※日経トレンディ 2019年6月号の記事を再構成
ストリーミングサービス「Spotify」からヒットが相次いでいる。その筆頭が、ビッグアーティストとなったあいみょんだ。また、若いアーティストの発掘のみならず、イギリスのバンド・クイーンの聴き手を若年層に広げるなど「知らない音楽と出合う」役割も果たす。その裏側には、データ分析をはじめ、Spotify のコンテンツを作るチームの緻密な戦略があった。
芦澤紀子
ソニーミュージックで洋楽・邦楽の制作やマーケティング、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)で「PlayStation Music」の立ち上げに関わった後、2018年にSpotify Japan入社
『あいみょんを見いだした「目利き集団」を統括
データ分析と感覚の両方を総動員する』
ヒットする音楽が生まれる場所が変わりつつある。インディーズからメジャーデビューして、マスメディアでプロモーションをしてCDが売れていくというやり方ではなく、音楽の定額制配信サービス(ストリーミング)から、いきなり火がつくという成功例が出てきた。
その立役者の一つが、スウェーデン発祥のグローバル・ストリーミングサービス、Spotifyだ。他のストリーミングサービスと最も大きく異なるのは、「知らない音楽に出合う」ための方策がさまざまにあること。自分の好きなアルバムを検索して聴くこともできるが、多くの人は「プレイリスト」を活用して好みやシチュエーションに合った曲を聴く。人気のプレイリストに入ると、知名度が低いアーティストの曲でもいきなり国境すら越えて視聴者を広げられることがあり、今や、「プレイリスト入り」こそが、インディーズのアーティストにとって飛躍のチャンスと捉えられているのだ。
2016年に日本版がスタートしてから3年弱。Spotifyから有名になったビッグアーティストがいる。あいみょんだ。
ストリーミングから出発したビッグアーティスト
あいみょんは、人気に大きく火がついたのが18年夏。その1年半前、Spotifyの「Early Noise」というプレイリストに入っていた。これは、次世代に活躍するであろう新しいアーティストをいち早く紹介するプレイリストで、年の初めに紹介してから1年間そのアーティストを応援するという取り組みをしている。同様の取り組みから有名になった例が海外ではショーン・メンデス、ロードなどがいる。
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