※日経トレンディ 2019年6月号の記事を再構成
攻略や定番化が難しいと言われている男性用化粧品市場で、バルクオムが存在感を高めている。「男性向け」という先入観を打ち崩し、デジタルに特化した広告戦略、オンラインによる定期購入(サブスクリプション)型で急成長。起業4社目となる野口卓也代表は新たな分野への挑戦も意気込む。
野口卓也
1989年、東京生まれ。ITベンチャー、飲食店の創業などを経て、2013年にバルクオムを立ち上げ。ブランド「BULK HOMME」で男性化粧品の領域に参入した。スキンケアのみならず18年からはヘアケアの分野にも拡大し、急成長を遂げる
『「男性化粧品」の既成概念を正面から否定する
IT畑の経験を生かして、ウェブ広告を展開』
“世界最高額”の男が、日本のベンチャーが仕掛ける男性化粧品ブランドの顔となった――。「CIES Football Observatory」が、移籍市場の評価額として約300億円の最高額をつけた、サッカーフランス代表のキリアン・エムパぺ選手が、ある発表のために初来日した。男性化粧品ブランドの「BULK HOMME(バルクオム)」の、グローバルアンバサダー就任だ。
空白領域だった男性化粧品市場で存在感を増してきたこのブランドを率いるのは、1989年生まれの若き起業家・野口卓也氏。2013年からバルクオムを始動させ、18年度はメンズスキンケアの2000円以上4000円未満のハイクラスカテゴリーで、売り上げ・シェアともに第1位を獲得している。今回のアンバサダー契約締結とともに、野口氏は「メンズスキンケア世界シェアNo.1を目指す」と宣言。その視線は、国内の競争よりも、世界に向けられている。
“まるで女性向け”に勝機?
秘訣は「男性向けだから」という先入観を覆す製品企画。男性向け化粧品の企画では、清涼感をうたうもの、黒い高級感あるパッケージ、また、男性をものぐさと決め付けたオールインワンの化粧品などが多い。野口氏はそれよりも、「女性がうらやましくなる化粧品に勝機がある」と考えた。ブランド立ち上げ当初から人気の洗顔料「THE FACE WASH」は、メントール不使用、パラベンなど6つの添加物フリーを標榜。「不要な汚れは落とし、肌に必要な成分は残す」と、まるで女性向け化粧品のようなうたい文句で魅力を打ち出す。
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