じた10月期ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』と、12月の『M-1グランプリ』で審査員を務めたタイミングでスコアがアップした。

 3年連続1位だったマツコ・デラックスは、今回は2位という結果に。とはいえ関心度の高さはほぼ変わらず、19年に入ってから新規CMが2社増えるなど、タレントとしての力は健在だ。

 女優では3位の綾瀬はるかがトップ、新垣結衣が4位で続く、前回調査と同じ構図となった。綾瀬は、18年7月期の主演連ドラ『義母と娘のブルース』が最終回視聴率で19.2%を記録するヒットに。新垣は『獣になれない私たち』で、一筋縄ではいかない大人のもやもやした気持ちをリアルに演じて新境地を見せた。

 5位は。今年1月に活動休止を発表した衝撃は大きく、順位は変わらなかったが、スコアは上昇した。個人ではメンバー全員の順位がアップし、最高位は相葉雅紀の7位。主演連ドラ『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』が最終回視聴率で21.0%を記録した松本潤は、70位から19位へとジャンプアップした。

 6位は北川景子。昨年はNHK大河ドラマ『西郷どん』に出演したほか、11月公開の主演映画『スマホを落としただけなのに』が19.6億円のスマッシュヒットとなった。前回6位の深田恭子は8位で好調を維持。東京ガスや転職サービスの「doda」など、CMでのキュートな姿も注目された。

 9位はサザンオールスターズで、7年ぶりのトップ10入り。『NHK紅白歌合戦』に出演したタイミングでスコアが跳ね上がった。

 11位から30位を見ると、大泉洋が42位から17位へと上昇。興行収入53.7億円を記録した3月公開の映画『ドラえもん のび太の宝島』で声優を務めたほか、映画4本に出演した。昨年初めてトップ100に入った千鳥はさらに大きく順位を上げ、24位と飛躍した。

10位の伊達みきお、14位の富澤たけし、43位の米津玄師は18年2月、48位の大坂なおみは18年11月より調査対象に追加。24位の千鳥は17年2月まで調査時期は5月と11月の年2回
10位の伊達みきお、14位の富澤たけし、43位の米津玄師は18年2月、48位の大坂なおみは18年11月より調査対象に追加。24位の千鳥は17年2月まで調査時期は5月と11月の年2回

31位~50位 大坂なおみが初登場 引退の滝沢が50位に

 31位から50位を見ると、芸人では31位のイモトアヤコと、44位の若林正恭が大きく順位を上げた。イモトは18年10月期の『下町ロケット』、19年1月期の『家売るオンナの逆襲』に女優として立て続けに出演。若林はエッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』が斎藤茂太賞に選ばれており、2人とも芸人以外での活動にも光が当たった。スポーツ選手では、メジャーリーガーとなった大谷翔平が32位、ブリスベン国際で3年ぶりにツアー大会で優勝した錦織圭が46位。日本人選手として初めて全米オープンで優勝したテニス選手の大坂なおみは、初登場で48位にランクインした。

 アーティストでは、18年1月期連ドラ『アンナチュラル』主題歌の『Lemon』がCDで55万枚、配信で262万ダウンロードを超えるヒット(5月中旬)となった米津玄師が、怒涛のランクアップで43位に。そして、18年いっぱいで芸能活動を引退し、19年からは後輩のプロデュースと育成に専念している滝沢秀明が、191位から一気に順位を上げて50位に。

51位~100位 芸歴18~19年の小泉と戸田が躍進

 51位から100位では、アナウンサーの安住紳一郎が大きく順位を上げて51位に。ラジオで後輩のことを語って涙するなど、人間味のあふれる姿が共感を呼んだ。芸人では、18年4月に向田邦子賞を受賞したバカリズムが58位に、MCを務める『チコちゃんに叱られる!』が何度も高視聴率を取るヒットバラエティとなった岡村隆史が68位へと大幅アップ。『24時間テレビ』でチャリティーマラソンを完走したみやぞんは98位で、初めてトップ100に滑り込んだ。

 男優では小泉孝太郎が151位から73位、佐藤健が202位から88位へとジャンプアップした。小泉は18年4月期の『ブラックペアン』、19年1月期の『グッドワイフ』と、大人の視聴者から支持を得ているTBSの「日曜劇場」の2作に出演。佐藤はNHKの朝ドラ『半分、青い。』と、『義母と娘のブルース』というヒットドラマ2作を主要キャストとして引っ張った。

 女優では、戸田恵梨香が80位にランクイン。18年10月期の『大恋愛』が放送を重ねるごとに評判となり、スコアを押し上げた。

98位のみやぞんは17年8月、99位の宇野昌磨は17年5月より調査対象に追加
98位のみやぞんは17年8月、99位の宇野昌磨は17年5月より調査対象に追加
グラフは3カ月ごとのパワースコアの推移。本文中の視聴率はビデオリサーチ関東地区のデータ。平均視聴率は編集部調べ。

(文/内藤悦子)

調査方法/ランキング作成方法
調査概要:アーキテクト「タレントパワーランキング」調査(株式会社アーキテクト)からデータを入手
調査方法:FAX・WEB調査
実施時期:年4回(2月・5月・8月・11月)
調査地域:東京・千葉・埼玉・神奈川
調査対象:タレントを一部入れ替えながら毎回約1200組を調査
回答者:アーキテクトの登録モニターより4400人を抽出(調査タレントを4グループに分割。10歳から59歳まで5歳きざみで男女それぞれ50人を抽出。60代は男女それぞれ50人抽出)。

タレントに関する質問項目
A.各タレントの認知について、次の3段階からひとつ選択してもらった。
①名前も顔も知っている ②名前は知っているが、顔は思い浮かばない ③このタレントを知らない
B.設問「A」で「①名前も顔も知っている」と回答したタレントに対して、「そのタレントがテレビ・映画・雑誌・DVDなどに出ていると関心があるか(見たい・聴きたい・知りたい)」を、次の4段階からひとつ選択してもらった。
①とても見たい・聴きたい・知りたい ②見たい・聴きたい・知りたい
③見たくない・聴きたくない・知りたくない ④まったく見たくない・聴きたくない・知りたくない

認知度、関心度、タレントパワースコアの算出方法
認知度:質問Aで、「①名前も顔も知っている」と回答した人の割合(%)。
関心度:質問Bで、「①とても見たい・聴きたい・知りたい」か「②見たい・聴きたい・知りたい」と回答した人の合計値(%)。算出母数は質問Aで「①名前も顔も知っている」と回答した人の数。

タレントパワースコア:「認知度」と「関心度」を掛け合わせた値。そのタレントに、どれだけの人たちが引きつけられているか、「人気度」を示す指数。タレントが人々を引きつける力(=タレントパワー)の指標とした。具体的には、「認知度」に「関心度」の加重ポイント(「①とても見たい・聴きたい・知りたい」に「②見たい・聴きたい・知りたい」の1/3を加えた合計値)を乗じて算出した。

※ 上記方法で算出した18年2月時点でのデータを2018年版、17年2月時点でのデータを2017年版としている。タレントパワースコアは小数点第2位で四捨五入。順位は小数点第2位以下も含めてつけた。


今月号の誌面で発表した「タレントパワーランキング」の全データは、この調査を3カ月に1度実施しているアーキテクト社が、ウェブで見られる「2019年タレントパワーランキングWeb版」として有料で提供しています。
【問い合わせ先】株式会社アーキテクト TEL:03-6888-3333 佐藤章秀(平日10~18時受付)
http://www.talentsearch.jp/
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